司法試験予備試験の一般教養科目が廃止される!2022年に向けた対策はどうすればよい?

予備試験

予備試験を目指される方は科目ごとに対策をしていることでしょう。そのなかのひとつである「一般教養が廃止されるかもしれない!」というあいまいな情報がネット上でよく見られますよね。

「実際はどうなの?」という点で明確に説明してくれるサイトや記事はなかなか見つからないのではないでしょうか。そこで今回は予備試験の一般教養についてを詳しく解説していきます。

1 司法試験試験予備試験における一般教養科目とは?

一般教養科目とは、司法試験予備試験の論文式と短答式でそれぞれ出題される科目のひとつです。

一般教養科目の短答式と論文式の違いについて以下で確認しましょう。

出題科目 出題数
短答式 ・英語
・人文科学
・社会科学
・自然科学
40問ほどの中から20問を選択
論文式 ・人文科学
・社会科学
・自然科学
1問


出題科目からも分かるように、予備試験における一般教養試験では直接的な法律に関する問題は出題されません。では、なぜ予備試験は、法律家になるための試験なのにもかかわらず、法律以外の一般教養を出題してくるのでしょうか。これは、一般教養科目が出題される理由として、「司法試験で問われる法律の知識にとどまらず、幅広い知識をもった法曹の人材を世の中に輩出するためだからです。

法科大学院コースを経て司法試験を受験する人は、大学を卒業していることが前提になるので、大学卒業程度の一般教養知識があるといって良いでしょう。しかし、予備試験コースを選択した人には、大学の卒業が条件となっておりません。高校生から定年をした方まで受験者層は非常に幅広く、「法科大学院卒業者と同程度」の一般教養の知識があるかどうかを証明させる必要があるのです。

これはそもそも司法試験及び予備試験が弁護士や検察官などの「実務家育成試験」としての役割を持っているからです。このような観点から、予備試験では法律に関係のない一般教養科目を試験科目として課すようになりました。そのため一般教養科目では、大学のセンター入試+αくらいの難易度の問題が実際に出題されています。

しかしながら、一般教養は受験生からすると相当な負担になります。出題範囲が膨大過ぎるためから対策することが大変難しい科目だからです。そもそも一般教養科目は特別な勉強が必要な科目なのでしょうか。勉強しなくていいのであれば、極力、論文などの対策に時間をあてたいですよね。では実際に以下で、一般教養科目が合格にどのくらい影響があるのか見ていきましょう。

(1) 予備試験の一般教養科目は合格にどのくらいの影響があるの?

そもそも一般教科目は予備試験において、どのくらいの配点を占めているのでしょうか。配点の割合が高ければ、必然的に勉強をする必要が出てきますね。以下はそれぞれの出題形式での一般教養の占める割合です。

短答式 一般教養60点/合計270点

論述式 一般教養50点/合計500点

短答式の一般教養の占める割合が高いようにも見えますが、令和2年度の短答式合格点は156点以上で平均点は173.3点でした。一般教養に限っていえば平均点は24.3点となっています。極論ですが、一般教養科目が0点でも、法律科目で7割5分程度取る事ができれば合格できるという計算になります。

また、すでに持っている知識と直感で十分に対応できる問題がチラホラあるかもしれませんよね。結論からいうと、貴重な時間をわざわざ対策に当てる必要はないと考えられます。重要なのは、時間をかければ解ける論理問題や、一般常識で解ける問題を絶対に落とさないことです。具体的にどのような問題が出題されているのかについては、以下の法務省のサイトから確認することができます。

まずは最新の令和2年度の過去問を確認して、どのような問題が出ているのか確認してみると良いでしょう。

出典:法務省 令和2年司法試験予備試験試験問題

ここで「対策をしない人が多いのなら、出題することそのものに意味ないんじゃないの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。実はこの疑問は実際に世間で「廃止になるならない論争」として物議を醸しているのです。いくら特別な対策をする必要のないといっても、「無くなるか無くならないか」という点は受験生にとっては大きな問題であり、気になるところですよね。

はたして「一般教養が廃止になるならない」論争の背景はどのようなものなのでしょうか。

(2)  一般教養科目が廃止になるならない論争の背景

まず一般教養科目が廃止になるならない論争の背景から見ていきます。この論争が話題になっている最大の要因は、予備試験の合格率の低さです。予備試験の受験者数は毎年増えているにも関わらず、合格率は3~4%ほど。

半年間にわたり実施される短答式、論文式、口述式の全ての試験に合格する必要がありますから、まさに長期戦の超難関試験といえますね。本来、予備試験は法曹を目指す人の経済的な負担を減らすために作られた試験制度といっても過言ではありません。しかし現実問題、予備試験に合格するためには、膨大な時間とお金が必要になります。

これでは本来の趣旨を逸脱し、予備試験の合格が「狭き門」になっていることは疑いようのない事実ですよね。そこで、法曹志望者の人数を維持し、司法試験の合格水準を保つために、予備試験の難易度のバランスを見直す必要が出てきているのです。すでに予備試験の難易度のバランスを取るために、予備試験の問題の見直しが検討されています。具体的な見直し案として、

予備試験における一般教養科目を廃止する

もしくは大学の一般教養課程の修了をもって免除する

という案が挙がっています。一体なぜ上記のような見直し案が挙がってきたのでしょうか。一般教養科目の出題範囲はとても広く、難易度も大学のセンター試験+α程度です。理系の大学学部を受験しない限り無縁な数学知識まで問われますし、大学の終了程度の教養知識ですからそれなりの専門性がある内容になります。

当然、一度も勉強していなければ解けない内容ですよね。たとえ20問程度の中から解答する問題を選択できるとはいえ「受験生の負担になっているのでは?」という意見を主張する声もあります。そこで、この一般教養科目という負担を取り除き、予備試験の合格率のバランスを取ろうと考えられるようになったのです。

このような論争は、実際に日本弁護士連合会や民主党政策調査会でも議論がなされていますが、残念ながら現状では「廃止する」という方向に話が進んでいません。では、今後は結局、予備試験における一般教養科目は無くなるのでしょうか、無くならないのでしょうか。

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2 2022年から予備試験の一般教養科目は廃止される!

ポイントは3つありますのでおさえておきましょう。

◆2022年から適用される

◆論文式試験の「一般教養科目」が廃止され「選択科目」が導入される

◆選択科目の詳細は未だ不明

参照元:文部科学省 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案

2021年までの司法試験予備試験 2022年以降の司法試験予備試験
短答式試験 短答式試験
公法系(憲法・行政法)
民事系(民法・商法・民事訴訟法)
刑事系(刑法・刑事訴訟法)
一般教養科目
公法系(憲法・行政法)
民事系(民法・商法・民事訴訟法)
刑事系(刑法・刑事訴訟法)
一般教養科目
論文式試験 論文式試験
公法系(憲法・行政法)
民事系(民法・商法・民事訴訟法)
刑事系(刑法・刑事訴訟法)
一般教養科目
公法系(憲法・行政法)
民事系(民法・商法・民事訴訟法)
刑事系(刑法・刑事訴訟法)
選択科目

Wセミナーのサイトを元に作成

選択科目の詳細は未だ発表されておらず、意見交換会に留まっています。受験生からしてみれば非常に不安になるのではないでしょうか?参考までに『司法試験』で実施されている選択科目をみてみましょう。

租税法、倒産法、経済法、知的財産法、労働法、

環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系) 以上8科目

※(注意!)これらはあくまでも司法試験の選択科目です。

受験生にとって、法律科目が丸々1科目増えるとなるとかなりの負担ですよね。対策や心構えも必要です。

3 予備試験の選択科目の対策はどうすればよいの?!

 ◆まずは、2021年度の合格を目指す!

 ◆焦らずに「選択科目」の勉強をして1年ずらして合格を目指す!

法律科目を新たに勉強するのは、受験生にとってはかなりの負担となるものですよね。勉強の開始時期にもよるのでしょうが、合格目標を1年ずらす事を選択するには、相当勇気が要ります。ある程度勉強が進んでいる受験生は、“2021年度合格目標”を掲げ、適切な言葉ではないかもしれませんが、さっさと合格してしまいましょう!

そうは言っても、『言うは易し行うは難し』なのが現実なわけです。仕事や学校、家事、育児、介護などと両立をしている受験生にとっては、経済的な事情時間的な制約を考えると、合格目標を1年ずらす事は難しいのではないでしょうか?どちらを選択するかは、非常に悩ましい問題ですよね。

いずれにせよ独学で選択科目を勉強するよりは、費用をかけても資格予備校の「選択科目対策講座」を取って効率的に勉強する事が得策と言っても過言ではありません。詳細の発表があり次第、一度資格予備校に相談される事をおすすめします。

自分の勉強面での得手不得手とする科目や希望者が多い科目、勉強のしやすい科目はどれかなどを含め、プロの講師に相談してみましょう。あなた自身に合った“合格に近づける科目”を見つける事ができ、効率の良い勉強ができる事が期待できます。

また、Youtubeなどでも「予備試験の選択科目はどの科目を選ぶべきか?」などがテーマとなった動画が賑わいを見せるでしょうし、情報収集は常に心がけておきたいものです。そして、忙しい社会人にお勧めの受講スタイルは、スキマ時間を効率良く利用できるオンライン講座です。

最近では、オンライン講座スタイルが定着しつつあります。資格試験の勉強に限らず、コロナの影響もあり、会社や学校でもオンラインで会議や授業を行う事がすっかり定着してきましたよね。資格予備校各社それぞれ特徴がありますから、自分に合った学校を見つけて『予備試験合格』を掴み取ってくださいね。

4 サマリー

一般教養科目については、現状では短答式と論文式の2種類で問われおり、2021年までは特別な対策をする必要はありません。しかしながら、2022年からは新たに「選択科目」が導入されます。

選択科目については、現時点での詳細は不明です。新たに法律科目が加わることとなれば、対策は必須で受験生にとっては大きな負担となり不安要素となることは間違いありませんよね。2021年で予備試験に合格してしまえば問題にならないものの、勉強を始めた時期により事情が異なります。

「あまり気にせず勉強に集中する!」と、心に決めていてもやはり気になってしまいますよね。今やれる科目、やるべき科目があるはずです!最新の情報は気にしつつも、あまりその事に囚われ過ぎずに“予備試験合格”への道を進んでいきましょう。

5 まとめ

  • 一般教養科目とは、司法試験予備試験で試される科目のことで、短答式と論文式の2種類 がある
  • 一般教養科目は、受験条件のない予備試験受験者に大学卒業レベルの一般教養知識があるか試している
  • 一般教養科目の配点は大きくなく、法律基本科目で7割5分以上取れていれば、ほぼ勉強する必要はない
  • 一般教養科目廃止の話題は、予備試験の合格率のバランスを取るために持ちあがった
  • 【要注意!】2022年からは「選択科目」が加わるので特別な対策が必要となる

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