司法試験の成績について!成績通知書から得られる情報、成績が就職に影響するかを解説!

司法試験

司法試験受験生にとって、司法試験に合格することは第1の目標です。しかし、その後の進路を考えると、どのぐらいの成績をとる必要があるのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

それぞれの進路ごとに、就職への司法試験の成績の影響の有無、程度をまとめましたので以下ご覧ください。

1 司法試験の成績通知書から得られる情報とは

司法試験の成績通知書からはどのような情報を得ることができるのでしょうか。
司法試験の成績通知書について以下ご紹介します。

(1) 司法試験の成績通知書とはなにか

司法試験の成績通知書は、短答式試験の成績通知書と論文式試験の成績通知書に分かれており、各科目ごとの成績や合計得点が記載されています。

以下、短答式試験の成績通知書と論文式試験の成績通知書の記載内容を説明します。

 

① 短答式試験の成績通知書

短答式試験の成績通知書は、憲法・民法・刑法の各科目の得点、合計点、短答式試験の順位、合格に必要な得点が記載されています。

(短答式試験の成績通知書の概要)

試験地

受験番号
受験者ID
氏名
試験科目 満点 得点 最低ライン点
憲法 50 OO 20
民法 75 OO 30
刑法 50 OO 20
合計点 175 OOO ***
順位 OOO
合格に必要な得点       OO    以上

 

② 論文式試験の成績通知書

論文式試験の成績通知書には、公法系科目(憲法・行政法)・民事系科目(民法・商法・民事訴訟法)・刑事系科目(刑法・刑事訴訟法)・選択科目(第1問・第2問)の合計得点、論文式試験の得点・順位、総合評価(短答式試験・論文式試験総合)の得点・順位、論文式試験の合格に必要な得点が記載されています。

 

論文式の順位ランクについては、A:1,000位まで、B:1,001位~1,500位まで、C:1,501位~2,000位まで、D:2,001位~2,500位まで、E:2,501位下という分布になっています。

 

(論文式試験の成績通知書の概要)

試験地

受験番号
受験者ID
氏名
論文式試験 得点(順位) 順位ランク
公法系科目 OOO.OO 第1問A 第2問C
民事系科目 OOO.OO 第1問A 第2問B 第3問C
刑事系科目 OOO.OO 第1問D 第2問A
選択科目 OO.OO
合計点 OOO.OO
順位 OOO
総合評価 得点(順位)
得点 OOO.OO
順位 OO
合格に必要な得点       OOO.OO    以上

 

(2) 司法試験の成績通知書の発送時期

司法試験の成績通知書の発送時期(令和4年)
短答式試験成績発表  令和4年6月2日
短答式試験成績通知書 令和4年6月上旬
合格発表       令和4年9月6日16:00
合格通知書兼成績通知書発送 令和4年9月中旬

以上のとおり、成績通知書は、法務省より成績発表の2週間程度後に発送され、受け取ることができます。

 

2 司法試験の成績は進路に影響するか?

それでは、司法試験の成績は進路にどの程度影響するのでしょうか。法曹三者それぞれに分けてご紹介します。

 

(1) 弁護士

弁護士については、4大事務所を含む大手渉外事務所や所属する弁護士の人数が100名程度いるような準大手と呼ばれる渉外事務所と、それ以外の事務所に分けてご紹介します。

 

① 大手・準大手法律事務所

まず、大手・準大手法律事務所の採用に関しては、司法試験の成績は一切関係がありません

その理由としては、大手渉外・準大手渉外事務所は、司法試験の短答式試験の合格発表の時期頃までに、ほぼ内定のオファーを出しているからです。

司法試験の成績通知書が届く以前に、内定が出ている以上、就職活動において司法試験の成績が影響することはありません。

 

大手渉外・準大手渉外事務所では、予備試験合格者であれば、予備試験の成績やウィンタークラークというインターンでの成績、法科大学院卒業の者であれば、法科大学院の成績やサマークラークというインターンでの成績が就職活動に大きく影響します。

 

上記の予備試験の成績や法科大学院での成績、インターンでの成績が良い人は、おのずと司法試験の成績も良いという関係性はありますが、内定時期との関係上、司法試験の成績が就職活動に影響することはありません。

 

したがって、大手渉外・準大手渉外の事務所を志望している方は、予備試験や法科大学院での成績、インターンでのアピールを頑張ることが一番重要であるといえます。

 

② 町弁・小規模事務所

次に、町弁・小規模事務所の採用に関しては、司法試験の成績は大きく影響するといえます。

上記の大手渉外・準大手渉外事務所と異なり、多くの町弁・小規模事務所の就職活動は、司法試験の成績通知書が送付されてから始まるところが多いです。

 

そのため、一番直近のその人の成績を知ることができる司法試験の成績は、内定を出すうえで大きな考慮要素になると考えられます。

 

したがって、町弁・小規模事務所の事務所を志望している方にとって、司法試験で良い成績をとることは重要です。もっとも、司法試験の成績だけでなく、エントリーシートの提出の際には、予備試験の成績や法科大学院の成績の提出も求められるため、司法試験の成績だけでなく、予備試験や法科大学院の成績も良い成績をとることも重要であるといえます。

 

(2) 検察官

検察官の採用に関して、司法試験の成績はそれほど大きく影響しないと考えられます。

検察官の就活の際に一般的によく言われれるのは、実務修習で検察官としての素質があると認められるかが最も重要であるというものです。

 

検察修習では、実際に事件が配点され、取調べ、捜査方針の策定、関係者からの事情聴取、調書の作成等自分自身の手で行います。そのような修習の過程の中で、検察官としての素養が判断されます。積極的に学ぶ姿勢を示し、志望度が高いことをアピールすることが大事です。また、検察修習中に検察修習での起案があります。起案では、B評価以上はとれるようにすることも大事です。

 

その他、司法試験の成績、予備試験・法科大学院での成績も一つの考慮要素にはなるかとは思います。どれか一つ秀でていればプラス要素にはなりますが、司法試験の成績一つをもって、検察官の採用に関して大きく影響はしないと考えられます。

 

もっとも、検察官の採用人数の少なさからも、プラス要素となる事情は多いに越したことはありませんので、検察官を目指している方は、司法試験でもよい成績をとれるよう全力を尽くす方がよいでしょう。

 

(3) 裁判官

裁判官の採用に関しては、司法試験の成績は一定程度考慮されうると考えられますが最も重要なのは、修習での起案の成績、実務修習や集合修習での評価だといわれています。

 

しかし、実際に裁判官になった人の多くは、司法試験の成績もそれなりに優秀であることが多く検察官に比べると、裁判官の採用の際の方が、司法試験の成績を考慮しているようですが司法試験の成績がふるわなくても裁判官になっている人はいますので、司法試験の成績のみをもって、裁判官になれないということありません。

 

とはいえ、それまでの学習の成果である司法試験の成績と司法修習での起案の成績や実務修習での評価は比例関係にあることが多いです。

 

司法修習での起案では、司法試験の知識を前提とした問題が出題されますし、起案のための対策についてもそれまでの勉強習慣が身についているかは重要です。

したがって、裁判官を目指している方は、司法修習で良い成績をとる必要があり、その前提として司法試験では良い成績とっているという関係性にあるのかと思われます。

 

3 サマリー 

いかがだったでしょうか。司法試験の成績が就職活動に影響するのかについては、それぞれの進路により異なります。

しかし、採用決定に関しては、明確な基準があるわけではないため、不安要素をなくすという点、また司法修習を経て志望が変わることもあり得るため、自分自身の進路の幅を広げるという点からも司法試験で良い成績をとるに越したことはありません

 受験生の第1の目標は、司法試験に合格することであることはもちろんですが、その後の自身の進路のために、より高い成績で合格しようと努力することは、どの進路を考えている方にとっても重要であると思います。

 

4 まとめ

  • 短答式試験の成績通知書は、憲法・民法・刑法の各科目の得点、合計点、短答式試験の順位、合格に必要な得点が記載されている
  • 論文式試験の成績通知書には、公法系科目・民事系科目・刑事系科目・選択科目の合計得点、論文式試験の得点・順位、総合評価の得点・順位、論文式試験の合格に必要な得点が記載されてい
  • 司法試験の成績通知書は、成績発表の2週間程度後に発送され、受け取ることができる
  • 弁護士の就職活動のうち町弁・小規模事務所であれば、司法試験の成績が採用に大きく影響する
  • 検察官の採用に関しては、司法試験の成績はそこまで大きく影響しないと考えられる
  • 裁判官の採用に関しては、司法試験の成績のみをもって採用が決まるわけではないものの、採用にあたって司法試験の成績は影響しうるといえる
  • 採用基準は明確でない部分が多く不安要素をなくすためにも、自身の進路の選択を広げるためにも、司法試験で良い成績をとることは大切である
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