司法試験における出題趣旨の活用方法など詳しく解説!

司法試験

司法試験における出題趣旨は、毎年司法試験委員会から発表されるもので、司法試験問題に対する解答筋を知ることのできる重要な学習材料の一つになります。司法試験の受験生にとって、出題趣旨は日頃の勉強で欠かせないものですが、意外と出題趣旨をどう活用すればよいのか分からず悩んでいる方もいると思います。

この記事では、出題趣旨をどのように活用すればよいのか、詳しく解説するので、是非参考にしてみてください。

1 出題趣旨とは?

出題趣旨は、毎年法務省の司法試験委員会から発表される、司法試験の論文式試験の問題に対する解答筋を示したものになります。

出題趣旨を読むことで、出題者は、受験生にどのような解答を望んでいたのか、出題の意図が分かります。

参考に、司法試験の出題趣旨をご覧になってみてください。

公法系科目 民事系科目 刑事系科目 選択科目
平成18年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成19年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成20年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成21年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成22年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成23年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成24年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成25年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成26年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
憲法・行政法 民法・商法・民事訴訟法 刑法・刑事訴訟法 選択科目
平成27年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成28年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成29年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成30年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
平成31年

(令和元年)

問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
令和2年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨
令和3年 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨 問題 出題趣旨

2 出題趣旨の重要性

出題趣旨は、司法試験受験生にとって、欠かせない学習材料になります。

その理由として、出題趣旨は、出題者が唯一受験生に提供してくれる解答筋なので、これを参考に、受験生は過去問検討をすることができます。過去問は特に学習の中でも重要度が高いので、出題趣旨を読まない受験生はほぼいないといえるでしょう。

また、出題趣旨を単なる解答として捉えるのではなく、司法試験の本番で論文の成績があまり良くなかった方にとっては、次の司法試験の勉強方針を決めるための重要な材料になります。そのためにも、再現答案(試験本番で書いた答案を再現する)を作成しておくことがとても重要になります。

ちなみに、司法試験委員会は、出題趣旨のほか、採点実感も毎年公表しています。採点実感は、受験生が特に何が書けて何が書けていなかったなど、受験生が書いた答案に対する評価がより詳細に記載されているので、採点実感と併せて復習することが重要になります。

このように、出題趣旨の重要性がとても高いことが分かりますが、出題趣旨は、出題者が求める解答を示したものなので、解答筋のレベルが高いが故にほとんどの受験生がその解答の意図が組めないこともあります。

司法試験は相対評価試験なので、例えば、その年に出題された論点が次の年に出題された場合には、その論点に気づけないといけない場合もありますが、受験生のほとんどが気づけないような論点についても、勉強に時間をたくさん割いてしまうと、勉強の方向性が誤ってしまう危険性があります。

従って、出題趣旨の隅々まで理解しようとすることよりも、後に紹介するように、日頃の勉強にうまく利用できるようにすることが重要です。

3 出題趣旨を日頃の勉強にどのように活かせばいい?

出題趣旨を日頃の勉強でどのように活用すればいいか、いくつかご紹介します。

まず、一つは、過去問を解く際に、復習用として出題趣旨を参照する方法です。司法試験に合格するためには、日頃から過去問を解くことが必須になります。ただ、出題趣旨を読まないと、過去問を解いたとしても、何を書けばよかったのかが分からず、自分の答案を分析することができません。

より具体的な復習方法としては、過去問を解いた後、出題趣旨を読んで、何が書けて、何が書けなかったのかを特定し、さらに書けなかった部分については、なぜ書けなかったのか(知識不足、問題文の読解力など)、どうすれば書けたかなど、深く掘り下げて復習していきましょう。

他にも活用方法として、司法試験を実際に受験し、不合格となってしまった方は、再現答案を作成しておき、出題趣旨が公表されたら、再現答案と見比べて敗因分析をする方法があります。

これも重要な活用方法で、司法試験を受験してから、結果が発表されるまで数か月あるので、記憶が鮮明なうちに、早めに再現答案を作成しておくことをおすすめします。

ここで特におすすめなのは、合格者の再現答案も併せて参考にするということです。

例年出題趣旨から公表されることが多く、採点実感は出題趣旨よりも後に公表されるので、合格ラインを知るためには、出題趣旨を参考に、自分の再現答案と、合格者の再現答案を見比べて、どこをどのように書ければ合格できたのか、敗因分析を先行して行う必要があります。

その後の勉強方針を決めるためにも、早めに敗因分析をしておくことが重要なので、合格者の再現答案を入手しておくこともおすすめします。

一人で分析するのが難しいという方は、知り合いの合格者や、予備校を利用して敗因分析を見てもらうのも良いでしょう。

上記でもお伝えしたように、出題趣旨は、あくまで出題者が求める理想の解答筋で、実際にその通りに書ける受験生はほぼいません。したがって、出題趣旨からかけ離れたことを書いてしまったことで、落ち込んでしまう必要もありません。

それよりも、司法試験に合格するために、自分が書いた答案をどこまで分析し、復習できるかが重要です。

出題趣旨を活用する際には、このような意識で勉強に取り組んでいきましょう。

4 サマリー

最初のうちは、出題趣旨を読んで答案を分析する作業は時間もかかり、とても大変な作業だと思いますが、論文を上達させるためにも、是非実践してみてくださいね。

5 まとめ

  • 出題趣旨は、毎年法務省の司法試験委員会から発表される、司法試験の論文式試験の問題に対する解答筋を示したもの
  • 出題趣旨は、記載されている解答筋を元に、受験生は自分の答案を分析し、その後の勉強方針を決めることのできる重要な学習材料の一つ
  • 出題趣旨は出題者が求める理想の解答筋で、その通りに書ける受験生はほとんどいないため、出題趣旨の内容を隅々まで理解しようと時間を割いてしまうと、勉強の方向性を誤ってしまう危険性もある
  • 出題趣旨の活用方法としては、①過去問を解いた後、出題趣旨を参考に敗因分析をする、②実際に試験を受験した方は、再現答案を作成し、出題趣旨を参考に再現答案と合格者の再現答案を見比べて、合格ラインを知る

 

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