弁護士バッジは、「ひまわり」型をしており、その中央には「はかり」を示すデザインが施されています。これは、弁護士の使命や職責を表しています。
弁護士は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」を使命としており、法律の専門家として人々の自由や財産、健康などの権利を守るとともに社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならないとされています(弁護士法第1条「弁護士の使命及び職務(弁護士の使命)」より)。
高いステータスが得られる一方で、人の人生を左右し兼ねない重い職責を伴う弁護士という職業ですが、その魅力とはいったいどのようなものなのでしょうか?
この記事では、弁護士の魅力を4つの視点から紐解きリアルな実情を元に解説して参りますので、是非ご参考になさってください。
1 弁護士の魅力「ワークライフバランスが取りやすい」
一般的には、「弁護士は激務!」というイメージが先行することが多いのですが、実際にはどうなのでしょうか?
弁護士という仕事は、ワークライフバランスが取りやすいことも魅力の一つです。
例えば、弁護士として独立されている方であれば、勤務弁護士よりもハンドリングが効くことが多いので、仕事を自分で取りに行く努力は避けられませんが、自由度はさらに高いものとなります。「今日は、裁判がないから午後から事務処理をしよう。」「今日は、法律相談の予定がキャンセルになったからトレーニングしてから仕事しよう。」などということも可能です。
近年では、一般企業においても「ワークライフバランス」が重視されており、コンプライアンス重視の一環として取り組んでいる企業も多く、以前に比べて柔軟な働き方を推進する企業が増えました。新型コロナウィルスの影響も後押しとなり、会議やセミナーなどあらゆるものがオンライン化されて業務効率化につながったと感じる方も少なくないのでしょうか。
これは、一般企業にお勤めの方だけではなく、法曹界においても同じです。
例えば、業務の特性上、一般企業には及ばないものの、訴訟業務において、一部ではオンライン化が進められ裁判所に行かなくてもオンラインで対応できることが少しずつ増えています(参照:法務省「民事裁判手続きのIT化について」)。
今までは、書面提出が当たり前だった訴状や証拠書類の提出などもオンライン化が進めば、郵送や裁判所へ赴く必要がなくなり、更に時間を有効活用できます。
今後、IT化が進み、ますます業務が効率化されワークライフバランスを保ちやすくなることが期待できます。
2 弁護士の魅力「高収入が期待できる」
高収入が期待できることがモチベーションとなり、勉強に励んでいる方も少なくないのではないでしょうか。一方で、「弁護士は稼げないのでは?」などというネガティブな情報も一部では飛び交っています。実際には、どうなのでしょうか?
結論からいえば、弁護士は高収入が期待できます。
日本弁護士連合会による近年の弁護士の実勢について(弁護士白書2018年版)によれば、2006年の平均年収が3,620万円、2008年の平均年収が3,389万円、2014年の平均年収が2,402万円、直近の2018年の平均年収は2,143万となっています。このデータから、弁護士の年収は年々減少していることが見て取れます。
特に、2008年から2010年にかけて年収が900万円近く下がっていますが、国税庁が実施した民間給与実態統計調査結果(令和2年度)によると、1年間の給与所得者の1人当たりの平均給与額が433万円という結果となっており、弁護士は、一般企業の会社員よりも収入が高いことがわかります。
勤務弁護士でも経験年数や実績により収入は上がるでしょうし、独立開業の場合は、努力次第では数億円プレイヤーとなることも夢ではありません。
3 弁護士の魅力「やりがいがある」
収入面以外での大きな魅力の一つとして、「弁護士の仕事にはやりがいがある」と回答される弁護士の方の声も多く聞かれます。また、「困っている人を助けたい。」という高い志を持ち、司法試験合格を目指す方は少なくありません。
先にも触れたように、確かに弁護士という仕事は人の人生を左右する大きな責任を伴います。対依頼者との関係では、「face to face」という業務の特性からも何らかのトラブルを抱えている依頼者のネガティブな感情を直球で受けることも少なくありません。
しかしながら、トラブルが解決した時に依頼者の方から届く感謝の気持ちは、他に代え難いやり甲斐を感じ、弁護士冥利に尽きるといえるのではないでしょうか。
例えば、個人の方であれば、一生のうちに弁護士に依頼する機会がごく限られています。いわゆる民事事件といわれる、離婚問題や借金、相続問題などのケースにおいて、弁護士に依頼するということは、かなり切羽詰まった状況です。どうすることもできない状況から、弁護士が間に入り、サポートし解決へ導いてもらうことができれば、その方にとって一生忘れることのできない存在となります。
「誰か困っている知り合いがいたらあの先生に頼もう。」という御縁が生まれることは多々あります。
4 弁護士の魅力「多様な働き方ができる」
一般的には、弁護士の仕事といえば「訴訟業務」が中心であり負担が大きく激務というイメージを持たれている方が一定数います。しかしながら、それはあくまでイメージに過ぎず弁護士の仕事は大きく2つに分けられます。
■予防法務
■紛争法務
まず、予防法務についてですが、実際には大手弁護士事務所などでは「10年裁判をやったことがない。」という弁護士もいます。いわゆるビジネスロイヤーと呼ばれる弁護士の仕事内容は、例えば、M&Aの交渉や各種スキーム作り、契約書チェックなどが中心です。
また、企業内弁護士は、企業内における法律相談やコンプライアンス維持のための業務を行っており、訴訟中心の業務ではありません。そのほか、地方自治体や行政の中で働く弁護士は、条例や政令などを作ることもあります。
一方で、紛争法務は、訴訟業務に限ったことではありません。法律相談や交渉で解決することも多々あります。依頼者の多くは、時間と費用、労力を使う裁判で決着をつけることを望まないことが多いので、相談や交渉で解決できれば依頼者の意向に沿った解決が叶えられた結果といえ、感謝されることも珍しいことではありません。
弁護士の業務は働く環境(勤務弁護士か独立、勤務先事務所の規模、企業や地方自治体または行政内勤務など)によっても異なり、業務の種類も多様性に溢れています。近年では、テレビ番組のコメンテーターなどで毎日のように顔を見せる弁護士の方もいます。
ネガティブな情報に左右されず、幅広い視点から広く情報を集め、将来自分が目指す働き方を想像してみるのも面白いかもしれませんね。
5 サマリー
弁護士は、常に深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律科目に精通しなければならず(弁護士法第2条「弁護士の職責の根本基準」)重い責任を伴うということは事実であり、やり甲斐ともいえます。一方で、自分次第でその環境や収入をより良い方向に導きやすい職業であるということが魅力の一つであることもお分かりいただけたのではないでしょうか。
6 まとめ
- 仕事のハンドリングがしやすいので、ワークライフバランスが取りやすい点も弁護士の魅力の一つ。
- 弁護士の魅力の一つとして高収入が期待できる!(勤務弁護士の場合は勤務年数や実績次第で年収数千万円/努力次第では、独立開業し数億円プレイヤーも夢ではない)
- 弁護士の仕事は、困っている人を自分の力で助けることができやり甲斐があることも魅力の一つ。
- 弁護士は多様な働き方ができることも魅力の一つであり、大きく2つに分けられる(予防法務・紛争法務)。