難関国家試験といわれる予備試験では、どの程度の成績を取れば合格することができるのでしょうか?
また、仮に不合格の場合でも、合格発表後に送られてくる成績通知書を今後の試験対策に活かすにはどのような方法が有効なのでしょうか?
成績の良さが就職活動の際に有利に働くか否かについても、受験生にとっては関心の高い事柄です。
この記事では、予備試験の成績表に関する疑問を解説して参りますので、是非ご参考になさってください。
1 予備試験の成績通知書とは?
予備試験の成績通知書とは、正式名称を「令和◯年 司法試験予備試験 成績通知書(※短答式)」といいます。
合否を問わずに、各試験の合格発表が終わり一定期間経過後に、下記のような体裁の書面により成績通知書等が郵送されます。
令和3年 司法試験予備試験 成績通知書(※短答式)
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注)※部分については、「短答式」「論文式」「口述」とそれぞれ表記が異なります。
次に、各試験の段階で送られてくる内容を押さえておきましょう。
試験の種別 | 送付内容 |
短答式試験の合格発表後 | ・合格通知書兼論文式試験受験票
・短答式試験成績通知書 |
論文式試験の合格発表後 | ・合格通知書兼口述試験受験票
・論文式試験成績通知書 |
口述試験の合格発表後 | ・合格証書
・口述試験成績通知書 |
予備試験の試験の特性(下表参考)として、短答式試験に合格しなければ論文式試験に進むことができず論文式試験受験資格を手にすることができません。口述試験についても同様に、論文式試験に合格できなければ口述試験受験資格を手にすることができない厳しい試験となります。
令和4年(2022年)の予備試験短答式試験は5/15(日)に行われました。
資格スクエアでは解答速報を公開しています。自己採点にお役立てください。
2 予備試験の成績通知書の見方
予備試験の成績通知書の見方はとてもシンプルですので、特別難しい点はありません。普段から合格点を強く意識して勉強することが大切ですので、ここでは、法務省のデータより令和3年度の合格点等を確認していくことにしましょう。
【短答式試験】
合格点 | 各科目の合計得点162点以上(270点満点) |
合格者数 | 2,723人(受験者数11,717人) |
合格者の平均点 | 178.7点 |
合格率 | 約23% |
※科目は、憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法で行われます。配点は各科目30点満点。一般教養は60点満点。
【論文式試験】
合格点 | 240点以上(500点満点) |
合格者数 | 479人(受験者数2,633人) |
合格者の平均点 | 197.54点 |
合格率 | 約18% |
※科目は、憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・一般教養科目・民事実務基礎・刑事実務基礎で行われ、配点は各50点満点。
※令和4年より一般教養科目が廃止され、選択科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法〈公法系〉、国際関係法〈私法系〉)が導入されます。
【口述試験】
合格点 | 119点以上 |
合格者数 | 467人(受験者数476人) |
合格者の平均点 | 非公表 |
合格率 | 約98%(最終合格率 約4%) |
※科目は、「民事実務基礎」「刑事実務基礎」の2科目で行われます。配点は各科目同一とされていますが、満点が何点であるかなどは開示されていません。
3 予備試験の成績通知書を受けて今後への活かし方とは?
予備試験の成績通知書を受け取り、もし、短答式試験に合格している見込みがあれば、短答式試験日翌日から「合格通知書兼論文式(口述)受験票」が届くまでは、しっかりと論文式試験対策を行いましょう。本番まで残りわずかの時間となりますので、仕上げの時期と言っても過言ではありません。
論文式試験まで辿り着いた方は、論文式試験後は口述試験模試などを受験したり、その他できる限りの口述試験対策をしておくことをおすすめします。口述試験の合格率は高いですが、論文式試験日から口述試験日まではあまり時間がありませんので万全の対策をしておきましょう。本番は緊張しますし、油断は禁物です。
残念ながら合格が叶わなかった方は、状況が落ち着いたら、次にするべきことは「敗因分析」です。とても辛い作業になるかと思いますが、しっかりと自分の弱点を抽出し次年度に向けて徹底的に復習し克服しておくことが得策といえます。
4 予備試験の成績は就職活動に影響するのか
大手法律事務所は、例年人気で多くの希望者が殺到します。他者との差別化を図るためにも自分自身のアピールポイントに磨きをかけておきたいものです。選考の際には、人柄はもちろんのこと、予備試験の成績が優秀であるかも問われます。大手法律事務所などに就職で勤務したい方は、日頃から上位の成績を狙いながら勉強を進めてみても良いかもしれません。
また、大手事務所ではウインタークラークと呼ばれる法律事務所でのインターン募集などを行っており、その際に成績通知書を求められることがあります。
ウインタークラーク自体は就職活動とは異なりますが、ウインタークラークを通じて優秀な人材と認められれば、その後の本採用でも有利になる可能性が高いでしょう。
しかしながら、成績上位で合格することを気にしすぎるあまり間違った方向の勉強にならないようにしなければなりませんので、その点は心に留めておいてくださいね。
5 サマリー
予備試験の合否は、後の司法試験受験資格に関わる重要な通過点の一つです。結果次第では一喜一憂してしまうこともあるでしょう。しかしながら、予備試験の成績の活かし方次第で、次年度の予備試験あるいは後の司法試験において合否が左右されるといっても過言ではありません。合格が叶わなかった方はしっかりと敗因分析をし、弱点が明確になれば該当部分の復習を徹底し、予備試験(司法試験)合格を掴み取ってくださいね!
6 まとめ
- 予備試験の成績表とは、正式名称を「令和◯年 司法試験予備試験 成績通知書(※短答式)」といい、合格発表後一定期間経過後に郵送される
- 予備試験の成績通知書の見方は特別難しい点はなく、日頃から「合格点」を意識した勉強が有効
- 予備試験の成績通知書を活かして(敗因分析・弱点抽出)復習を徹底することが功を奏する
- 就職活動では、予備試験の成績上位者は有利になる可能性がある