「思ったより難しんですけど・・・?!」
予備試験の過去問などを見てこのように思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?おそらく、多くの方がこのような感想をもたれているかと思います。
法律基本7科目だけでも手一杯であることが普通ですが、この独特すぎる一般教養科目の対策はどのようにすれば良いのでしょうか。
一般教養対策は、効率的に攻略することが合格への近道となりますので、是非ご参考になさってくださいね。
1 予備試験における一般教養科目とは?
そもそも、予備試験の科目に一般教養が含まれているのはいったいなぜなのでしょうか?
司法試験法第五条には以下のように規定されています。
(司法試験予備試験)
第五条 司法試験予備試験(以下「予備試験」という。)は、司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者と同等の学識及びその応用力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに後述の方法により行う。
条文中、「前条第一項第一号に掲げる者」とあるのは「法科大学院修了者」のことを指します。法科大学院修了者と同等の学識などを有することが要件となっていること、その他、法科大学院と大学の一般教養の在り方などを考慮した上で、大学卒業程度の一般教養知識を基本とすることとなった背景があります。予備試験の受験者層は非常に幅広いので、このような科目が課せられているということも頷けますよね。
続いて、予備試験の一般教養科目の概要をみていきましょう。いったいどのような科目なのでしょうか?
出題範囲 | 人文科学、社会科学、自然科学、英語 |
出題数 | 例年40問ほど出題されそのうち20問を選択
(※選択欄と解答欄のマークミスに注意。) |
配点 | 1問につき配点3点/60点満点 |
試験時間 | 90分 |
令和3年度の平均点は24.9点でした(参照:法務省「令和3年度予備試験短答式試験 結果」)。令和2年度は24.3点、平成31年度は24.7点と、ここ3年間は24点台を推移しています。1問3点ですから、選択肢した20問のうち8問強正解しているということですね。通常は、時事的な問題などは対策不要でも解ける問題が数問含まれていますので、それらは落とさずに得点していきたいところです。
人によっては、同じ解答欄にマークをしてある程度の点数を取れたというケースもありますので、あまり心配しすぎなくても大丈夫です。少なくとも、法律基本7科目でしっかりと点数が取れていれば、たとえ一般教養科目が1問しか正解しなくても合格することは可能です。
予備試験の短答式試験の合格点は、例年160〜170点ほど(270点満点)で推移しています。法律基本7科目で8割ほど取ることを目標にすれば、一般教養科目対策はあまり心配しなくても良いということがお分かりいただけるのではないでしょうか。
法律基本7科目は対策が立てやすく過去問を反復すれば得点できる問題が多いので、一般教養科目とのバランスを考えた上で、メリハリをつけた勉強が功を奏します。
参照:法務省「予備試験 結果」
2 予備試験の一般教養科目に有効な対策はないのか?!
前述のとおり、一般教養科目の攻略は、法律基本7科目対策とのバランスが大切です。具体的にはどのようなことなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
◆一般教養科目対策よりも法律基本7科目の得点をUPさせる対策をしよう!
◆前提知識不要の問題(=読解問題)は落とさないようにしよう!
人によっては、全く勉強せずに本番に臨むケースもあります。それはいったいなぜなのでしょうか?
平たくいえば・・・「対策のしようがない!」といったところでしょうか。
一般常識・倫理・日本史・地理・物理・化学などは大学受験レベルといわれており、比較的対策がしやすいでしょう。高校時代に使用していた参考書などを活用してみても良いかもしれませんね。また、最近ではYouTubeなどでも関連する情報が得られる便利な時代ですので、気になる方は活用してみてはいかがでしょうか。
一方で、前提知識不要の問題も例年出題されていますので、こちらに関しては得点しておきたいですね。国語的な問題もあり、その場で読んで答えを導き出すことになりますが、よく読めば解けるような問題もありますので、是非トライしてみてくださいね。
一般教養科目は出題される範囲も膨大です。(参照:法務省「令和3年度 予備試験 短答式試験 一般教養」)一つずつ潰していくにはあまりにも時間がかかりすぎてしまうことは想像に難くありません。それほど時間をかけるのであれば、法律基本7科目に費やした方が得点に繋がりますし、短答対策だけではなく後の論文式試験への布石となることは間違いありません。つまり、短答式試験の一般教養に特化した勉強は、費用対効果が悪いので最小限に留めておいた方が合格に近づきやすいということです。
3 2022年度の予備試験から論文式試験の一般教養科目は廃止される
2022年度から、予備試験の論文式試験において一般教養科目は廃止され『選択科目』が導入されることとなります。予備試験勉強中の方であれば、既にご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。法律科目が1科目増えたのですから、より一層の試験対策への負担が大きくなることはいうまでもありません。
【選択科目】※8科目より1科目選択
・倒産法
・租税法
・経済法
・知的財産法
・労働法
・環境法
・国際関係法(公法系)
・国際関係法(私法系)
したがって、一般教養科目は短答式試験だけでしか出題されませんので、あまり時間をかけて勉強することはおすすめできません。必要最小限に留めておいた方が効率的であるといえるのではないでしょうか。
なぜなら、短答式試験を合格したとしても、論文式試験に合格できなければ最終関門である口述試験を受けることができないからです。また、一般教養科目が短答式試験だけでしか出題されないことを考えると、予備試験合格後の司法試験で出題される『選択科目』を予備試験の段階から対策しておくことは、先を見据えた勉強を早い段階から行えるのですから効率が良いといえますよね。
4 サマリー
予備試験の一般教養科目についてみてきましたが、「あまり心配しすぎなくても大丈夫!」ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。一般教養対策に時間をかけすぎて、法律基本7科目が疎かになり不合格になってしまえば本末転倒です。自分自身の法律基本7科目の到達度を客観的に見てメリハリをつけた対策をされることをおすすめします!
5 まとめ
- 予備試験における一般教養科目は、法科大学院修了者と同等の知識を判定するためのものであり、範囲(人文科学、社会科学、自然科学、英語)が膨大なのでメリハリをつけた対策をしよう!
- 予備試験の一般教養科目に有効な対策|①一般教養科目対策よりも法律基本7科目の得点をUPさせる対策をしよう!②前提知識不要の問題(=読解問題)は落とさないようにしよう!
- 2022年度から予備試験の論文式試験では一般教養科目が廃止され『選択科目』が導入されるので短答式対策でしか出題されない一般教養科目の対策は最小限に留めよう!