予備試験の本番が近づいてくる直前期は、気持ちも不安で、なかなか勉強に手がつかない方も多いと思います。実は直前期は合否を左右する大事な期間になります。この記事では、予備試験の短答式試験、論文式試験、口述試験それぞれ直前期に必要な学習や過ごし方を解説するので、是非参考にしてください。
1 予備試験の直前期は最も大事な時期
受験生の方々にとっては、予備試験の直前期は不安と緊張が募り、受験生活の中で最も辛い時期といえるかもしれません。
もっとも、実は、直前期は、実力が最も伸びる時期でもあり、受験生にとっては最も大事な時期といえるのです。
緊張感が高まると、集中力も高まるので、勉強の一つ一つが血肉となっていくんですね。
この直前期に一気に力が伸びて合格できたという経験を持っている合格者の方も多くいらっしゃいます。
直前期は、模試が行われる機会も多いので、模試の結果があまり良くないと落ち込んでしまいがちですが、模試の結果が良くなくても合格している方はたくさんいらっしゃるので、一喜一憂する必要はありません。
「この時期は一番力が伸びる時なんだ!」と、目の前の勉強に必死に食らいついていくことが何よりも大事なことなので、これまで順調に勉強が進められなかった方も、一度リセットした気持ちで、日々の勉強に挑んでいきましょう!
2 予備試験の直前期~短答式試験編~
(1) 苦手科目・分野を重点的に学習する
上記でお伝えしたように、直前期はとても大事な時期であると共に、何を優先して勉強すべきかが重要になってきます。
特に短答式試験においては、過去問を何度も解いたり、演習問題を解く中で、何度も間違えた肢・分野については、この時期に重点的に復習することが重要です。苦手科目・分野を少しでも克服し、正解できるようになれば、そのままそれが試験本番で得点につながるからです。
逆に、既に何度も正解している肢については、この時期に学習する優先順位は低くなります。
短答式はどれだけ得点できるかが肝になります。1点でも多く得点するためには、苦手分野を中心に学習していきましょう。
(2) 過去問を解く
直前期に過去問を解くことは、本番を具体的にイメージすることができる上でも有効です。
例えば、試験本番と同じスケジュールで解きながら、休憩時間に何を見返すかなど、試験日の過ごし方を具体的に決めて、本番で少しでも緊張が解けるように工夫することも重要になります。
また、直前期に過去問を解くことで、自分の苦手分野を特定することができるので、苦手分野の学習に繋げる上でも、とても重要です。
特に、過去問で何度も出題されている分野を間違えた場合には、この時期に早めに対策しておきましょう。
(3) 模試で出てきた論点は復習しておく
直前期は、様々な予備校で短答の模試が行われると思います。
模試は、予備校がその年に出題されるであろう分野から問題を作成していますが、難易度はそれぞれ異なります。予備校によって特色もあるので、それぞれの特色を理解した上で、模試を受けてみてください。
ここで注意すべき点があります。
模試は、あくまで模試と捉えて、模試の結果に一喜一憂しないことが重要です。
既にお伝えしたように、予備校によって難易度は異なるので、思ったよりも結果が良くなかったことで落ち込んでしまうよりも、間違えた肢をしっかり復習し、本番で同じような問題が出題された場合には正解できるように準備しておきましょう。
オンライン予備校の「資格スクエア」では、「未来問」という、過去問統計などを解析し、出題可能性の高い問題を分析し再構成した短答模試を提供しています。出題予測として有効ですので、是非ご活用ください。
また、他の予備校では、毎年全国短答模試を実施しております。他の受験生との関係で、自身がどの水準にあるかを客観的に把握できる絶好の機会なので、是非受験することをおすすめします。
(4) 一元化した資料・まとめノートを見返す
予備試験が近づくにつれ、できることもだんだん少なくなってきます。
これまではじっくり時間をかけて講義を視聴したり、基本書を読んだりと、余裕があった方も、直前期は、全科目を満遍なく総復習しましょう。
例えば、これまで一元化してきた資料やまとめノートがある方は、これらを何度も見返し、まだ理解できていない部分については、適宜基本書や講義を視聴して理解を深めるといった方法があります。
短答式試験では、判例六法や択一六法などに一元化している方もいると思います。条文の素読も、直前期ではとても有効な学習方法になります。
3 予備試験の直前期~論文式試験編~
短答式試験が終わると、次は論文式試験を迎えます。
例年、短答式試験が終わってから約2カ月後に論文式試験が実施されるため、実はあまり準備期間がありません。
参考に、令和4年度予備試験の短答式試験の日程は、5月15日、論文式試験の日程は7月9日、10日となっています。
短答の合格発表が短答式試験から約2週間後に発表されるため、発表後からだと約1カ月しかないことになります。
短答式試験の合格発表を待っていては論文式試験までに対策が間に合わないので、この場合は、早急に短答の自己採点をすることをおすすめします。
というのも、予備試験では、毎年予備校が短答式試験の解答速報を提供しているので、解答速報が出次第、自己採点し、論文式試験に向けてすぐに準備することが重要になります。
短答式試験を突破していることが見込めたら、すぐに論文対策に入りましょう。
直前期の論文対策としては、短答対策の場合と同様に、過去問を解くことが重要です。
過去問を解く→敗因分析→必要な知識をインプット→過去問を解く
といったサイクルを繰り返すことで、アウトプットの精度が一気に上がり、また、論文の合格ラインに近づくことができます。
また、インプットも重要ですが、新しい知識を入れるよりも、これまで学習してきたことを復習するという意識で、基本的知識の確認をしていきましょう。
この時期では、短答と同様に、例年各予備校が全国論文模試を実施しています。特に受験者数の多い予備校の模試を受けることで、自身が相対的にどのレベルにいるのかが把握できるので、是非受験しましょう。
4 予備試験の直前期~口述試験編~
口述試験は、例年11月上旬に実施されるため、論文式試験が終わってから約4カ月あります。
論文式試験の合格発表が例年10月中旬に発表されるため、発表から約2週間の準備期間しかありません。
論文式試験は、合格発表があるまで合格ラインにのったのかという判断が難しいため、口述試験の準備をすぐに開始できる自信がないという方も多いかもしれませんが、少しずつでも良いので口述対策を進めておくことをおすすめします。
この時期の口述対策としては、これまでに使った基本書やテキスト、論証集などを見返し、記憶を喚起しておきましょう。一度は覚えきった知識なので、復活させるまでにそんなに時間はかからないはずです。
また、口述試験は民事と刑事のいずれも問われますが、条文知識が問われる傾向にあります。民法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法のほか、民事執行法、民事保全法、弁護士職務基本規程といった口述試験で問われやすい法律の条文は素読(条文を1から読むこと)をしておきましょう。
口述試験に向けては、新たな知識を詰め込むというよりは、過去の知識を忘れないように保持しておく作業が中心になります。
口述試験の合格率は95%と高い水準なので、しっかり対策をすればほぼ間違いなく合格することができます。
オンライン予備校「資格スクエア」では、資格スクエア・予備試験講座をご利用いただいた方の中で、論文式試験に合格した方に向けて、口述模試の特典を無料で付与しています。資格スクエアを受講している方は、是非ご利用ください。
また、同じく資格スクエアの受講生の方で論文式試験に合格した方向けに、口述模試を無料で付与しています。是非ご活用くださいね。
5 予備試験の直前期~過ごし方編~
(1) 新しいものにあまり手を出さないこと
予備試験直前期に入ると、「まだあの演習書やってなかった」「まだあの基本書を読めていない」などと、できていないことに焦りが募ってしまい、ついつい新しいものに手を出してしまいがちです。
しかし、時間はかなり限られていますし、直前期に新しい演習書や基本書を買っても、それが直接合格に繋がるとも言い切れません。それと同時に、新しい書籍を買わなかったことで、それが直接不合格に繋がるわけでもないのです。
予備試験直前期は、これまで勉強してきたことを復習し、記憶として定着させつつ、より正確な知識として頭に入れることの方が重要です。
実際には、この作業を繰り返すだけで試験本番が来てしまうくらい、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
勉強計画を立てながら、新たに演習書を解く時間があるのか、じっくり吟味してから決めてみるのも良いかもしれません。
(2) 試験本番通りのスケジュールで学習を進める
試験本番の過ごし方は、人それぞれだと思います。休憩時間はひたすら条文を素読したり、論証集を読んだりするタイプもいれば、少しでも気分転換のために外の空気を吸ったり、仮眠を取ったりするタイプもいます。
何よりも、試験時間に最大の力が発揮できればそれで良いので、そのためにできる自分なりの過ごし方は、是非事前に決めておくのがおすすめです。そのためにも、試験本番通りのスケジュールで学習を進めることもおすすめです。
合格者の中には、直前期から毎日同じルーティーンで過ごしていたという方もいます。自分なりの過ごし方をこの時期から決めてみてはいかがでしょうか。
(3) 睡眠をしっかりとる
直前期に入ると、睡眠を削って勉強に時間を割いてしまいがちですが、長く続くと、体調を崩す原因となってしまいます。
直前期は大事な時期なので、無理して体調を崩してしまうよりも、1日たりとも無駄にしたくないですよね。そのためには、睡眠は必ず十分とるようにしましょう。
一方で、この時期は、不安と緊張のせいで不眠症になってしまう方も多くいらっしゃいます。
そういう方は、早めに病院にいくことも重要かもしれません。なかなか夜寝つけないという方は、好きな映画やドラマを観て気分転換するという方法も試してみてください。
6 予備試験の直前期は受験生の誰もが不安な時期
これまでご紹介してきたように、予備試験の直前期は、誰もが不安で精神的にも不安定な時期です。自分だけ勉強が進んでいないと思うかもしれませんが、他の受験生も同じような状況だと思います。
ただ、緊張したり、不安だと感じるということは、それはある意味これまで勉強してきた証といえます。
この緊張は、決してマイナスな感情ではないので、これが合格するための最後の試練なのだという気持ちで、プラスの感情として捉えて、日々の学習に取り組んでいただけたらと思います。
7 サマリー
予備試験の直前期まで来たということは、あと少しで山場を越えることができます。この時期の勉強が全てそのまま試験本番に活きてくるので、やるべきことを明確にして、このまま試験まで突っ走ってください。
受験生の皆さんにとって最大の実力が発揮できるように、応援しております!
8 まとめ
・予備試験の直前期は、受験生活の中で最も大事な時期
・直前期は、苦手科目・分野を重点的に対策していきましょう
・直前期は、過去問を解きながら、苦手分野を洗い出しましょう
・模試で出てきた問題はしっかり復習しましょう
・一元化した資料・まとめノートを見返しましょう
・試験本番の過ごし方を事前に決めておきましょう
・睡眠はしっかりとって、万全なコンディションを維持しましょう