司法試験と学歴は関係あるの?高学歴の方が合格しやすいのかなど徹底解説します!

予備試験

 

弁護士や裁判官などの法曹になるためには、司法試験に合格しなければなりません。司法試験は最難関の国家試験なので、頭が良い=高学歴でないと合格できないというイメージを持つ方も多いかもしれません。

確かに司法試験は難易度も高く、簡単に合格できる試験ではありませんが、実は高学歴の人ばかりが合格しているわけではないのです。また、実は中卒や高卒の方でも、一定のルートで受験することができます。

この記事では、司法試験と学歴の関係性について、合格者の出身ランキングなどを紹介しながら徹底解説します。是非参考にしてくださいね。

1 司法試験を受験するためには

司法試験は、誰もが受けられる試験ではなく、主に2つのルートから司法試験の受験資格を得る必要があります。この2つのルートというのは、①予備試験ルート(予備試験に合格する)②法科大学院ルート(法科大学院を修了する)です。

いずれのルートも、司法試験を5年間で5回まで受験ができます。

(予備試験ルートは予備試験合格後の最初の年の4月1日から5年間、法科大学院ルートは法科大学院修了後の最初の年の4月1日から5年間)。

(1) 予備試験ルート

予備試験ルートは、予備試験という試験に合格することで司法試験の受験資格が得られるルートです。

予備試験は、司法試験と異なり、短答式試験、論文式試験に加えて、口述試験も行われます。例年毎年5月中旬頃に短答式試験が行われ、これを突破すると7月頃に論文式試験を受けることができます。また、論文式試験を突破すると、10月頃に口述試験を受けることができます。段階的に試験が行われるという意味では、司法試験と制度が大きく異なるといえるでしょう。

また、出題科目も異なります。短答式試験では、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、一般教養科目の8科目から出題されます。

論文式試験では、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、刑事実務基礎、民事実務基礎、選択科目(2022年度から)の10科目から出題されます。

口述試験では、民事実務基礎と刑事実務基礎から出題されます。

司法試験と比較すると予備試験の方が負担が大きいのでは?と思うかもしれません。確かに、科目数も多く、合格率も約4%と非常に難易度の高い試験といえます。もっとも、予備試験受験者数は毎年増加傾向にあり、法科大学院ルートに比べて人気傾向にあります。

その理由の一つとして、予備試験経由の司法試験合格率がとても高いことが挙げられます。

法科大学院修了者の令和2年度司法試験の合格率が32.68%であるのに対して、予備試験合格者の司法試験合格率は89.36%と、その差は約60%もあります。予備試験に合格することができれば、司法試験に合格することも夢ではないということですね。

予備試験の勉強をそのまま司法試験にも活かせることができるという点も、人気の一つといえるでしょう。

(2) 法科大学院ルート

法科大学院ルートは、法科大学院を修了することで司法試験の受験資格が得られるルートです。法科大学院は、既修コースであれば2年、未修コースであれば3年修了するまで時間がかかります。

法科大学院では、同じ目的に向かって切磋琢磨できる仲間を作ることができ、一緒にゼミを組むなど、モチベーションを維持できる環境の中で学習が続けられるという点では、予備試験よりも孤独にならずにすみます。

他方で、経済的な理由で法科大学院ルートを選択できない方や、社会人の方などは、予備試験ルートを選ぶ傾向にあります。

2 司法試験合格者の出身ランキング

実際に司法試験に合格した方々の出身(予備試験ルートも含め)で多いのはどこなのでしょうか?

令和2年度のランキングをご覧ください。

▼令和2年度司法試験 司法試験合格者ランキング

法科大学院名 合格者数
予備試験合格者 378名
東京大法科大学院 126名
慶應義塾大法科大学院 125名
京都大法科大学院 107名
中央大法科大学院 85名
一橋大法科大学院 84名
早稲田大法科大学院 75名
神戸大法科大学院 62名
大阪大法科大学院 34名
明治大法科大学院 30名

なんと、令和年度司法試験合格者で最も多かったのが、予備試験合格者でした(378名)。2位の東京大学法科大学院の倍以上の数なので、圧倒的に予備試験合格者が多いことが分かります。

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3 司法試験は高学歴でないと受からない?

(1) 予備試験合格者の学歴

司法試験合格者の内訳で予備試験合格者が最も多いということが分かりましたが、そうすると司法試験と学歴は関係ないのでは?という疑問が生じると思います。

予備試験合格者といっても、約4%の合格率という難関試験を突破している方々なので、予備試験合格者の内訳も気になりますよね。

実際に令和元年度予備試験合格者の職種別内訳(上位5位)と、出身大学(上位10位)は以下のとおりでした。

▼令和元年度予備試験 職種別合格者ランキング

職種別 受験者 最終合格者 合格率
大学生 3,340 250 7.5%
法科大学院生 1,265 115 9.1%
無職 2,475 40 1.6%
会社員 2,936 33 1.1%
公務員 998 19 1.9%

まず、職種別ランキングですが、最も合格者が多かったのが大学生で、250名でした。一方で、合格率をみると法科大学院生が9.1%と最も高く、その次が大学生で7.5%でした。

上位5位の職種別ランキングの全体をみても、大学生・法科大学院生の合格者が半数以上を占めており、合格率も3位以下に比べると圧倒的に高いことが分かります。

▼令和元年度予備試験 出身大学合格者ランキング

大学名 出願者 受験者 最終合格者 合格率
東京大学 811 705 92 13.05%
慶應義塾大学 832 710 48 6.76%
中央大学 1114 937 39 4.16%
早稲田大学 869 719 32 4.45%
京都大学 329 277 13 4.69%
一橋大学 189 166 14 8.43%
大阪大学 169 153 9 5.88%
神戸大学 161 135 8 5.93%
明治大学 365 307 5 1.63%
北海道大学 131 109 4 3.67%

次に、出身大学ランキングを見てみましょう。

予備試験合格者の大学生のうち、最終合格者が最も多かったのが東京大学で92名でした。また、合格率も13.05%と最も高い結果でした。

上記の職種別ランキングと併せると、予備試験合格者のうち、大学生の割合が高く、また東京大学や慶應義塾大学など偏差値の高い大学生の割合が高いことがいえます。

予備試験合格者のうち、その半数以上が大学生で高学歴の人が多いということからすると、司法試験はやはり学歴と関係性があるのかもしれません。

(2) 高学歴=司法試験にも合格しやすい?共通点は?

実際に高学歴であることが、司法試験にも合格しやすいのか、一つの共通点として推察できるのは、正しい勉強法を確立しているということです。

高学歴の方々は、大学受験を経ています。特に東京大学や慶應、早稲田などの偏差値の高い大学に入学することは、一般的にとても難しく、受験生の多くは大学受験のために相当の勉強をしてきていると思います。大学受験のために予備校に通ったという方もいると思いますが、受験生活の中で勉強の習慣が根付いたことや、合格するための正しい勉強法に則って勉強することの重要性を認識しているのかもしれません。

司法試験も、勉強法がとても重要になります。特に、勉強量が多いのに合格できないという方や、自分の弱点を把握しきれずに何度も落ちてしまうという方は、勉強法が誤っている可能性がとても高いといえます。

実際に司法試験を何度も受けた末、合格した方の中には、正しい勉強法を実践した結果、成績を大幅に上げて合格できたという方が多くいます。必要な知識量はあるにもかかわらず、誤った勉強法をしてしまうのは、もったいないですよね。

これに対して、高学歴の方々は、試験の「戦い方」を知っているので、必要な勉強法を早い段階で確立できているのかもしれません。

ただ、決して高学歴でなければ司法試験に合格できないということではなく、司法試験に合格するための勉強法を掴むことができれば、誰もが合格に近づけるということでもあります。

予備試験制度は、そもそも受験資格がなく、大学を卒業していない人でも受けられる制度なので、誰もが挑戦できる試験という意味でも、学歴は気にする必要はありません。

「高学歴でないと司法試験に合格できない」という発想を持つ必要はありません。司法試験に挑戦したいという方は、試験に合格するための勉強法や、自分に足りないことを常に把握しながら学習を進めていくことがとても大事になります。

4 サマリー

司法試験と学歴の関係を考えてきましたが、これから司法試験に挑戦しようか考えている方は、高学歴でないことを理由に諦めたりする必要はありません。あくまで試験に合格するために必要なことは何かを考えながら、また周りの助けをもらいながら学習を進めていってくださいね。

5 まとめ

  • 司法試験を受験するためのルートとして、①予備試験ルート、②法科大学院ルートがある
  • 令和2年度司法試験合格者ランキングで、予備試験合格者が最も多い
  • 令和元年度予備試験合格者の職種別ランキングでは、大学生が最も多く、出身大学は東京大学が最も多い
  • 司法試験は高学歴出身者の多くが合格しているものの、その理由として高学歴の人は正しい勉強法を確立できていることが考えられ、高学歴でないと合格できない試験ではない
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