司法試験の選択科目:倒産法の特徴、選択するメリット・デメリット、勉強法等を徹底解説

司法試験

司法試験の選択科目を選ぶにあたってそれぞれの科目がどんな科目なのか、その科目を選ぶメリットとデメリットといったことは気になりますよね。

そこで、この記事では、司法試験における倒産法の特徴と倒産法を選択するメリットとデメリット、倒産法の効率的な勉強法について解説します。

司法試験の選択科目として倒産法を選択すべきか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

1 司法試験における倒産法の特徴

実は、倒産法といっても「倒産法」という名称の法律があるわけではなく、破産法、会社法上の特別清算、民事再生法、会社更生法の4法を総称したのが倒産法です。

 

司法試験の選択科目としての倒産法では、このうち破産法と民事再生法から各1題ずつ出題されます。そして、破産法も民事再生法も、どちらも実体法と手続法についてそれぞれ問われることになります。

 

破産法と民事再生法は条文の構造や体系が似ているため、まず破産法を勉強すると民事再生法も8割くらいは勉強が終わっていることになります。そして、民事再生法を勉強する際には、破産法との共通点やと相違点を意識しながら勉強することでより両者の理解が深まります。

 

また、倒産法は民事系科目の延長にあり、民事系科目の考え方を応用できることも多いため、民事系科目が得意な人に向いています

 

倒産法の特徴としては、該当する条文を探してあてはめる能力が問われる傾向にあるということが挙げられます。一通り勉強が進んでくると該当する条文を探してくるのは難しくないため、倒産法では条文選択が問題となることはほとんどないといえます。

2 倒産法を選択するメリット

(1) 民事系科目の理解を補強できる

倒産法は民法の延長線上にあります。つまり、平常時は民法の原則に従って処理されるところ、倒産という場面では倒産法で民法の原則を修正して処理されることになります。

 

そのため、民法の原則をしっかり理解することで、倒産法においてそれがどのように修正されているのかを理解しやすくなり、また民法の考え方を応用することができるようになるのです。

 

逆にいうと、倒産法の理解のためには、民法の理解が欠かせません。そのため、倒産法を勉強することで民法の理解も深めることができます。

(2) 教材が豊富にある

破産法や民事再生法は基本書も充実していますし、受験者数も多いため、受験勉強に必要な教材が豊富にあります。

 

司法試験の選択科目としての対策もたてやすいといえるでしょう。

(3) 実務で役立つ可能性が高い

倒産法を扱う法律事務所は多く、倒産法を勉強していると実務でも役立つ可能性が高いです。

 

たとえば、倒産法を扱う業務といえばもっとも典型的なのは破産管財人業務ですが、破産管財人に限らず、破産申立ての代理人として関わることもありますし、企業側で取引先が破産してしまったときの債権回収をどうするかという問題を取り扱うこともあります。

 

このように、倒産法は実務上あらゆる場面で役立つ可能性が高い法律です。

 

そのため、司法試験の選択科目として勉強しておくことで、実務に直接つなげることができるというのがメリットです。

3 倒産法を選択するデメリット

(1) 範囲が広く必要な勉強時間が多い

倒産法を選択するデメリットの1つ目は、他の科目と比べて範囲が広く、必要な勉強時間が多いという点です。

 

倒産法は破産法と民事再生法が出題範囲となっており、これらは1つだけでもボリュームがかなりあります。破産法と民事再生法は体系が似ているとはいえ、それぞれの違いを踏まえて両者とも勉強しなければならないので、必然的に勉強しなければならないボリュームが大きくなります。

 

司法試験では主要7科目の勉強だけでもボリュームがかなりあるため、せめて選択科目についてはできる限り少ない労力で点数を取ることができる方がいいと考える受験生も多いところです。

 

そのため、勉強範囲が広く、必要な勉強時間が多いという点で倒産法は負担が大きくなってしまうというのがデメリットです。

(2) 優秀な選択者が多い

筆者の経験上、倒産法を選択している人をみると、民事系が得意で優秀な人が多い傾向にあります。

 

そのため、相対的に試験のレベルが高くなってしまう傾向にあるというのも倒産法を選択するデメリットといえるでしょう。

4 倒産法の効率的な勉強法

(1) インプット

倒産法では破産法と民事再生法が出題されますが、勉強の順序としてはまず破産法から勉強するというのが一般的です。

 

破産法の試験では、まず該当する条文を引くことができなければならないため、破産法の勉強としてはまず破産手続全体の体系を把握して、条文の構造を理解するようにしましょう。

 

破産手続全体の概要を把握するもっともスタンダードな方法としては基本書を読むという方法がありますが、その内容をコンパクトにまとめた予備校本も出版されているので、基本書である程度全体像を把握したらこのような教材を用いるのもおすすめです。

 

破産法についてある程度勉強が進んだら、次は民事再生法の勉強に入りましょう。

 

民事再生法は破産法と体系が似ているので、適宜破産法の復習をしながら破産法と民事再生法の違いをおさえて勉強していくとどちらの理解も深めることができます。

 

また、司法試験の倒産法の問題は、判例百選の事例がベースになっていることが多くなっています。

そのため、倒産法の勉強においては判例百選の事案は確実につぶしていくようにしましょう

(2) アウトプット

基本書や判例百選である程度インプットができたら、次は過去問や問題演習本を用いてアウトプットをしていきましょう。

 

司法試験の倒産法では、出題されやすい分野が決まっているので、過去問を解いてどのような出題傾向にあるのか、そして合格答案をみながらどのような解答が求められているのかといった点を意識して勉強していくとよいでしょう。

 

過去問を解くにあたっては、実際に自分で時間を測って解いてみて、どこができなかったのかを分析していくことが重要です。また、できれば友人など第三者から添削をしてもらって、不足しているところや答案のクセなどを指摘してもらうと改善がしやすいです。

▼こちらの記事も合わせてご覧ください。
倒産法の中の破産法とは?特徴・勉強法等を徹底解説

5 サマリー

司法試験の選択科目のうち、倒産法では破産法と民事再生法から各1題出題されます。

 

破産法と民事再生法は条文の構造や体系が似ているので、破産法を一通り勉強すると民事再生法も8割方勉強が終わっているといえるでしょう。

 

倒産法では該当する条文を見つけてあてはめていく能力が重要で、民事系科目がベースになっているため、民事系科目が得意な人に向いています。そのため、倒産法を勉強することで民事系科目の理解も深まります。

 

倒産法を選択するメリットは、民事系科目の理解を補強することができること、教材が豊富にあること、実務で役立つ可能性が高いことの3点です。

 

他方、範囲が広く暗記することが多いというのが主なデメリットです。

6 まとめ

  • 司法試験の倒産法は破産法と民事再生法が出題される
  • 破産法と民事再生法は条文の構造や体系が似ている
  • 倒産法は該当する条文をみつけてあてはめていく能力が重要
  • 民事系科目が得意な人におすすめ
  • 倒産法のメリットは民事系科目の理解を補強することができること、教材が豊富にあること、実務で役立つ可能性が高いこと
  • 倒産法のデメリットは範囲が広く暗記することが多いこと
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