司法試験や予備試験は科目も多く、出題範囲も広いので、学んだ知識や判例を整理するためにノートにまとめている受験生もいると思います。ただ、実際にまとめようとすると、学んだことを全て書き連ねてしまい、膨大なまとめノートを作るのに時間がかかってしまうなんてこともあるのではないでしょうか?
また、そもそもまとめノートを作る必要性があるのか、迷っている方もいると思います。この記事では、司法試験や予備試験におけるまとめノートの必要性について、注意点などを踏まえて徹底解説します。是非参考にしてみてください。
1 司法試験や予備試験にまとめノートは必要?
司法試験や予備試験において、まとめノートを作成する必要性があるのか否かについては、実際に合格者の中でも、まとめノートを作っていた方と作らなかった方と両方いることもあり、正解があるというものではありません。
もっとも、まとめノートを作った合格者の中で共通している点としては、まとめノートを作ることが目的化していないということです。
例えば、いつ読んでも分かりやすく読めるように、きれいにまとめなければと整理するのに時間をかけてしまい、肝心なアウトプットに時間が使えなくなってしまえば、せっかくきれいにまとめたノートも試験のために役立てなくなってしまいます。
「ノートはきれいにとらなければ」「ノートがきれいな人ほど頭がいい」などと思ってしまい、ノートをきれいにまとめることに執着しすぎて気づけば全く学習が進んでいなかったなんていうことになるのは、一番もったいないですよね。
このようなことからも、まとめノートを作成する場合には、様々な点に注意しなければなりません。
実際にありがちなまとめノートの失敗例を次に紹介するので、まとめノートを作成する方は、是非この点を注意してくださいね。
2 予備試験にありがちなまとめノート失敗例
(1) 失敗例①時間をかけてきれいなまとめノートを作る
さきほどもご紹介しましたが、司法試験や予備試験において最も典型的な失敗例は、まとめノートを作ることに時間をかけすぎてしまうということです。これは、特に完璧主義の方にありがちな例で、きれいにわかりやすく整理しようと1日の学習時間のうち、ほとんどの時間をノート作りに費やしてしまいます。
また、この失敗例の特徴としては、実際に何時間もかけて整理したまとめノートは、予備校のテキストや市販の参考書を作っているのと変わりがなくなってしまうということです。テキストや参考書は、きれいに体系でまとまった書物ですが、同じものを作成してしまうのであれば、あえてまとめノートを作る必要はありません。
したがって、まとめノートは何をどれだけまとめるのか、何のために作るのかという点をしっかり見極める必要があります。
(2) 失敗例②合格者のまとめノートをコピーする
よくありがちな例として、合格した先輩のまとめノートをコピーさせてもらう、データをもらうなどもありますが、こちらは厳しくいえば、最もやってはいけないことの一つです。
まとめノートは、自分でまとめることで、頭の整理をしたり、記憶が苦手な部分を重点的に補強するので、他人が作ったまとめノートを読んでも、自分の思考を整理したものではないので、理解に繋がらず、結局使い物にならなくなってしまいます。
また、他人のまとめノートは、その人に特化したまとめノートなので、そのノートをコピーさせてもらっても、理解に繋がらないのです。
まとめノートは、自分で作ることに意味があるので、他人のまとめノートをそのまま利用することは是非避けましょう。
(3) 失敗例③まとめノートを作ったのに見返さない
こちらもよくありがちな例ですが、まとめノートが完成したことで達成感に浸ってしまい、作成した後全く見返さないまま試験を迎えてしまうということもあるあるです。
まとめノートは、膨大な出題範囲の中から主要な論点や重要な分野を自分で整理し、試験の直前期や試験期間中に見返すことに大きな意義があるので、作った後見返さないのは、非常にもったいないことです。
もっとも、頭の整理をするという意味では、まとめノートを作る過程が全く無駄なことにはなりません。
見返すために作ったまとめノートを後に見返さないことが無駄になってしまうということになります。
3 予備試験に役立つまとめノートとは?
上記の失敗例を踏まえて、では、司法試験や予備試験に役立つまとめノートは何なのかをご紹介します。
まずは、これまでご紹介したまとめノートの失敗例をみれば、まとめノートを作ることが必須ではないことが分かると思います。
実際にまとめノートは作らず司法試験や予備試験に合格している方もいるので、例えば完璧主義の方や、まとめノートを作ることでかえって害が大きいと考える方は、まとめノートは作らないという意思を持つことも重要かもしれません。
ただ、科目数も出題範囲も広い司法試験や予備試験において、まとめノートがないというのは、精神的にも不安になりますよね。
そんな方にとって、まとめノートを作る場合に、多くの合格者が実践してきたノート作りについて、いくつかご紹介します。
(1) 情報を一元化する
情報の一元化は、多くの合格者が実践しています。
予備試験(司法試験)では、法律科目を体系的に理解することがとても重要になります。その上で、情報が体系的に整理されたノートがあるととても便利です。最終的には、試験の直前期に何度も見返して確認することができるので、コスパもとても良いといえます。
ただ、情報を一元化する作業が大変なのでは?と思いますよね。
ここで合格者が実践していた例としては、まとめノートを一からすべて自分で作成するのではなく、予備校のテキストや参考書、論証集を一元化ノートとして利用し、更に必要な情報を書き込んでいくというスタイルです。
特に論証集は、論点が体系ごとに整理されているものが多いので、市販で売られている論証集をまとめノートとして利用します。特に苦手な分野については、必要な情報を記載し、補強していくイメージになります。
各科目ごとに1冊の一元化ノートを用意することができれば、直前期はひたすら論証集を見返したり、試験会場に持っていき、確認するには必要十分な情報になるので、とてもおすすめです。
(2) 「情報」の取捨選択も重要
上記で情報の一元化の紹介をしましたが、この「情報」をどこまで含めるのかということも重要になります。予備試験や司法試験における情報としては、例えば定義、論証、判例、条文などありますが、全てを一元化すると基本書ができてしまうので、情報の取捨選択をする必要があります。
まとめノートは、後に何度も見返すことで自分が理解できていないところや記憶できないところを確認するために作るので、逆にいえば、試験本番で自然とアウトプットできる部分や理解できている部分について情報を一元化する必要はないといえます。
自分が後に見返す必要のあるものについて、情報として一元化することができればそれで十分なので、学習を進めていく中で、忘れっぽい分野や判例、定義などを把握するとよいでしょう。
(3) 学習が進んできてから情報を一元化する
情報の一元化をするタイミングも実は大事です。初学者の方は、最初の段階では、どのように情報を整理したら良いのか分からないと思います。
そこで、初学者の方は、テキストを読み進める中で、よく分からないなという部分をマークや付箋などで印をつけた上で、段階的に理解が進んだ部分については付箋を外していき、それでも付箋が残った部分について、まとめノートとして情報を残しておくという方法がおすすすめです。
まとめノートを最初の段階から作ろうとしてしまうと、結局情報が膨大になってしまうので、学習が進んできてから作る方が効率的といえます。
学習が進み、過去問などを解く段階にいくと、各科目の傾向性や頻出論点、自分の課題が次第に明確になっていくので、その段階で試験本番に必要な情報が何かが分かってきます。その段階にいたった時には、何を情報としてまとめておいた方が良いかが分かるので、合格に必要十分な情報をまとめることができます。
まとめノートは、最終的に全て理解でき、試験でアウトプットできるようになれば不要なものになるので、まとめノートの中でも、見返す部分を少なくするという意識を持つと良いでしょう。
4 サマリー
まとめノートは、作っている途中から誤った方向にいきがちなので、勉強法で失敗しないためにも、まとめノートを作る過程が重要になります。これまでお伝えしてきた3つのポイントを重視していけば、失敗しないまとめノート作りができるので、まとめノート作りで悩んでいる方は、是非参考にしてみてくださいね。
5 まとめ
- 司法試験や予備試験にまとめノートが必要か否かは、合格者によっても意見が分かれる
- 司法試験や予備試験におけるまとめノートの失敗例として、①時間をかけてきれいなまとめノートを作る、②合格者のまとめノートをコピーする、③まとめノートを作ったのに見返さない、などがある
- 司法試験や予備試験に役立つまとめノート作りとして重視すべきポイントは①情報を一元化する、②「情報」の取捨選択、③まとめノートを作るタイミング