行政書士の試験科目より 行政組織~形式的行為・準法律行為的行政行為~

行政書士

行政書士試験で出題される行政法では、行政作用を引き起こす行政行為について定めています。
行政行為は法律行為的行政行為と準法律行為的行政行為に分けられ、法律行為的行政行為はさらに命令的行為と形式的行為に分類できました。
命令的行為には、下命(禁止)、許可、免除があります。

1 形式的行為

国民が本来有していない地位や権利を与えたり、奪ったりする行為を『形式的行為』といいます。
形式的行為には、『特許』『認可』『代理』があります。

特許は、特定の人のため、新たな権利や法律上の地位を付与する『設権行為』と、そうして付与された権利を奪い取る『剥権行為』に分けられます。
鉱業権設定や道路の占用を許可すること、公有水面の埋め立て免許や公務員の任命などが設権行為、反対に、任命された公務員を罷免することが剥権行為です。
ちなみに、日常生活でよく耳にする「特許」は、何か新しいものを開発したりキャラクターを作ったりという時に申請するものですが、こういった発明の特許は『確認』です(後述)。

認可は、私人間の契約などの法律行為を補充し、その法律上の効果を完成させることです。
対象は法律行為のみで、認可を得ずにした行為は無効となってしまいます。
農地の権利移転の許可や電気・ガス料金の認可がこれにあたり、私人からの申請に基づいて行われます。

第三者が行うべき行為を行政主体が代わって行い、第三者自らが行った場合と同じ効果を生ずる行為が代理です。
土地収用の裁決、内閣による日銀総裁の任命などがその例です。

2 準法律行為的行政行為

法律行為的行政行為に対し、準法律行為的行政行為は行政庁の意思表示以外の判断・認識の表示に対し、一定の法的効果が発生する行為のことをいいます。
準法律行為的行政行為には『確認』『公証』『通知』『受理』の4つがあります。

確認は、特定の事実あるいは法律関係の存否において、疑いや争いのある場合に公の権利によってその存否・真否の判断および確定をする行為です。
発明の特許、当選人の決定、所得額の更生などがこの例です。
発明の特許というものは、特許庁長官の意思表示によって与えられるわけではなく、「最初に発明した(正確には「最初に申請した」)」という事実に基づいて付与されます。
特許庁は、その確認を行っているのです。

公証は、特定の事実や法律関係の存否に関する争いがない場合、その存在を公に対して証明することです。
選挙人名簿への登録、戸籍の記載、免許証の交付などがこれにあたります。

特定または不特定の人に対し、一定の事項を知らせる行為が通知です。
納税の督促や特許出願の広告がその例ですがこの通知は下命と間違われやすいので気をつけましょう。
たとえば税金を払っていない人に対し、税務署長が納税を命ずる課税処分は「下命」にあたりますが、納税の督促は「まだ税金が支払われていない」という事実を知らせているに過ぎないため、通知として扱われます。
特定の行為(何かをする・しない)を命ずるのが下命、現状の事実を伝えるのが通知です。

受理は、他人の行為を有効な行為として受け付けるということです。
各種申請書の受理、届出の受理がこれにあたります。

3 行政行為の効力

行政行為には、『公定力』『不可争力』『自力執行力』『不可変更力』という、民法上の法律行為にはない特別な効力が認められています。

4 公定力

行政行為が法令に違反した違法なものであったとしても、権限のある行政機関や裁判所によって正式に取り消されまでは「一応有効なもの」として扱われるため、そのときまでは国民および関係行政庁を拘束するという効力を、公定力といいます。

行政は原理的に法律に基づくため、違法な行政行為は本来無効なのですが、どこからどこまでを違法とするかの判断が難しく、その判断を私人に任せると行政の円滑な執行や、法的安定性が害されるおそれがあります。

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