司法試験の選択科目である国際関係法について解説!

司法試験

 

司法試験・予備試験には、選択科目の一つとして、国際関係法があります。国際関係法にも、私法系と公法系がありますが、それぞれどのような科目なのか、選択科目を選ぶ際に気になると思います。

この記事では、国際関係法に関する受験者のデータや各科目について解説します。

1 国際関係法は司法試験・予備試験の選択科目

司法試験・予備試験には、論文式の科目の一つとして、選択科目があります。

選択科目は全部で8科目ありますが、国際関係法は選択科目の一つになります。

また、国際関係法にも、公法系と私法系があります。

なお、令和4年度から、予備試験は論文の科目として選択科目が追加されます。

(1) 国際関係法(私法系)について

国際関係法(私法系)では、簡単にいうと、国際的な紛争のうち、私人間で生じる国際的な紛争についての問題が出ます。

例えば、婚姻や相続、契約などの私法関係についてです。紛争の主体が私人であるという点が後に説明する国際関係(公法)との違いになります。

(2) 国際関係法(公法系)について

国際関係法(公法系)では、国家間で生じる紛争についての問題が出ます。国際関係法(私法系)では、私人が主体であるのに対して、国際関係法(公法)では、国家や国際組織が主体となっている点が異なります。

2 国際関係法に関する受験者のデータ

(1) 受験者数について

▼令和3年度司法試験選択科目別の受験者数

選択科目 受験者数(割合)
倒産法 437人(12.9%)
租税法 277人 (8.2%)
労働法 1,009人 (29.7%)
経済法 639人 (18.8%)
知的財産法 486人 (14.3%)
環境法 143人 (4.2%)
国際関係法(私法系) 355人 (10.5%)
国際関係法(公法系) 46人 (1.4%)
3,392人

出典:法務省

こちらは、令和3年度司法試験の選択科目別の受験者数に関するデータになります。

国際関係法(公法)と国際関係法(私法)の受験者数をみると、国際関係法(公法)は46人、国際関係法(私法)は355人でした。

他の受験者数と見比べると、国際関係法(私法系)については5番目に多く国際関係法(公法系)は8番目と最も少ないことがわかります。

国際関係法(公法)の受験者数が少ない理由として、マイナーな科目であることが起因していると考えられます。

(2) 司法試験合格率について

▼令和3年度司法試験選択科目別の司法試験合格率

選択科目 合格者数(割合) 合格率
倒産法 202人(14.22%) 46.2%
労働法 455人 (32.02%) 45.1%
経済法 277人 (19.49%) 43.3%
国際関係法(公法系) 19人 (1.34%) 41.3%
知的財産法 193人 (13.58%) 39.7%
租税法 109人 (7.67%) 39.4%
国際関係法(私法系) 122人 (8.59%) 34.4%
環境法 44人 (3.10%) 30.8%

出典:法務省

令和3年度司法試験の選択科目別合格率をみると、国際関係法(私法系)の合格率が34.4%であったのに対して、受験者数の少なかった国際関係法(公法系)の合格率が41.3%と比較的高い数字でした。

この統計を見ると、受験者数が少ないからといって不利なことは決してなく、司法試験合格率にも大きな影響はないといえるでしょう。

もっとも、国際関係法(公法系)については、テキストや教材などの充実度が他の選択科目に比べて劣るため、試験対策については、実際に合格した方などに聞いて必要な情報を得ることが重要になります。

一方、倒産法や労働法に比べると覚えることが少なく、勉強量も少ないため、あまり選択科目に時間を割きたくないという方にはおすすめできます。

また選択科目を決めていない方は、一度国際関係法の入門書などを読んでみてからでもよいでしょう。

3 サマリー

司法試験・予備試験は、論文の科目が多いため、選択科目に勉強時間があまり割けないという方は、特に国際関係法をおすすめできます。特に仕事との両立が大変な社会人の方は、是非検討してみてくださいね。

4 まとめ

  • 国際関係法は司法試験・予備試験の選択科目の一つ。
  • 国際関係法(私法系)では、国際的な紛争のうち、私人間で生じる国際的な紛争についての問題が出る。
  • 国際関係法(公法系)では、国家間で生じる紛争についての問題が出る。
  • 令和3年度司法試験では、国際関係法(公法系)を選択した受験者が46人、国際関係法(私法系)を選択した受験者が355人だった。
  • 令和3年度司法試験では、国際関係法(公法系)を選択した受験者の司法試験合格率は41.3%、国際関係法(私法系)を選択した受験者の司法試験合格率は34.4%だった。
  • 国際関係法は、他の選択科目に比べて勉強量が少ないため、選択科目にあまり勉強時間を割けない社会人の方におすすめ。
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