予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験と、3つの試験を突破して初めて最終合格が勝ち取れる試験です。初学者の方は、これらの種類の違う試験を1年間でどのように勉強していけばよいのか、混乱してしまうと思います。
この記事では、資格スクエア創業者で弁護士資格を持つ鬼頭がおすすめする予備試験勉強スケジュールについて解説します。是非参考にしてみてください。
1 予備試験の日程
冒頭でもお伝えしたように、予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験と3つの試験をそれぞれ突破する必要があります。
参考に、令和4年度予備試験の試験日程をご覧ください。
短答式試験 令和4年5月15日(日)
論文式試験 令和4年7月9日(土),10日(日)
口述試験 令和4年11月5日(土),6日(日)
2 予備試験の科目と時間割
(1) 短答式試験
令和4年予備試験短答式試験の時間割については、まだ発表はありませんが、例年通りであれば、以下のような時間割になります。
集合時間 | 着席時刻 | 試験時間 | 試験科目 |
8:45 | 9:15 | 9:45~11:15(1時間30分) | 民法・商法・民事訴訟法 |
11:45 | 12:00~13:00(1時間) | 憲法・行政法 | |
14:00 | 14:15~15:15(1時間) | 刑法・刑事訴訟法 | |
15:45 | 16:00~17:30(1時間30分) | 一般教養科目 |
(2) 論文式試験
論文式試験の時間割についても、まだ発表はされていませんが。例年通りであれば、以下のような時間割になります。
試験の期日 | 集合時刻 | 着席時刻 | 試験時間 | 試験科目 |
7月9日(土) | 8:30 | 9:00 | 9:30~11:50 (2時間20分) | 憲法・行政法 |
13:00 | 13:15~15:35(2時間20分) | 刑法・刑事訴訟法 | ||
16:15 | 16:30~17:30(1時間) | ※選択科目(倒産法、租税法、経済法、知的財産法、 労働法、環境法、国際関係法(公法系)及び国際関係法(私法系)のうち 受験者のあらかじめ選択する一科目 | ||
7月10日(日) | 8:30 | 9:00 | 9:30~12:30 (3時間) | 法律実務基礎科目(民事・刑事) |
13:45 | 14:00~17:30 (3時間30分) | 民法・商法・民事訴訟法 |
※選択科目は、令和4年度より導入されます(一般教養科目は廃止)。また、上記表はあくまでも例年通りと仮定した場合のものですので、詳しい時間割については、法務省のホームページを随時ご確認ください。
(3) 口述試験
口述試験の科目は、 法律実務基礎科目(民事・刑事)になります。
3 予備試験の勉強スケジュール
(1) 短答の勉強よりも先に論文の勉強から始める
上記日程を見ると、日程が短答式試験、論文式試験、口述試験の順番であることが分かると思います。これから勉強を始める場合に、純粋に考えれば、一番最初に受験する短答式試験から勉強しよう!と思う方も多いのではないでしょうか。
もっとも、資格スクエアとしては、論文式試験の勉強から始めることをおすすめしています。短答式試験の勉強を全くしないというわけではなく、割合としては、論文の勉強8割、短答の勉強2割といったところです。
なぜ論文の勉強から始めた方が良いのかというと、その理由としては、論文式試験の難易度が関係しています。
論文式試験は、予備試験の中でも、最も難易度が高い試験になります。短答式試験は、基本的には複数ある選択肢から正解を選ぶ形式ですが、論文式試験では、各科目につき4枚の答案用紙に論述しなければならず、答案の基本的な型を学ばなければなりません。答案の型を習得するまでにも、時間がかかり、また単に知識を習得しただけでは、答案が書けないので、答案を書けるようになるまでには、長い道のりがあるものと考えておいた方がよいでしょう。
また、短答式試験は、簡単にいえば、浅く広く問われる試験であるのに対して、論文式試験は狭く深く問われる試験になります。この場合に、まずは太い幹の部分から、深い部分から勉強する方が重要になります。
最も理想的な勉強スケジュールとしては、例えば、令和3年の5月頃から令和4年合格を目指して予備試験の勉強を開始した場合、論文の勉強を令和3年内に完成させ、令和4年2月から3月頃に短答の勉強を中心にやるのが理想的です。
もちろん、勉強の進捗にもよるので、人によってどれくらいの割合で勉強するかは様々あると思います。論文の勉強が思うように進まなかった方は、試験3,4か月前でも、短答と論文の割合を半々くらいで勉強するなど、進捗によって調整していきましょう。
(2) 短答式試験後の勉強
短答式試験が終わってから、論文式試験までに約2カ月あります。この間は、ひたすら論文の勉強をします。特に、この期間は、アウトプットを中心に、最低でも1日1通答案を書くように心がけましょう。
2カ月しか期間がないので、この間は新しいことを勉強するよりも、持っている知識を更に深く理解するというような勉強をするのをおすすめします。これまで勉強してきたことを復習する意識で、取り組んでみてください。
(3) 論文式試験後の勉強
論文式試験が終わると、口述試験までは約4カ月間ありますが、論文式試験の合格発表が令和4年度予備試験に関しては、10月20日に行われることとなっているので、合格発表日から口述試験まで約2週間しか時間がありません。
もっとも、口述試験の合格率は例年90%を超えており、大きなミスをしなければ、ほとんどの人が受かります。
また、口述試験では、論文式試験に必要な試験対策をしていれば、足ります。従って、論文式試験が終わってからは、これまでの知識を失わないような勉強を継続していきましょう。
論文式試験の合格発表から残りの2週間は、口述模擬を受けて、試験本番に慣れる訓練をしておきましょう。
(4) インプットよりもアウトプット重視
予備試験の勉強としては、インプットも重要ですが、アウトプットがより重要になります。
アウトプットをすることで、何が足りていないのか、課題が見えるので、インプットの勉強に還元することができ、インプットの質も上がります。また、アウトプットとインプットを繰り返すことで、記憶力の定着にも繋がります。
従って、普段の勉強では、インプット1対アウトプット3、つまりアウトプットの割合を増やして勉強するのをおすすめします。
4 サマリー
初学者の方は、予備試験をどのように勉強していけばよいのか、かなり明確になったのではないでしょうか。意外と短答式試験の勉強からしてしまいがちですが、論文の勉強からすることで、短答の勉強にも還元でき、コスパも良いので、是非上記のスケジュールで勉強に挑戦してみてくださいね。
5 まとめ
- 予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験の順番で実施される。
- 予備試験の勉強スケジュールとしては、まず論文式試験の勉強から始め、短答式試験から3~4か月前から、短答の勉強を中心に行うのがおすすめ
- 短答式試験が終わったら、論文式試験まで、①最低でも1日1通答案を書く、②新しいことに手を出さず、これまでの知識を更に深く理解する勉強をする
- 論文式試験から口述試験までは、これまでの知識を総復習する勉強をし、口述模擬を受けましょう
- インプット1対アウトプット3の割合で勉強を進めていきましょう