社会人が法曹を目指す上で、まず最初に目指すのは、司法試験の受験資格を取得することです。
司法試験の受験資格としては、①法科大学院を修了する、②予備試験に合格する、という2つのルートがありますが、可処分時間が限られる社会人にとっては、予備試験ルートの方が最適で最短です。
尚、令和5年より法科大学院在学中に一定条件のもと司法試験が受験できるようになりますが、時間的な制約が多い社会人にとっては予備試験がおすすめです。
この記事では、社会人が予備試験に合格するための必勝法について解説するので、是非参考にしてみてください。
1 予備試験は社会人でも合格できる
予備試験は、合格率が約4%と、難関試験になります。
「こんなに合格率の低い試験に合格できるのか」と不安になるかもしれませんが、社会人でも、合格している方はたくさんいます。
以下は、法務省が掲載している、年度別の社会人の受験者数と合格者数の表です。
なお、以下の合格者数は、公務員、教職員、会社員、法律事務所事務員、塾教師、自営業の合計になります。
年度 | 受験者数(総受験者数) | 合格者数 |
令和3年 | 4,360(11,717) | 65 |
令和2年 | 3,879 (10,608) | 64 |
令和元年 | 4,240 (11,780) | 62 |
平成30年 | 3,834 (11,136) | 62 |
平成29年 | 3,527 (10,743) | 50 |
出典:法務省
この表をみると、毎年予備試験を受験する人のうち、約3分の1の方は社会人であることが分かります。社会人の多くが予備試験を受験しているのですね。
また、合格している社会人の数も、毎年60人前後となっています。
予備試験が難しい試験であることには変わりないですが、一定数の社会人合格者がおり、社会人でも予備試験を目指せる試験になります。
2 予備試験は社会人が司法試験を目指すための最適ルート
冒頭でも説明しましたが、司法試験は誰もが受験できる試験ではなく、まずは受験資格を得る必要があります。
その中でも、予備試験ルートは、予備試験に合格すると、司法試験の受験資格が得られるルートになります。
予備試験には受験資格がないため、誰でも受験することができます。
また、予備試験のための受験勉強をする上で、社会人は、自分のペースで勉強を進めることができるので、スケジュール管理がしやすいといえます。
他方で、法科大学院を修了することで司法試験の受験資格が得られるルートもありますが、こちらのルートは法科大学院に進学し、2年ないし3年在学しなければならないため、時間的制約がある社会人にとってはこちらのルートよりも、予備試験ルートの方がおすすめできます。
社会人が司法試験を目指すなら、予備試験が最適のルートであり、最短で目指せるルートといえるでしょう。
3 社会人が予備試験に合格するために必要なこと
社会人が司法試験を目指すなら予備試験ルートがおすすめであるとお伝えしてきましたが、予備試験も司法試験と同様、難関試験であり、簡単に合格できる試験ではありません。
本格的に予備試験の受験勉強を始める上で、社会人が直面する壁とそれを突破するために必要なことがあります。
まず、社会人は仕事と勉強を両立する上で、スケジュール管理がとても大事になりますが、日によっては仕事の残業で勉強が全くできない日や、休日も疲労がとれず、1日中ダラダラ過ごしてしまうということもあると思います。
特に独学で予備試験に挑戦する方は、モチベーションの維持に苦労することも多く、実際に完全に独学で挑戦するのはとても難しいといえます。
そこで、経済的に余裕のある方は、予備校を利用することをおすすめします。
予備校によっては、フォローアップ制度など、スケジュール管理をみてくれるオプションもあるので、一人で勉強が継続できるか心配な方は、是非利用してみてください。
また、社会人は、受験生仲間が周りにあまりいない中で、勉強をいかに毎日継続していけるかがとても重要になります。
そのためには、勉強計画を綿密に立てることが大事ですが、目標を最初から高く設定してしまうと、計画通りに遂行できなくなってしまった時に挫折してしまいがちです。
これは特に完璧主義の方にありがちな例なので、勉強に慣れるまでは、計画をなるべく緩やかに設定してみてください。
4 社会人の予備試験必勝法
(1) やることを取捨選択する
社会人は、仕事と両立しながら学習を進めなければならないので、可処分時間が専業受験生よりも少ないのが現実です。
そのため、可処分時間との関係で、予備試験合格のためにできることを絞ることが重要になります。
特に、回り道をしないためにも、合格のためにやるべきことを取捨選択していきましょう。
(2) 何をいつやるか決める
社会人が予備試験に合格するためには、細かく勉強計画を立てることが重要です。
すでにお伝えしていますが、計画を立てる上で、1日単位の可処分時間を割り出し、必ず達成できる内容の計画を立ててください。
例えば、1時間に基本書を10ページ読み進めることができる場合でも、5ページ分に設定する、1時間に問題集を1問終えることができる場合でも、2時間に1問に設定するなど、かなり緩く設定しておくと、余裕がでるため、前日に終えることができなかった分をその日に充てることができることもできます。
「勉強を継続する」ためにも、挫折しないためのルーティーンを整えることがとても大事です。
(3) アウトプット中心の学習
予備試験は出題科目も多く、出題範囲も広いので、最初はインプットに相当の時間がかかってしまうと思います。
また、法律という特殊な学問を理解するにも、時間がかかります。
しかし、予備試験においては、アウトプットが重要な要素になります。
アウトプットを何度も繰り返す中で、知識が定着し、インプットの質も高まるので、最初は理解が進まなくても、一通りインプットを終えたら早めにアウトプットの学習に入りましょう。
アウトプットの学習を通して、これまで理解できなかったことが理解できるようになります。
(4) スキマ時間をフル活用
社会人は、仕事のある日中に時間帯でも、スキマ時間を有効に活用することができます。
例えば、通勤時間では、講義をリスニングする、お昼休憩には、定義の確認をするなど、できることはたくさんあります。
スキマ時間に達成したいことも計画の中に入れることで、スキマ時間でも意識的に勉強する習慣ができます。
この小さな積み重ねがとても大事なので、是非スキマ時間を有効にフル活用してくださいね。
5 サマリー
予備試験は、誰でも司法試験に挑戦できるようにできた制度でもあり、まさに社会人にとって法曹を目指せる大きなチャンスです。時間がないという制約がある中でも、司法試験の合格を勝ち取ってきた社会人はたくさんいます。
様々な創意工夫をしながら、是非、この機会に予備試験に向けて受験勉強頑張ってください!
6 まとめ
- 予備試験のおよそ3分の1の受験生は社会人であり、毎年数多くの社会人が合格している
- 予備試験には受験資格がなく、社会人にとっても自分のペースで勉強が進められるため、司法試験の受験資格を得るための最適なルート
- 社会人が予備試験に合格するためには、時間の管理(スケジュール)、勉強計画を立てることが重要
- 社会人の予備試験必勝法は、①やることを取捨選択する、②何をいつやるか決める、③アウトプット中心の学習、④スキマ時間をフル活用