1 「短答プロパー」とは
いわゆる「短答プロパー」とはそもそもどのようなものなのでしょうか。「短答プロパー」とは、司法試験や予備試験の論文式試験ではおおよそ問われないが、短答式試験では出題される分野のことを指します。
本来は、短答式試験と論文式試験の各科目の試験範囲は同一ではありますが、論文式試験が事例問題という出題形式であるなどの理由から、論文式試験ではほとんど出題されないものの、短答式試験では度々出題される分野がでてきます。これが一般的に短答プロパーと呼ばれています。
2 具体的にはどのような分野か
上記の短答プロパーですが、各法律科目においては具体的にはどのような分野を指すのでしょうか。
憲法では、天皇や憲法9条論などの憲法総論や統治分野の細かな条文が挙げられます。また、民法では、根抵当権や共同抵当権、家族法の細かな条文などがあります。そして、刑法では刑罰論などの刑法総論や、罪数論などです。行政法や商法、刑事訴訟法や民事訴訟法は訴訟手続や細かな制度に関する条文が含まれます。
以上のように、短答プロパーとよばれる分野は各法律の総論部分や細かな条文などが目立ちます。
3 どのように対策するべきか
(1) 予備校の短答対策講座でインプット
短答プロパーの分野については、もちろん大半の基本書で詳しい記述があります。しかし、短答式試験の対策においては、予備校の短答対策講座がオススメです。確かに基本書でも短答プロパーの部分をカバーできるとはいえ、予備校の短答対策講座では、知識の優先順位や覚えるコツ、なぜそのような条文・判例の結論を取っているかまで解説されています。そのため、予備校の対策講座を用いることで多くの知識が求められる暗記の負担が減るでしょう。
(2) 条文問題には条文の素読が有効
上述の通り、短答プロパーの中にはマイナーな条文も多く含まれます。そのような条文問題には、条文の文言を素読することが有効です。その際には、法律の条文の基本的な構造である「要件」と「効果」を意識するようにしましょう。また、素読の他にも、寝る前や移動中に条文の読み上げ音声を聞くなどをすることもオススメです。
(3) 直前期に詰め込む
短答プロパーの意味からわかるように、短答プロパーに該当する分野は論文式の勉強ではほとんど扱われることはありません。そこで、学習初期から短答プロパーの対策をしても反復も短答式試験の勉強でしか行えないため、結局忘れてしまいがちとなってしまいます。そこで、短答式試験の問題のなかでも、短答プロパーの部分は短答式試験の直前期に集中的に行うと知識維持の負担も少ないため良いでしょう。
4 サマリー
いかがだったでしょうか。今回の記事で解説したように、司法試験や予備試験の短答式試験の試験範囲には短答プロパーと呼ばれる分野があるのが論文式試験との1つの違いです。対策方法に大きな違いはないとはいえ、対策の時期など等で意識すべき点はあります。皆さんも今回の記事を参考に短答式試験の勉強を頑張ってくださいね!
5 まとめ
- 「短答プロパー」とは短答式試験でしかおおよそ出題されない分野のこと
- 短答プロパー各法律科目の総論部分や細かな条文などが含まれる
- 短答プロパーのインプットには予備校の短答対策講座が最適
- 短答プロパーの条文問題には条文の素読が有効
- 短答プロパーは直前期に詰め込むようにする