司法試験の受験勉強をするにあたっては、六法をはじめさまざまな教材が必要になってきます。それぞれの科目ごとに膨大な数の教材があるため、どれを選んでいいかわからなくなってしまいますよね。
そこで、この記事では司法試験の対策を進めるにあたって必要になる教材と、資格スクエアがおすすめする参考書についてご紹介します。
司法試験の勉強をするにあたってどの参考書を選ぶか悩んでいるという方はぜひ参考にしてみてください。
1 司法試験勉強に必要な教材とその活用法
司法試験の勉強に必要な教材としては、次の5種類が挙げられます。
(1) 六法
司法試験の勉強において六法が必須であることはいうまでもありません。
司法試験の問題は、すべてまず法律に規定されている条文を引くことからスタートします。そのため、司法試験の勉強をする際には必ず六法で条文を確認しながら進めるようにしましょう。
六法は大きく分けて判例が載っている判例六法と条文だけが載っている六法の2つがあります。
司法試験の勉強においては、判例六法と条文だけが載っている六法の2つを揃えておくのがおすすめです。
というのも、司法試験の本番では条文だけが載っている六法が配られるので、最終的に問題演習などをする際にはこの条文だけが載っている六法を用いて慣れておく必要があります。
他方、普段の勉強で使う六法としては判例付きの判例六法がおすすめです。
判例六法では条文ごとに問題となった判例が掲載されているため、知識の一元化に役立つからです。
(2) 入門書
入門書とは、その科目を初めて勉強する人を対象として、薄く平易な文章で書かれた本です。
科目全体の概要を把握するのに役立つので、司法試験の勉強を始めたばかりの方であればこの入門書をまずは通読してその科目の全体像を把握するのがおすすめです。
有名な入門書としては、弘文堂が出版しているプレップシリーズが挙げられます。
このシリーズの入門書は初学者に最適でとても読みやすくなっています。
(3) 基本書(参考書)
基本書とは、法学者が書いた専門書でその科目の詳細について書かれてるものをいいます。
基本書という名前ながら、実際は専門的かつ高度な内容となっているものが多く、これを通読するのはかなり骨が折れます。
しかし、司法試験では表面的な薄い知識では対応できない問題も多く出題されており、こういった司法試験の問題に対応するためには基本書の活用は必須です。
基本書の活用方法としては、全体を通読するのではなく、重要な論点や自分が疑問に思った点について辞書的に利用する方法がおすすめです。
(4) 判例集
判例集も司法試験の勉強においては必須です。
判例集として有名なものは判例百選が挙げられます。司法試験の受験生はほとんどといっていいほどこの判例百選に掲載されている判例についてはおさえてきているため、最低限判例百選レベルの判例についてはおさえておきたいところです。
もっとも、判例百選には判例の事案と判旨のほかにも解説がつけられていますが、この解説まですべて読み込む必要はないでしょう。
基本的には事案と判旨を完璧におさえるようにし、余力があれば解説も読んでみると判例の理解が深まるのでおすすめです。
(5) 問題集
問題集としては、学者が作成して解説している演習書と、司法試験予備校が出している短答式試験対策用の肢別本や過去問集、論文式試験対策用の過去問集などが挙げられます。
演習書については、基礎的な内容が問われるものと応用的な内容が問われるものがありますが、司法試験の対策としてはこの応用的な内容が問われる演習書をつぶしていくのがおすすめです。
基礎的な内容が問われる演習書としては商事法務のLaw practiceシリーズ、応用的な内容が問われる演習書としては、事例演習教材が挙げられます。
この応用的な内容が問われる演習書については司法試験で似ている問題が出題されることもあるため、これをベースとしてアウトプットの練習をするのがおすすめです。
もっとも、演習書には解答例がなく、解答例があったとしても司法試験の答案向きではないものがほとんどです。
自分で解答例を作成していくのも勉強にはなるためそれができる人であれば問題はないのですが、もし自力ではすべての解答例を作成するのが難しいという人は、先輩などから解答例を譲り受けるのが近道です。
この解答例の活用方法としては、まず解答例を読んで答案の流れや書き方を把握したり、自分で問題を読んで答案を書いてみた上で、解答例と比べてどこが書けてどこが書けなかったのか分析したりといった方法が考えられます。
また、短答式試験も論文式試験も過去問集は必須です。必ず過去問については自分で解いてみた上で、どのような解答が求められているのか、今の自分には何が足りないのか分析していく必要があります。
2 資格スクエアが薦める基本書・参考書
資格スクエアがおすすめする基本書・参考書は、それぞれの科目ごとに以下の通りです。
・芦部信喜著・高橋和之補訂『憲法[第7版]』(2019年、岩波書店)
・潮見佳男『民法(全)[第2版]』(2019年、有斐閣)
・佐久間修・他『刑法基本講義 総論・各論[第3版]』(2019年、有斐閣)
・伊藤靖史・他『会社法(LEGALQUEST)[第5版]』(2021年、有斐閣)
・三木浩一・他『民事訴訟法(LEGALQUEST)[第3版]』(2018年、有斐閣)
・宇藤崇・他『刑事訴訟法(LEGALQUEST)[第2版]』(2018年、有斐閣)
・稲葉馨・他『行政法(LEGALQUEST)[第4版]』(2018年、有斐閣)
これらの基本書・参考書は、どれもその科目においてスタンダードなものばかりですので、まずはすべて揃えておくのがよいでしょう。そして、すべて通読するのは大変なので、重要な論点や疑問点について理解を深めるために該当箇所を読むという活用方法がおすすめです。
3 予備校本の活用
司法試験の勉強をするにあたってよく受験生が悩む問題が司法試験予備校が出している教材を使うべきか、使うとしてもどう使うべきかという点です。
確かに司法試験予備校が出している教材はコンパクトに内容がまとまっていて、一見するととっつきやすい印象を受けます。
しかし、基礎がないまま司法試験予備校が出している教材のみで勉強するのは、深い理解を得ることが難しいためおすすめできません。
司法試験予備校が出している教材は全体像を把握したり、体系的な理解を助けてくれるので、司法試験予備校が出している教材をベースにしつつ、基本書でそれぞれの論点の理解を深めるという学習方法がいいでしょう。
特に司法試験予備校が出している論証集は知識の一元化に最適で、これをベースとして基本書で適宜補いながら自分の勉強内容を集約するという使い方がおすすめです。
4 サマリー
司法試験の受験勉強する上で必要となってくるものとして、六法、入門書、基本書(参考書)、判例集、問題集があげられます。これらのうち、何をどの程度揃えるか、通読するか辞書的に使うかといった使い方についてはそれぞれの勉強の進み具合にもよりますが、一般的にはほとんどの受験生がこれらの教材を組み合わせて使いながら勉強しています。
5 まとめ
- 司法試験の受験勉強で必要なのは六法、入門書、基本書(参考書)、判例集、問題集
- 勉強の進み具合に応じて使い方や揃えるものを取捨選択