司法試験では六法を持ち込める?条文の暗記は不要?

司法試験

 

司法試験や予備試験の論文式試験では六法が貸与されます。しかしながら、条文さえ見ることができれば試験問題を解くことができるわけではありません。その理由はなぜなのでしょうか?ぜひ最後までご覧ください。

1 司法試験・予備試験の論文式試験では六法が貸与される!

結論から申し上げると、司法試験の論文式試験、予備試験の論文式・口述試験では六法の持ち込みはできません。もっとも、いずれの試験でも六法が貸与され、条文を参照することができるようになっています。しかしながら、両試験において貸与されるのは既に司法試験・予備試験の学習を始めている方が使っているであろうポケット六法やデイリー六法などではありません。「司法試験用法文」や「司法試験予備試験用法文」などの少し特殊な六法になります。なお、両試験の短答式試験では、条文の知識も問われるため、六法が貸与されることはありません。

2 六法だけでは司法試験は解けない!

司法試験や予備試験では六法が貸与されるということを聞くと、それならば条文は好きなように参照できるのだから試験問題は特に法律の勉強をしなくても簡単に解ける!と考える方も多いと思います。しかし、その考えは誤りです。その理由を説明します。

(1) 論文式試験は事例問題である

まず、六法が貸与される法試験・予備試験の論文式試験(ここでは予備試験の口述式試験は割愛します)は、ある架空の事例をもとに問題を解くこととなります。事例問題を解く際には、まず事例中の事実からどの条文が問題になるのかという点を発見しなければなりません。そのため、条文が参照できてもそもそもどの条文が問題になるのかそもそも分からなければ、六法を引くこと自体できません。

どのような条文が問題となるかは法律を学習しなければ理解することができません。

(2) 大量の条文の中から目的の条文を探し出す必要がある。

仮に(1)で説明したどの条文が問題になるかわかったとして、実際にそれを探し出すことができるかは別の話です。特に、民法や会社法は条文の数が1,000条近くにもなる上、各試験ではその科目の法律の条文だけではなく、関連する他の法律の条文を指摘することや、法律ではなく規則を見たりすることが求められる場合もあります。その上、試験時間は限られています。そのような状況では、条文を素早く探し、見つけ出すことができなければ解答を試験時間に記述することはできません。そこで、事前に法律を学習し、各法律の全体の構造や体系をしっかりと学び、条文の構造を把握する必要があるのです。

(3) 条文の文言を解釈しなければならない場面もある

どの条文が問題となり、その条文を見つけ出したとしてもそれで終わりではありません。法律の条文の文言は抽象的であったり、特定の事例でその条文を用いてどう解決すればよいのかという点がよく分からなかったりする場面が法律学習では多々現れます。法律学習では、そのような、いわゆる「論点」も重要な学習対象の1つであり、その答えとして判例や学説などを学びます。そして、試験ではこの論点を理解しているかということも問われることもあるため、条文の情報のみでは事例問題の解答を適切に記述することはできません。

これら①問題となる条文を抽出する、②その条文を探す、③条文の文言を解釈するという3段階の必要性から、六法だけでは試験に合格できないことが理解していただけたと思います。

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3 サマリー

いかがだったでしょうか。今回の記事で説明したように司法試験や予備試験の論文式試験では、試験時に各法律等を参照できる六法が貸与されます。もっとも、試験では六法の条文などの解釈を通して問題中の事例を解決することが求められているため、六法を参照するだけでは試験に合格することはできません。試験対策にはコツコツと勉強を積み重ねていくことが必要になります。頑張ってください!

4 まとめ

  • 司法試験や予備試験の論文式試験では六法が貸与される。
  • 事例式の問題では、問題となる条文を抽出する必要がある。
  • 問題となる条文を大量の条文の中から探し出す必要がある。
  • 条文の文言に直接書いていないことを解釈で導き出す必要がある。
  • 以上の理由から六法が貸与されたとしても、法律学習は必ず行う必要がある。
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