六法とは?予備試験学習でおすすめの六法と活用法を伝授!

予備試験

予備試験や司法試験の合格を目指している方にとって『六法』は必須アイテムです。

 

「六法を丸暗記するレベルじゃないと予備試験や司法試験には合格できない」

 

一般的には、このようなイメージを持たれている方が少なくないのですが、実はそうではありません。勉強を進めていく中で何度も何度も条文を引くことにより、記憶が定着し知識となり、自然と覚えてしまったという見方が正しいのかもしれません(試験では六法が配布されます)。

 

ひと口に六法といっても、何種類かあり、どれを選べば良いのか迷ってしまいますよね。また、予備試験会場や司法試験会場で配られるという六法とはどのようなものなのでしょうか?

この記事では、法律学習の必須アイテムである六法にスポットをあてて、おすすめの六法や正しい活用法などをご紹介していきます。是非、ご参考になさってくださいね。

1 六法とは?

“六”という数字が名称に含まれていることから、6つの法律が収められていると思われますが、実は、6つ以上の法律が収められています。

一般的に、六法というと「憲法」「民法」「刑法」「商法」「民事訴訟法」「刑事訴訟法」の6つを指します。

予備試験の出題科目においては、基本7科目が必須であり、これら6つのほか7つ目の法律科目として「行政法」さらには、2022年度(令和4年度)から8つ目となる「選択科目(※後述)」が加わりますので、合計8つの科目を習得しなければなりません。

行政法については、行政に関連する「行政手続法」「行政不服審査法」「行政事件訴訟法」「国家賠償法」を一括りとして、便宜、行政法と呼ばれていますので1科目といえども広範に及びます。

また、六法には、民法に関連する借地借家法や、商法に関連する法務省令の会社計算規則、ほかにも民事保全法や民事執行法など手続き面に関する法律なども多岐にわたり1冊に収められています。

2 予備試験学習におすすめの六法

試験科目が広範に及ぶ予備試験対策に適した六法とはどのようなものなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

 

〈予備試験対策に適した六法は2つ!〉

用途 種類 おすすめの理由
インプット用 判例六法 条文・判例が掲載されている。メモ書きや重要箇所にマーキングするなどして情報の一元化に最適
アウトプット用 司法試験用六法 選択科目の法令も掲載されており、予備試験・司法試験で貸与される六法と同一のものなので練習(本番仕様に慣れる)に最適

 

表中にもある通り、インプット用の「判例六法」の特徴は、法律の条文が掲載されているだけではなく、その条文に関連する「判例」が該当条文のすぐ後ろに端的に要約し掲載されています。条文と判例を関連付けて理解することができますので効率が良いことは勿論のこと、勉強の過程で得た知識をメモ書きしたり、条文を引くごとにマークを重ねていけば頻出条文や判例が浮き彫りとなり一目瞭然です。

アウトプット用の「司法試験用六法」の特徴は、比較的価格が高い(6000円ほど)ことがネックとなりますが、過去に予備試験や司法試験の論文式試験まで到達した方は試験当日に貸与された六法を無料で持ち帰ることができます。

 

また、一般的な六法には、選択科目(※下記参照)の法律が掲載されていないこともありますが、司法試験用六法には全て掲載されています。また、司法試験用六法には、注釈や判例を付さない試験仕様となっていることが特徴的といえます。

 

具体的には、大きく分けると3つの違いがあるといわれています。

■掲載されている法令の順番

■レイアウト(見出しがない)

■参照条文がない

 

司法試験用六法を日頃の勉強に用いるメリットは、この1冊で完結することができる点や本番同様の六法に慣れておくことができる点にあるといえます。

 

2022年(令和4年度)からは予備試験の論文式試験に選択科目が導入されます!

倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法(公法系)、国際関係法(私法系)の8科目から1科目を選択します。(参照:法務省「令和4年司法試験予備試験受験案内」より)

 

3 予備試験受験生が知らない正しい六法の活用法

六法の活用法は、人それぞれ異なり一概にはいえませんが、ここでは勉強を始めた「初期段階から」と「実力完成期」に分けて、それぞれの活用法を見ていくことにしましょう。

(1) 初期段階〜の活用法 

〈六法の正しい活用法〉初期段階〜

◆要件を暗記してから論文答案を作成しようとしてはいけない!

◆ インプット中に出てくる条文を引き、体系の中のどこに位置付けられているかを理解する

◆条文から出発し丁寧に理解をする(単なる暗記は×)

成績が思い通りに伸びないと悩まれている方の中には、六法を引く習慣がついていない方が少なくありません。中には、論文答案を書く際に「要件を暗記してから書こう・・・。」などと思い、多大な時間を費やしてしまうこともあるのではないでしょうか。ですが、この勉強法は「ちょっと待った!」黄色信号です。

 

なぜなら、要件を暗記しなくても六法を引けば条文内に書いてあるからです。ここで大切なことは、単なる条文の暗記ではなく“条文の文言を解釈して導かれる要件を理解すること”です。仮に、解釈を理解していなければ、論文答案において論理の飛躍が起きてしまうことが否めません。

 

また、インプット中に出てくる条文を面倒臭がらずにマメに引くという習慣付けは基本中の基本ともいえるほど重要です。先述の通り、一つ一つの積み重ね(条文マーキング)が知識の定着を促すことに留まらず、後に功を奏します(頻出論点の抽出に役立つ)のでおすすめです。

 

なお、短答式試験対策においては、例年、条文知識だけで瞬時に解ける問題もあります。いわゆる短答プロパーと呼ばれる部分は手薄になりがちですので、他の受験生と差をつけるためにも、過去問で出てきた条文にマーキングし頻出の条文知識を習得することをおすすめします。

 

該当条文が体系の中のどの部分に位置付けられているのかを理解しておくことで、知識の定着のほか、論文式試験の本番で条文検索作業がスムーズに行えるようになることを目標としておきたいところです。

 

なぜなら、一般的な六法とレイアウトや掲載順の異なる「アウトプット用六法(司法試験用六法)」を本番で使いこなせるようにならなければいけないからです。

 

つまり、条文から出発する丁寧な勉強(六法を引く習慣付け、条文の文言解釈から導かれる要件の理解など)が、初期段階〜における正しい六法の活用法といえます。

 

(2) 実力完成期の活用法

〈六法の正しい活用法〉実力完成期

インプット用六法(判例六法)でマークした分からないところを潰す

◆アウトプット用六法(司法試験用六法)は本番で使いこなせるレベルにする

◆六法の音読や図解を行い理解を深める

 

実力完成期は、これまで積み重ねてきた基本的な六法の活用法を継続しながら、六法の音読や図解も取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

音読のメリットは、インプット用六法の頻出条文を音読することで理解がグッと深まることが期待できることです。

 

また、図解を行うメリットは、マーキングしてきた条文を紙に書き出してみることで理解が深まるという効果が得られることです。なお、この作業は、論文対策として行う「※フレーム(答案を構成する骨格)」を整理する作業と完全に一致します。

 

【条文の図解ポイント!】

■法律の目次

■場面分け・場合分け

■条文上の要件・効果

■条文相互の準用・引用関係

 

※「フレーム(答案を構成する骨格)」とは

資格スクエアでは、条文上の要件・効果論、原則・例外論などの答案を構成する骨格(アウトライン)のことをフレームと呼んでいます。

ex.「窃盗罪の成否を論じる場合」

窃盗罪の構成要件を満たすと、窃盗罪が成立するという法律上の要件・効果が反映されて以下のようなアウトラインとなる

第1 甲の罪責

1 窃盗罪の成否

(1) 「他人の財物」(客体)

(2) 「窃取した」

 ア 窃取行為(実行行為)

 イ 占有移転(結果)

 ウ 因果関係

(3) 故意(構成要件的故意)

(4) 不法領得の意思

(5) 結論

4 サマリー

予備試験に合格するためには、六法は2種類あればベストということがお分かりいただけたのではないでしょうか。一見すると、六法を引くことは簡単なようにも思えますが、独特の言い回しと法律学習自体が難しいが故に、なかなか六法をマメに引くのが億劫という方もいらっしゃるのではないでしょうか?今日から、条文を引く習慣を付けて論文式試験の本番で六法を使いこなし合格を目指しましょう!

5 まとめ

  • 一般的には、六法は「憲法」「民法」「刑法」「商法」「民事訴訟法」「刑事訴訟法」の6つを指すが、予備試験では選択科目を含めると8つある
  • 予備試験学習におすすめの六法|◆インプット用(判例六法)◆アウトプット用(司法試験用六法)
  • 条文から出発する丁寧な勉強(六法を引く習慣付け、条文の文言解釈から導かれる要件の理解など)が正しい六法の活用法
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