司法試験受験生と法学者はちがう

司法試験

司法試験は法律科目が出題されるため、法律を学習する必要があります。ただ、法律はとても深い学問なので、学習を進めていくと、その面白さや興味深さから、ついつい深掘りしてしまうという経験を持つ方もいると思います。もっとも、司法試験は試験対策として学習するので、必要以上に深掘りをしてしまうと、研究の領域に入ってしまい、法学者と異ならず、司法試験に失敗してしまう危険性があります。

この記事では、司法試験受験生が陥りやすい勉強法について、徹底解説するので、是非参考にしてみてください。

1 司法試験受験生が陥りやすい勉強法

冒頭でもご紹介しましたが、司法試験受験生が陥りやすい勉強法として、法律を研究する領域に入ってしまうということが挙げられます。

例えば、とある判例を学習しているうちに、その判例がそこまで重要ではないのに、何時間もかけて学習してしまうことや、複数の学説について、正解のない領域に踏み込んで深掘りして学習してしまうことなどが挙げられます。

特に興味深いと思った判例や学説は、試験対策としての学習の範囲を超えて研究してしまうということもよくありがちな例です。

これは、その分野についてより詳しくなるという意味では、司法試験対策としても価値があるといえますが、時間は有限なので、そのような学習を続けてしまうと試験までに必要な学習が終わらない危険性があります。

2 学説や判例研究に没頭してしまう原因

学説や判例研究に没頭してしまう原因としては、以下のことが考えられます。

一つは、司法試験の出題傾向や出題範囲が分からないため、一つの判例にしてもどこまで学習したら良いのか分からず、必要以上に深掘りをしてしまうことです。

特に出題範囲については、法務省が掲載している出題趣旨や採点実感を読みながら、合格ラインがどのあたりなのかを判断することがとても重要になります。司法試験は相対評価試験なので、毎年受験生のレベルによって合格ラインは変わってきます。

合格ラインに必要な知識や判例は学習する必要がありますが、判例といっても、結論、理由、規範など、学習すべき範囲は様々なので、どこまで抑えておいたらよいかは実はとても重要なポイントといえます。

したがって、このポイントがおさえられていないと、判例に関連する様々な文献を読み漁ってしまい、必要以上に時間を割いてしまうので、失敗してしまう恐れがあるのです。

また、マイナーな判例や学説を頑張って理解できるまで学習しようと時間をかけてしまう方も少なからずいると思います。理解しようという姿勢はとても大事なことですが、他の受験生も本番で書けないような論点を理解しようとするよりも、みんなが書ける論点を理解する方が重要度が高いので、上手く線引きできるように工夫することも大事になります。

学説や判例研究に没頭してしまう原因として、他に考えられるものとしては、単純に判例研究が楽しく感じるため、理論面としての学問を追求することが挙げられます。

もしこのような経験がある方は、法学者のような思考を持っているので、司法試験対策としての学習をするという意識を強く持つ必要があります。必要以上に判例学習に時間を割いてしまった場合には、上手く切り上げたり、アウトプットの時間を増やしておくなど、誤った勉強法にいかないように工夫していきましょう。

3 やるべきは試験対策

司法試験に合格するためには、司法試験に必要な知識のみを勉強することが必要です。

例えば、民法の対策をするとして、目指すべきは「司法試験の試験科目」としての民法であって、「法律」としての民法ではありません。

最新の論文や判例解説に深入りばかりしても、専門性は高まりますが、試験で必要なスコアリング能力は育ちません。

法律には学問的側面もあり、そちらもかなり強いため法律の学問をしている研究者も数多くいますが、今やるべきことは学問では無いのです。

法学者になるのであれば、学説の動向や最新の判例に触れていることは大事です。しかし、司法試験においては、最新の論文や最近出た判例などは、相対的に他の受験生も学習していない可能性があるので、優先度は低い場合があります。

東京大学法科大学院で優秀な成績を収め、教授のお墨付きすらもらったのに本番では酷い点を取ってしまった、といったことは何故起こるのかというと、その「ズレ」が招いた結果なのです。

本試験で要求されていることとやってきた勉強がズレていたため、思っていたように得点出来なかったことが原因かもしれません。

司法試験に合格するという目標を達成する上で重要なことは、合格するために必要な学習を積んでいくことです。法学者は、一定の分野に関する専門家なので、学習を進めていく中で、どうしても違った方向に学習が進んでしまう傾向のある方は、細かく勉強計画を立てることも対策として有効です。

また、興味深い判例や学説については、例えば自由時間(寝る前、休憩時間)に時間制限を設けてやるなども良いかもしれません。

司法試験は、知識だけでは合格することができない試験なので、学問の沼にはまってしまわないように気を付けましょう。

4 サマリー

司法試験は、一定程度の学習が進んできたら、アウトプットを通してインプットしていくという学習スタイルがおすすめです。特に法律は深い学問なので、インプットばかりしてしまい、沼にはまってしまうと試験に失敗してしまう恐れがあります。

最終的に司法試験に合格するためにも、まずは自分が上記のような傾向性がないか、一度見直してみて、もし学問に深入りしてしまうようなことがあれば、改めて、そうならないように工夫してみてください。

5 まとめ

  • 司法試験受験生が陥りやすい勉強法として、学問に深掘りしてしまうことが挙げられる
  • 判例研究や学説に没頭してしまう原因としては、必要な学習範囲が把握できていないことや、理論面の学習が好きで時間を必要以上割いてしまうことなどが挙げられる
  • 学問に深掘りしすぎないためには、司法試験の学習を試験対策としてやるという意識を持ちながら、試験に必要な学習だけをやることが重要
  • 細かく勉強計画を立てたり、好きな勉強を自由時間(寝る前、休憩中)にやるなども有効

 

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