文系の最難関資格と言えば、司法試験を思い浮かべる方が多いと思います。
逆に理系の最難関資格と言えば、何が思い浮かびますか?
弁理士や医師など様々思い浮かぶと思いますが、アクチュアリー資格試験が最難関と言われる事もあります。
そこで今回は文理それぞれの最難関資格と言われる司法試験とアクチュアリーについて、徹底比較したいと思います。
1 司法試験とは?
司法試験は、司法試験法第1条1項に以下のように定められています。
司法試験法
「第一条 司法試験は、裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験とする。」
要するに、法曹三者になるための試験になります。
司法試験に合格した後は、約1年間にわたり司法修習を受け、最終試験である二回試験に合格することができれば、晴れて法曹として登録することができるようになります。
2 アクチュアリーとは?
アクチュアリーとは、「保険や年金、金融などの多彩なフィールドで活躍する”数理業務のプロフェッショナル”」です。(公益社団法人日本アクチュアリー会より引用)
日本語では「保険数理士」とも呼ばれます。
保険数理とは、保険や金融などの分野において保険商品の設計やリスクの評価などのための計算手法や理論の分野です。
アクチュアリーは保険や年金に関わる諸問題を解決し、財政の健全性の確保と制度の公正な運営に務めることを主な業務とする専門職です。
保険や年金の料率設定には、死亡率、事故率、災害確率、政治・経済情勢などの膨大なデータを分析し確率や統計学を用いて計算を行う必要があります。
また経営の側面においても事業を推進するうえでリスクマネジメントの一環としてこのような分析や計算は不可欠となります。
アクチュアリーと呼ばれる人々は、主に保険会社や信託銀行、官公庁などに所属して、保険や年金の料率設定、決算などに関わる保険数理・年金数理業務をはじめ、商品開発、リスク管理分析、長期計画の策定などに携わっています。(公益社団法人日本アクチュアリー会より引用)
また、日本だけではなく国際的な専門職として広く海外でも知られ、各国の企業からも高く評価されています。
特にアメリカで理系がなりたい職業No1と噂されているほど、アメリカでは人気の資格となっています。
日本においては、2018年3月末時点で5,117人が公益社団法人アクチュアリー会へ登録しており、アクチュアリーになるためにはアクチュアリー資格試験への合格という非常に狭き門を突破する必要があります。(※2018年の弁護士登録数は40,066人)
3 司法試験とアクチュアリー資格試験の比較
司法試験とアクチュアリー資格試験について、比較してみました。
司法試験 | アクチュアリー資格試験 | |
試験時期 | 5月中旬に4日間実施 | 12月中旬に3日間実施 |
試験範囲 | 短答式:憲法・民法・刑法から出題
論文式:公法系科目(憲法・行政法)・民事系科目(民法・商法・民事訴訟法)・刑事系科目(刑法・刑事訴訟法)・選択科目から出題 |
一次:「数学」「生保数理」「損保数理」「年金数理」および「会計・経済・投資理論」の5科目で、この中から受験科目を選択
二次:「生保コース」「損保コース」および「年金コース」のうちいずれか1つのコースを選択 |
受験者数(令和2年) | 3,703名 | 1,046名(※1次で数学の科目受験者数) |
合格者数(令和2年) | 1,450名 | 62名(※生保コースの合格者数) |
活躍できるフィールド | 弁護士、検察官、裁判官 | 生命保険、損害保険、年金機構、信託銀行 |
試験形式が異なることから一概に比較することはできませんが、受験者数については司法試験の方がアクチュアリー資格試験と比べ3倍以上多いことがわかります。
一方で、合格率を比較すると、令和2年度に関しては、司法試験の合格率は39.2%であるのに対して、アクチュアリー資格試験の合格率は5.9%と、合格率がとても低くなっています。
司法試験とアクチュアリー資格試験の大きな違いとしては、司法試験は国家資格であるのに対して、アクチュアリーは公益社団法人日本アクチュアリー会の認定資格であることがあげられます。
4 どっちが良くて、どっちが難しいのか?
司法試験とアクチュアリー資格試験は、それぞれ実務の活躍の場が全く異なり、分野も異なるため、どちらが良くて、どちらが難しいかということについて一概に判断することはできません。
もっとも、どちらもその分野のプロフェッショナルであるいう意味で、どちらも魅力的な資格であることは間違いないでしょう。
最終的には、自分のキャリアに併せて、どちらに挑戦するかを決めるのが良いと思います。
5 サマリー
司法試験もアクチュアリー資格試験も、難易度の高い試験ですが、専門家として実務で大活躍できる資格なので、興味のある方は、是非挑戦してみてくださいね。
6 まとめ
- 司法試験は、法曹三者(弁護士、検察官、裁判官)になるための国家試験
- アクチュアリーは、数理業務のプロフェッショナル
- 司法試験とアクチュアリー資格試験は、分野が全く異なるため、一概にどちらが良くて、どちらが難しいかなど判断することはできないが、それぞれの分野におけるプロフェッショナルになれるという意味で、どちらも魅力的な資格