予備試験の最終合格を左右する、天王山ともいえる論文式試験を終えると、受験生の皆さんが次に悩まれるのは、『合格発表までの過ごし方(勉強の方向性)』なのではないでしょうか?
「合格しているかどうか微妙・・・。」
「手応えバッチリ!合格間違いなし。」
「1ミリも合格していると思えない・・・。」
試験後の感触は十人十色ですが、論文式試験から論文式合格発表までのおよそ3ヶ月間はどのように過ごせば良いのでしょうか。この記事では、予備試験の論文式試験の合格発表までの過ごし方について詳しく解説していきますので、是非ご参考になさってくださいね。
1 予備試験の合格発表はいつ頃?
予備試験は上記表のような流れとなっており、例年、予備試験の『論文式試験』は7月に行われ10月頃に合格発表が行われます。合格発表については、以下のとおり法務省のホームページのみで確認できます。従前のような掲示発表は行われませんのでご注意ください。
“短答式試験は午後5時頃に,論文式試験及び口述試験は,午後4時頃に法務省ホームページにおいて発表します(法務省敷地内及び各試験地での掲示発表並びに官報公告は行いません。)。なお,電話による合否の問合せ,成績に関する問合せには一切応じません。” |
以下は、令和4年度の予備試験の日程ですので、ご参考になさってください。今後、コロナウィルス等の影響により日程が変更になる可能性もゼロではありませんので、法務省発表の情報は随時チェックしてください。
【令和4年度司法試験予備試験日程】
短答式試験 | 論文式試験 | 口述試験 | |
試験日 | 5月15日(日) | 7月9日(土)、10(日) | 11月5日(土)、6(日) |
合格発表 | 6月2日(木)午後5時頃 | 10月20日(木)午後4時頃 | 11月17日(木)午後4時頃 |
通知書等発送日 | 6月中旬(合格通知書兼論文式試験受験票及び短答式試験成績通知書発送) | 10月中旬(合格通知書兼口述式試験受験票及び論文式式試験成績通知書発送) | 11月下旬(合格証書及び口述試験成績通知書発送) |
2 予備試験の合格発表から見るデータ分析
法務省のデータによれば、予備試験の合格率は例年4%ほどを推移しておりその難易度は高いものとなっていることがわかります。社会人経験者など多様な人材が毎年合格しており、就職にも有利と言われていることから今後も人気は高まるのではないでしょうか。
また、司法試験の合格発表データ(下表【令和3年度司法試験の採点結果】)を見てみると、予備試験ルート受験者は法科大学院ルート受験者に比べ司法試験の合格率が非常に高く年々右肩上がり(令和3年度は93.5%)となっています。推測の域を出ませんが、この高い合格実績も予備試験ルートでの司法試験受験の人気に拍車をかけているのかもしれません。今後の動向にも注目していきたいですね。
【予備試験合格率推移】
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021 | 11,717 | 467 | 4.00% |
2020 | 10,608 | 442 | 4.20% |
2019 | 11,780 | 476 | 4.00% |
2018 | 11,136 | 433 | 3.90% |
2017 | 10,743 | 444 | 4.10% |
2016 | 10,442 | 405 | 3.90% |
2015 | 10,334 | 394 | 3.80% |
2014 | 10,347 | 356 | 3.40% |
2013 | 9,224 | 351 | 3.80% |
【令和3年度司法試験の採点結果】
総計 | 法科大学院 合計 | 予備試験 合計 | |
合格者数(合格率%) | 1,421人(41.5%) | 1,047人(34.6%) | 374人(93.5%) |
出願者数 | 3,754人 | 3,342人 | 412人 |
受験予定者数 | 3,733人 | 3,321人 | 412人 |
受験者数 | 3,424人 | 3,024人 | 400人 |
短答式試験の合格に必要な成績を得た者の数 | 2,672人 | 2,272人 | 400人 |
予備試験の合格発表までは、ソワソワと落ち着かず勉強の指針もブレてしまいがちです。手応えを感じている受験生にとっては、この先の勉強はもちろんのこと「就職活動」についても気になる時期なのではないでしょうか。予備試験合格者はいわゆる“プラチナチケット”といわれることもあり、中でも上位合格者は就職活動の際に有利です。
例えば、一概にはいえませんが、大手法律事務所では予備試験合格者を求める傾向があり予備試験合格者のみが参加できる冬のインターン募集を開始している事務所もあります(その際に、予備試験の成績通知書の提出を求められることもあります。)。
そして、「落ちている可能性が高い」と思われた受験生にとっても、成績通知表は今後の勉強の指針となりますので、自分の苦手科目や範囲などを明確にし次年度合格のための対策をとることのできる契機となります。
3 予備試験論文式試験当日から合格発表までの過ごし方とは?
論文式試験の当日から合格発表まで、およそ3ヶ月ほどの期間があり、合格しているかどうか不確定な時期なので、今後の勉強の方向性に悩む時期でもあります。
◆勉強の習慣を絶やさないこと
※1日2~3時間は頑張ろう
合格しているかどうかが不確定な時期に、合否にかかわらず共通していえることは、とにかく勉強の習慣を絶やさないことに尽きます。本番の試験後に試験直前期のような長時間かける勉強はやろうと思ってもなかなかできるものではありませんが、合格レベルの知識維持や不足している知識を補うなどメリハリをつけた勉強習慣を継続していきましょう。
このことを念頭に置きながら、合格発表までに行うべき勉強方法について、以下をご参考になさってくださいね。受験生を悩ませる『受かっているかどうかわからない場合の勉強方法問題』ですが、2つのパターンで考えていきましょう。
(1) 「絶対落ちたな」と思った人がすべき勉強法
◆苦手科目・範囲の『論文』の勉強をする
合格発表の結果を待つまでもなく「絶対落ちたな。」と大きな確信がある方は、迷わず論文の勉強をしましょう。前述のとおり、苦手科目・範囲をしっかりと克服するために盤石な体勢を整えておくことが次年度のチャレンジにおいて必ず功を奏しますのでおすすめです。
ここで注意していただきたいのは、インプット中心の勉強方法に戻りすぎないようにすることです。自信がないからとインプットばかりしていては論文式試験に合格することはできません。論文式試験は論文を書くことで合格レベルに到達することができます。
あくまで主軸は論文(演習)のための勉強ですので、心に留めておいてください。
(2) 「多分落ちたな(合格しているかも?)」と思った人がすべき勉強法
◆口述試験や司法試験向けの勉強をする(司法試験の過去問など)
おそらく多くの受験生がこのモヤモヤとした状況を味わっているのではないでしょうか?このような場合は、先を見据えた勉強にシフトチェンジしてしまいましょう。
口述試験対策や司法試験の過去問を解くなど、司法試験に向けた勉強を行うことをおすすめします。論文式試験の合格発表から口述試験まで2週間ほどしかないため悩んでいる時間はもったいないですよね。
したがって、論文式試験の合格発表を待たずに、論文式試験終了後から直ぐに口述試験・司法試験対策に向けた勉強を行い、予備試験の最終合格・司法試験合格を確実なものにしてしまいましょう!
4 サマリー
予備試験の合格発表までは、およそ3ヶ月です。貴重な時間を無駄にしないためにも、ある程度の心構えと方向性を決めておくことでリスクを軽減することができます。成績通知書から見てとれる自分の弱点を客観的にも把握し今後の勉強の指針とし最終合格を果たしたいですね。
5 まとめ
- 例年、予備試験の『論文式試験』は7月に行われ10月頃に合格発表が行われる
- 予備試験の合格発表から見るデータ分析|①予備試験の合格率は例年4%ほどを推移②司法試験の合格率が非常に高く年々右肩上がり(令和3年度は93.5%)
- 「絶対落ちたな」と思った人がすべき勉強法|◆苦手科目・範囲の『論文』の勉強をする
- 「多分落ちたな(合格しているかも?)」と思った人がすべき勉強法|◆口述試験や司法試験向けの勉強をする(司法試験の過去問など)