司法試験浪人しそう・・・こんな時どうすべき?

司法試験

「今年も司法試験に落ちてしまった・・・この先どうしよう。」

 

このまま勉強を続けるべきかどうしようかと悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

全身全霊で挑み、多くのものを司法試験合格のために費やしてきたのですから、ご不安になられるのも当然の感情です。

 

しかしながら、文系最高峰の難関試験に挑まれた経験は誰もが真似できることではありませんし、論理的思考や高い知識を有している、専門性に優れた貴重な人材ともいえますので、自信をもって前に進まれることをおすすめします。

 

いわゆる「司法試験浪人」を経験してきた方は、どのように未来へと歩みを進めていったのでしょうか。

この記事では、司法試験浪人の選択をした場合の課題と今後の取り組み方のヒントを紐解いていきます。

 

個々の置かれている環境により一概にはいえませんが、是非ご参考になさってくださいね。

 

1 司法試験浪人が抱える課題

残念ながら、1度目の受験で司法試験に合格できなかった場合はいわゆる「司法試験浪人」となり、次年度以降再受験するか否かで悩まれる方が少なくありません。

 

「受験資格が残されているのならまたチャレンジすれば良いのでは?」

と思われるかもしれませんが、簡単には決断できない理由があります。

 

いったいどのような理由なのでしょうか?

 

それは、経済的な事情や受験生活を継続するためのモチベーションの維持の難しさなどが挙げられます。

 

また、試験対策とは少し毛色が異なりますが、客観的なデータによれば「受験回数」を重ねると合格率が減少傾向にあることがわかっています。

 

個々の置かれている状況により一概にはいえませんが、これらの理由から、次年度以降の再受験を躊躇ってしまうケースが少なくないことが実情であり、悩ましい課題ともいえます。

 

人生の多くの時間や費用を司法試験合格のために費やすのですから、並大抵ではないメンタルの強さも必要です。

 

多くの司法試験浪人生を悩ませる3つの問題(経済的な負担、合格率の低下、モチベーションの維持の難しさ)について、具体的に見ていきましょう。

 

(1) 経済的な負担

司法試験に挑むためには、合格するために必要な受験環境を整えなければなりません。

多くの受験生がそうであるように予備校に通う場合には、決して安いとはいえない費用が必要となります。

 

また、度々行われる法改正などにも対応した勉強をしなければ合格することが叶いません。そのための参考書や問題集などを揃えなければならず、その費用も嵩みます。もし、身近に司法試験合格者の方がいる場合は、テキストなどを譲ってもらい少しでも経済的な負担を軽減すべく継続的な努力をすることは避けられません。

 

それだけに留まらず、受験生活を支える生活費の負担という問題にも直面します。学生など親元で受験生生活を送ることができれば、援助があるケースもあるでしょうが、たとえ実家暮らしであっても、支える家族の経済的負担も決して軽くはないでしょう。アルバイトで稼ぎ、少しでも受験費用の足しにしようと思っても、勉強との両立は難しいことも多く苦労が絶えません。

 

何よりも、親元で司法試験浪人をすることについて、それを支える家族の理解が大前提にあるということも心に留めておきたいところです。

 

(2) 合格率の低下

法務省のデータによれば、受験回数と合格率は比例するものではないことがわかっています。1回目で合格する人が7割程度(令和3年)であり、回数を重ねるごとに合格者数が減っていく傾向にあります。

 

また、過去5年の平均受験回数のデータから見ても、合格するまでの受験回数は2回未満であることがわかっています。

以上のことから、司法試験の受験回数は「1回目」が最も合格しやすいと推察することができます。

詳しくは、以下の記事を是非ご参考になさってくださいね。

 

(3) モチベーション維持の難しさ

「司法試験に合格する」

この目標を全うしたいという志があってこそ、種々負担の大きい受験生生活を耐え忍ぶことができるといっても過言ではありません。いくらメンタルの強い人でも、なかなか思うように成績が上がらない時は、ネガティブ思考に陥りがちです。

全身全霊で挑む司法試験は、人によっては何年も勉強を続けてきたにもかかわらず、残念ながら不合格となってしまうこともあります。そのダメージは計り知れません。

たとえば、受験生仲間が合格しているのに「何故自分だけが不合格に・・・。」などというケースでは、立ち直るまでに時間がかかります。

ほかにも、前述のとおり「なかなか思うように成績が上がらない。」など、さまざまな要因からモチベーションを維持することが難しい試験であるということがいえます。

2 司法試験浪人の将来は?

司法試験に不合格となると、心配が尽きず不安な日々を過ごされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

ここでは、司法試験浪人の将来について見ていきたいと思います。

(1) 次の年に再チャレンジする

次の年に司法試験に再チャレンジする場合は、今まで行ってきたことを見直し改善する取り組みをなさってみてはいかがでしょうか。

 

◆勉強法の見直し

◆スケジュールの見直し など

 

次年度のチャレンジをする際は、“勉強計画の見直し”が大変重要です。

 

何故なら、実際に勉強計画を立てたものの、その通りに実行できず計画が破綻してしまうというケースはよくあることだからです。

 

たとえば、予定通りに進めることができなかったことが原因で「何をすればいいのかわからず取り敢えず不安だからインプットばかりしてしまった・・。」など誤った勉強法を行い兼ねません。

 

勉強計画が破綻したことで『勉強意欲が低下=モチベーションの維持ができない』という最悪の事態を回避するためにも、勉強計画の見直しは欠かすことができませんし、予備日を設けるなどして少し余裕をもったスケジュールを立てることをおすすめします。また、遅れが生じてしまった際には、適宜軌道修正を行いましょう。

 

そして、独学で1回目の司法試験にチャレンジし残念ながら不合格となった場合、経済的に余裕がある方は、予備校の活用も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

何故なら、司法試験に合格するためのカリキュラムなどが研究し尽くされており効率よく司法試験の合格に向けた勉強を進めることができるからです。予備校の費用は決して安くはありませんが、既受験生向けの比較的安価なプランもありますので、ご自身の経済状態に合ったプランを検討してみてくださいね。

 

(2) 受験から離れる(新たなスタートを切る)

思い切って、司法試験の世界から完全に離れて、新たな人生のスタートを切るという選択肢もあります。後の人生において「賢明な判断だった」と思えることは少なくありません。

 

このケースでは、おそらく多くの方が初めての就職活動を経験することになると思われます。難関試験である司法試験にチャレンジするモチベーション維持力と長期間難解な学問に注いできた情熱や努力は就職活動に役立ちますので、あまり不安に思われなくても大丈夫です。

 

少し勇気のいることかもしれませんが、謙虚な姿勢を忘れずに地道に努力すれば道は拓けます。今現在、自分自身が社会人としてどれだけ通用するのかということを確認することができますし、足りないものを補うチャンスを獲得できる機会ともいえます。既に高い専門的な能力を持っているのですから「この人と一緒に仕事がしたい。」と思えるような姿勢を持ち続け活動していれば、求められる人材になることができるのではないでしょうか。

 

また、社会人経験を積むことにより、法曹三者として何が求められているのかなど新たな視点で物事を捉えることができ、司法試験再受験の意欲が湧くということもゼロではありません。事実、再チャレンジを経て法曹三者として活躍している方はいらっしゃいます。法曹三者となってから社会人経験不足を後悔するより、少しでも若いうちに身に付けておけば後々役に立ちます。

 

3 サマリー

文系最高峰の難関試験に挑まれた経験は誰もが真似できることではなく、論理的思考や高い知識を有している専門性に優れた貴重な人材です。司法試験浪人として次年度にチャレンジする、司法試験の世界から離れ新たな人生のスタートを切る、いずれの決断も簡単にできるものではありません。ひとついえることは、「どの選択をしても今までの経験は役に立ちますので、自信をもって前に進んでください」ということです。

4 まとめ

  • 司法試験浪人が抱える課題|①経済的な負担②合格率の低下③モチベーション維持の難しさ
  • 司法試験浪人の将来|①次の年に再チャレンジする②受験から離れる(新たな人生のスタートを切る)

 

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