難関資格試験の司法試験!高卒でも受かるってホント?

司法試験

この記事では国内の資格試験のなかでもトップクラスに難関といわれる司法試験について、最終学歴が高校卒業の場合でも司法試験は受験できるのかという点や、受験できたとしても合格することはできるのかという点を詳しく解説しています。司法試験に合格できるのは学歴が高い人のみであると思われがちですが、実際にはどうなのでしょうか。実際の合格者のデータをもとに解説します。今回の記事を参考に司法試験の受験をぜひ考えてみてくださいね!

1 司法試験ってなに?

司法試験とは、裁判官・検察官・弁護士の法曹三者になるために必要な試験です。司法試験に合格することで、司法修習生になる資格を得ることができます。1年間行われるこの司法修習を修了することで、上記の法曹三者のうち、いずれかになることができます。

2 司法試験の試験概要

司法試験は、毎年1回5月頃(令和5年度は7月中旬)に行われます。試験内容はマークシート式の短答式試験と記述式の論文式試験の2つの形式の試験により構成され、合否は両試験の総合得点に基づく総合評価によって判断されます。

また、司法試験の試験科目は以下の通りとなっています。

試験科目
短答式試験 憲法・民法・刑法
論文式試験 ・公法系〔憲法・行政法〕

・民事系〔民法・商法・民事訴訟法〕

・刑事系〔刑法・刑事訴訟法〕

・選択科目

倒産法, 租税法, 経済法, 知的財産法, 労働法, 環境法, 国際関係法 〔公法系〕,国際関係法〔私法系〕から1科目選択

 

3 高卒でも司法試験を受験できるのか?

これまでみてきた司法試験ですが、最終学歴が高卒であっても受験することは可能なのでしょうか。

結論から申し上げると「可能」です。

司法試験の受験資格は、専門職大学院の1つである①法科大学院を修了するか、②司法試験予備試験に合格することで得ることができます。なお、の法科大学院ルートについては、令和5年度から一定の条件の下、法科大学院在学中でも受験が可能となります。

このうち、①の方法では、法科大学院の入学は基本的に大卒を対象としており、高卒の方では入学できない場合も多いでしょう。しかし、②の予備試験は受験資格として年齢制限は無く、高卒の方でも受験することができます。そのため、予備試験ルートでは高卒の方でも司法試験の受験は可能です。

そこで、高卒の方が司法試験合格を目指す際には、基本的に予備試験の合格を目指すこととなります。

4 実際どれくらい合格している?

さて、これまでみてきたように高卒の方は予備試験ルートでの司法試験の受験を行うこととなりますが、予備試験では高卒の方はどれほど合格しているのでしょうか。

以下は令和元年〜令和3年予備試験の高卒の方の受験者数と最終合格者数です。

なお、予備試験は1次試験の①短答式試験、2次試験の②論文式試験、最終試験の③口述試験によって構成されており、以下の表ではそれぞれの試験での合格者数を記載しています。

受験者数

(全体の人数、以下同じ)

短答式試験合格者数 論文式試験合格者数 最終合格者数
令和3年 198人(11,717人) 21人(2,723人) 5人(479人) 5人(467人)
令和2年 153人(10,608人) 30人(2,529人) 5人(464人) 4人(442人)
令和元年 182人(11,780人) 25人(2,696人) 0人(494人) 0人(476人)

この表から分かるように、高卒の方でも予備試験に合格している方は、年によっては数人いることが分かります。(法務省のデータより作成)

受験者数も令和3年予備試験では約200人と決して少なくはありません。

最終合格者の数だけみれば少ないと思われるかもしれませんが、予備試験は全体の合格者数をみれば分かるようにそもそも合格率が4%程度の難関試験なので、人数の数字自体をみてマイナスに考える必要はありません。

そして、予備試験合格者の翌年の司法試験の合格率は8割〜9割程度であるため、予備試験に合格できれば司法試験の合格も期待することができます。

そのことを踏まえて、もう一度表を見直すとまた違ったものが見えてくるのではないでしょうか。

5 どうやって対策したらいい?

それでは実際に予備試験ルートでの司法試験合格を目指す場合、どのように法律を勉強したらよいのでしょうか?高校の学習など義務教育では法律の学習はほとんど行われないため疑問に思う方も多いと思います。以下、簡単に解説していきます。

(1) 全体を掴む

1つ目のポイントは各法律の全体像を掴むということです。司法試験や予備試験の範囲はとても広いものとなっています。そのため、全体像がなかなか掴みにくく、自分が各法律の中でどこを勉強しているのかということを見失ってしまう人も少なくありません。そこで、まずは深い部分まで学習することは控え、予備校の基礎講義や各法律の簡単な基本書を参考に各法律の全体を掴むことを心がけましょう。各法律の全体を1周し、全体像を掴んだ後に、深い部分まで学習するというように2段階に基礎知識を学習することで自分の学習している範囲を見失うおそれは少なくなるでしょう。

(2) 問題演習を積極的に行う

次のポイントは、インプットの後はすぐに問題演習に入るということです。高校までの学習では、テスト対策として問題集はあまりやらずに、教科書を見直すなどのインプットを中心的に行うことも多かったかもしれません。しかし、司法試験において、アウトプットはとても大切です。抽象的な法律論を理解しても、実際にそれを具体的な事例にあてはめたり、自分の言葉で法律の解釈を記述したりしようとすると上手くいかないことが多いためです。したがって、インプットの知識を無駄にしないためにも、それを上手く使う練習をすることが重要となります。

様々な法律を試験科目とする資格試験の中でも司法試験や予備試験では論文式試験が合格の上で非常に重要な要素を占めています。論文式試験は架空の事例をもとに出題されるため、普段の問題演習でも事例式の問題集を用いて学習するようにするとよいでしょう。

(3) 過去問を大切にする

3つ目は過去問を大切にするという点です。皆さんの中には、過去問で問われたものはもう出題されないと考えている方もいるかもしれません。もっとも、司法試験や予備試験では以前出た問題を問いの角度を変えて再度出題することも少なくありません。また、試験の傾向を掴むためにも過去問は非常に大切な教材となります。そのため、演習の中で過去問を行うということは欠かせません。

ゴールを見据えるためにも、解けなくてもよいので早めに過去問は確認してみてくださいね。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
高校生から始める司法試験学習のメリットとは

6 サマリー

いかがだったでしょうか。今回の記事で説明したように司法試験には受験資格があり、高校卒業という学歴では予備試験に合格すれば司法試験の受験資格を得ることができます。実際に、そのような方法で司法試験に合格している方もおり、みなさんの背中を押してくれる存在ではないのでしょうか。ぜひ今回の記事を参考に、法曹を目指して司法試験の受験を考えてみてください。

7 まとめ

  • 司法試験を受験するには法科大学院ルートと予備試験ルートの2つの道のりがある。
  • 高卒であれば、の予備試験ルートでの受験となる。
  • 予備試験は合格率が4%ほどと難関試験ではあるが、正しい対策を行えば合格することは可能。
  • 実際に予備試験ルートで司法試験に合格した方もいる。
  • 試験対策では全体を掴むことなどを意識してインプットを行う。インプットの後はアウトプットへすぐ移り、演習の中で理解を含めていく。
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