宅建試験の試験時間は原則2時間です。この2時間をどう配分するかによって、合否が分かれると言っても過言ではありません。
そこで今回では、宅建試験の時間配分のポイントと当日の注意点についてご紹介します。ぜひ宅建試験の合格に向けて参考にしてみてください。
1 宅建の試験時間
宅建の試験時間は、13:00〜15:00の2時間(登録講習修了者は13:10からの1時間50分)です。問題数は50問なので、2時間あれば余裕そうにも感じますが、実際に解いてみると時間が足りません。
合格を目指すには、まず試験時間内に全問題を解ききる力を養う必要があります。そのため、自分に合った時間配分を知っておくことは非常に重要です。
自分に適した時間配分を把握しておけば、試験時間内に問題を解ききれるだけでなく、変に焦る必要もないので、実力を発揮することにもつながります。
2 宅建試験の時間配分のポイント
宅建試験の時間配分を考える際の重要なポイントは、以下の5点です。
- 1問あたり1分〜1分30秒を目安に解く
- 暗記問題を先に終わらせる
- 時間の掛かる問題は後回しにする
- 見たことがない問題も後回しにする
- 見直し用の時間を確保する
それぞれ重要なので、詳しく解説していきます。これらを意識するだけで合格の可能性もグッと高まるでしょう。しっかり理解して、実践してみてください。
(1) 1問あたり1分~1分30秒を目安に解く
試験時間の2時間を単純に50問で割った場合、1問あたり2分24秒です。しかし、実際に1問あたり2分24秒もかけていると、見直しなどをする時間も作れず、合格への道のりも険しくなります。そのため、時間配分はおおむね1問あたり1分〜1分30秒がおすすめです。
宅建試験はマークシート方式なので、見直しの時間は必要不可欠になります。万が一マークシートの解答をずらして記入してしまえば、合格はあり得ません。時間配分を考える際は、必ず見直しの時間も考慮して試験に挑むことをおすすめします。
以上のことを考慮したおすすめの時間配分を、以下の表にまとめてみました。ぜひ確認してみてください。下記の表はあくまで目安なので、自分の得意・不得意を考慮して時間配分を決めましょう。
試験科目 | 問題数 | 時間の目安 |
権利関係 | 14問 | 13:00~13:20 (20分) |
宅建業法 | 20問 | 13:20~13:50 (30分) |
法令上の制限 | 8問 | 13:50~14:00 (10分) |
税その他 | 8問 | 14:00~14:10 (10分) |
後回しにしていた問題 | – | 14:10~14:40 (30分) |
全体の見直し | – | 14:40~15:00 (20分) |
ポイントは、「時間のかかる問題は後回しにすること」と「見直しをすること」です。この2点を意識することで、試験に対する意識が大きく変わると思います。時間配分を考える際の参考にしてみてください。
(2)暗記問題を先に終わらせる
宅建試験では、まず先に暗記問題から終わらせることをおすすめします。その理由は、試験時間の2時間全てを集中して考え続けることが難しいためです。高い集中力を維持できる試験開始後に、絶対間違ってはいけない暗記問題を解く方が高得点を狙いやすくなります。
具体的な科目でいうと、宅建業法です。宅建業法は、暗記問題が多いうえ、出題数も20問と多いため、合格するためには絶対に落とせない科目のひとつです。そのため、宅建業法はできるだけ最初の段階で解きはじめるようにしてください。
(3) 時間のかかる問題は後回しにする
宅建試験は、6割〜8割(過去10年の合格基準点は31点〜38点)得点すれば合格することが可能です。本来なら得点することができた暗記問題が、時間不足によって解けなかったというのは、最も避けなければいけません。
したがって、必然的に権利関係の条例が絡むような時間のかかる問題は、後回しにする必要があるのです。
ちなみに時間のかかる問題は、言い換えると考える必要がある問題です。そのため、時間のかかる問題自体も、焦って解くよりもじっくり解いた方が正解率が上がるはずです。
(4) 見たことがない問題も後回しにする
宅建試験は過去問の類題が非常に出やすく、また暗記問題が多い試験です。そのため、見たことがない問題を考えるのに時間を取るのは得策ではありません。
未知の問題は後回しにして、見直し時間を使いながら後々じっくり解くようにしましょう。その結果、確実に得点できる問題は正解でき、未知の問題についてもきちんと考える時間が確保できるはずです。
(5) 見直し用の時間を確保する
見直し用の時間を確保しないといけない理由は以下の2つです。
- マークシート形式であること
- 引っかけ問題が多いこと
① マークシート形式であること
正しい選択肢を選んで塗りつぶすマークシート形式であるため、1つ解答がずれると、以降の問題はほとんどが不正解となってしまいます。そのため、必ず正しい内容でマークシートに記入できているか記入時に注意することはもちろん、後から見直すための時間を確保しましょう。
② 引っかけ問題が多いこと
宅建試験では、引っかけ問題が非常に多く出題されます。これは、重要なことは問わないといけないものの、過去問と全く同じ問題にはできないという事情もあるでしょう。そのため、落ち着いていれば解ける問題も、出題内容の読解に時間がかかり、間違ってしまうことも珍しくありません。
宅建50問中の1問と考えると、その1問は非常に重いものです。その1点で合否を分ける可能性もあり得ます。理解していたのに点数を落としてしまった、ということのないよう、見直しの時間は必ず残すようにしてください。
3 試験中・試験前日~当日の注意点
宅建試験の合格に向けて重要なのは、時間配分だけではありません。どんなに綿密に準備して試験に臨んでも、試験本番に実力が発揮できなければ意味がないのです。
ここでは、試験前日から当日に注意しておきたいことについて7つご紹介します。試験前日の注意点を把握し、試験当日に実力を発揮できる環境を整えておきましょう。
- 前日はしっかりと睡眠をとる
- 試験1時間~2時間前には会場に到着する
- 会場到着後は試験時間まで勉強
- 時計を持参する
- 温度の高低に対応しやすい服装にする
- 緊張が和らぐ方法を用意しておく
- 試験中はマークシートの転記ミスに注意
(1) 前日はしっかりと睡眠をとる
試験日前日は、しっかりと睡眠をとりましょう。なかには前日に徹夜して勉強する人もいますが、逆効果にもなりかねません。宅建試験は非常に範囲が広く、前日に覚えられる量はごく一部にすぎないでしょう。逆に寝不足で試験を受けることによって集中力を欠いてしまい、解けるはずの問題を間違えるリスクが高くなります。
これまでやってきたことに自信を持ち、前日はしっかりと睡眠をとることです。ただし、緊張で寝つけないこともあるので、試験前日はいつもより早めに寝室に入り、ゆっくり過ごしながら眠りにつくようにしましょう。
(2) 試験1時間~2時間前には会場に到着する
試験日当日は、1時間〜2時間前に会場に到着しておくことがおすすめです。万一会場を間違えても、移動しながら時間内に到着するよう対処できます。また、時間ギリギリに到着することで、会場の雰囲気に飲まれやすくなるのを防ぐことが可能です。
特に試験会場の雰囲気は独特であり、油断してはいけません。周りの受験者すべてが賢く見え、自分が勉強不足のように思えてきます。その結果、思ったように実力を出せないまま不合格になる人も少なくないのです。
せっかく万全の受験勉強をしていても、本番の試験で実力が発揮できなければ努力も水の泡です。自らが実力を発揮できる環境を整え、その逆は極力排除するようにしましょう。
(3) 会場到着後は試験時間まで勉強
前述の通り会場に1〜2時間前に到着すると、手持ち無沙汰になってしまうかもしれません。その時間こそ事前の勉強時間にあて、試験開始時間を待ちましょう。
その際に勉強すべきポイントは、統計問題と過去問のなかで自分が何度も間違えている、特に苦手な問題です。統計問題は数字を覚える必要があるため、直前の学習をおすすめします。一方で苦手な問題は、あらかじめリストアップしておくと便利です。リストアップした苦手問題を直前に復習することで、試験前の貴重な時間を有効に活用することができます。
(4) 時計を持参する
試験には、必ず時計を持参しましょう。時計がないと、せっかく時間配分を考えてきても、時間配分通りに試験を受けることができません。努力して積み重ねた実力を発揮することができなくなってしまいます。
時計は、携帯での代用ができないので注意しましょう。
(5) 温度の高低に対応しやすい服装にする
試験当日は、自らが温度調整しやすい服装で受験することをおすすめします。寒さや暑さによって試験自体に集中することができず、実力が発揮できない可能性もあり得るためです。
また2020年の宅建試験では、新型コロナウィルスの影響によって可能な限り窓・ドアを空けた状態で実施されました。2021年以降も、感染症予防のため同様の対策がとられる可能性があるため、試験に集中するためにも、必ず服装で温度対策をすることが大切です。
(6) 緊張が和らぐ方法を用意しておく
試験を受けるというのは、ほとんどの人が緊張するものです。そのため、自分なりに緊張を和らげる方法があるかどうかが、合否を左右する可能性もあります。万が一激しく緊張してそのまま会場の雰囲気に飲まれてしまえば、実力を発揮できず試験にも落ちてしまうかもしれません。
したがって、事前に深呼吸やアロマなど、緊張を和らげる方法を見つけておくことが重要です。さらに、それを日頃からルーティン化しておくと、なお一層効果が期待できます。
(7) 試験中はマークシートの転記ミスに注意
宅建試験では、問題を全て解き終わった後に、問題用紙からマークシートへ転記する人が多くいます。その理由は、試験後に自己採点をするためとマークシートの記入ミスを防ぐためです。
しかし、ごくまれに問題用紙からマークシートへの転記ミスをする人もいます。これは致命的なミスであり、いくら実際の理解度が合格点に達していても不合格となってしまいます。そのような事態を防ぐため、マークシートは何度も確認、見直しを徹底しましょう。
4 事前にしっかり過去問を解いておこう
宅建試験では、過去問を繰り返し解くことは非常に重要です。宅建試験は過去問の類題が非常に多く出題されるため、繰り返し解くことで合格に近づけます。もうひとつ大事な点が、過去問を繰り返し解くことでペース配分が身につくことです。
過去問はいわゆる過去の試験問題であり、1回分しっかり解くことで2時間・50問という感覚をつかめます。時間を計って過去問を解くことで、試験と同じ状況を何度も作ることが可能です。
したがって、過去問を繰り返し解くことで必然的にペース配分を身につけることができます。ペース配分を肌感覚で覚えたいのであれば、過去問をできる限り何度も解くことがおすすめです。
5 まとめ
宅建試験で与えられた限りある時間の中、すべての問題を解くためには時間配分が非常に重要です。時間配分がうまくできていないと、正解できたはずの問題を解くことすらできなかったという事態になりかねません。また、試験前日から注意すべき点を抑えることも重要です。
試験当日までにどれだけ準備を出来るかが、試験本番に実力を発揮できることに繋がります。実力を発揮し、正解できる問題を確実に正解していくことが何よりも合格への近道です。
本記事では、宅建試験の時間配分のポイントと試験当日の注意点について詳しく解説しました。この記事で得た知識を活かし、ぜひ宅建試験の合格をめざしましょう。