司法試験の受験資格を得るためには2つのルートがあります。一つは法科大学院を修了すること、そしてもう一つが司法試験予備試験に合格することです。
法曹三者と呼ばれる弁護士・検察官・裁判官になるための最初の関門ともいえる予備試験は、非常に難易度が高いことでも知られています。本記事では予備試験の内容と難易度について、詳しく解説していきます。
1 予備試験とは?
(1) 予備試験の概要
予備試験の正式名称は、司法試験予備試験といいます。
予備試験は、法科大学院修了程度の知識・能力があるかを判定する試験(以下、参照)で、合格すると司法試験の受験資格を得ることができます。
(司法試験予備試験)
第五条 司法試験予備試験(以下「予備試験」という。)は、司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者と同等の学識及びその応用力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とし、短答式及び論文式による筆記並びに後述の方法により行う。 引用:司法試験法 ※「前条第一項第一号に掲げる者」とあるのは「法科大学院修了者」のことを指します。 |
また、司法試験の受験資格を得るには2つのルートがあり、予備試験に合格する「予備試験ルート」か、法科大学院を卒業する「法科大学院ルート※」のいずれかをたどる必要があります。
最終目標である法曹三者になるためには、予備試験に合格した後、司法試験に合格しなければなりません。
(※注) 令和5年より、一定の条件を満たせば法科大学院在学中においても司法試験を受験することが可能となります。詳細は、法務省等のホームページを随時ご確認ください。 参照:法務省「司法試験法の一部改正等について」文部科学省「法曹コースとは」 |
(2) 予備試験の形式
試験形式 | 試験日程(令和5年以降) |
短答式試験 | 7月頃 |
論文式試験 | 9月頃 |
口述試験 | 11月頃 |
予備試験に合格するためには、短答式試験、論文式試験、口述試験の3つの試験全てに合格する必要があります。
予備試験は短答式試験の合格者だけが論文式試験に進み、論文式試験の合格者だけが口述式試験を受験できる仕組みとなっており、3つ全ての試験に合格する必要があります。例えば、短答式試験合格者は次年度免除されるというような制度はありません。
2 予備試験の合格率と難易度
法務省のデータによれば、予備試験の最終合格者の合格率は例年4%ほどを推移しています。3つ全ての試験に合格するということが、いかに難易度が高いということがおわかりいただけるのではないでしょうか。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
令和3年 | 11,717 | 467 | 3.99% |
令和2年 | 10,608 | 442 | 4.17% |
平成31年 | 11,780 | 476 | 4.04% |
平成30年 | 11,136 | 433 | 3.89% |
平成29年 | 10,743 | 444 | 4.13% |
平成28年 | 10,442 | 429 | 4.11% |
平成27年 | 10,334 | 394 | 3.81% |
平成26年 | 10,347 | 356 | 3.44% |
平成25年 | 9,224 | 351 | 3.81% |
平成24年 | 7,183 | 219 | 3.05% |
平成23年 | 6,477 | 116 | 1.79% |
続いて、各試験についてそれぞれの合格率を見ていきましょう。
(1) 短答式の合格率と難易度
短答式試験の合格率の推移は、以下のデータからもおわかりいただけるとおり、例年20%前後を推移しており、予備試験の最初の関門といえます。
配点は、法律7科目が各30点、一般教養が60点の合計270点満点です。合格点は例年160~170点程度で、おおむね6割以上の得点で突破できる試験となっています。
出題形式は正誤問題がほとんどです。選択肢すべての正誤がわからなければ正解できない問題と、一部の選択肢のみ分かれば正解を導き出せる問題があります。
正誤問題のほかには、括弧内に入る語句を選択させる問題や、学説から導かれる結論に答える論理問題も出題されます。
短答式試験の特徴は各科目すべての範囲からまんべんなく出題されるため、突破するためには試験範囲を抜けもれなく学習することが必要となります。
年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 |
令和3年 | 11,717 | 2,723 | 23.24% |
令和2年 | 10,608 | 2,529 | 23.84% |
令和元年 | 11,780 | 2,696 | 22.89% |
平成30年 | 11,136 | 2,661 | 23.90% |
平成29年 | 10,743 | 2,299 | 21.40% |
平成28年 | 10,442 | 2,426 | 23.23% |
平成27年 | 10,334 | 2,294 | 22.20% |
平成26年 | 10,347 | 2,018 | 19.50% |
平成25年 | 9,224 | 2,017 | 21.87% |
平成24年 | 7,183 | 1,711 | 23.82% |
平成23年 | 6,477 | 1,339 | 20.67% |
(2) 論文式の合格率と難易度
論文式試験の合格率の推移について見ていきましょう。以下のデータからもおわかりいただけるとおり、例年10%台後半〜20%台前半を推移しています。短答式試験に合格した優秀な受験生のうち、5人に1人しか通過することができませんので難易度の高い試験です。また、論文式試験は2日間にわたり実施され試験時間も長いことから、知識だけではなく体力面でもかなりのエネルギーを消耗する過酷な試験となります。
科目数は法律7科目に、実務基礎科目(民事・刑事)と一般教養も加えた合計10科目で、令和4年からは一般教養が廃止され選択科目が導入されます。
論文式試験では、事件について具体的に書かれた事例を読んだ上で設問に答える問題が出題されます。事例の内容は、A4用紙1枚~数枚分にわたります。出題される範囲は、短答式試験に比べると限定されていると言えるでしょう。同じ論点が繰り返し出題されることもあります。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 | |
令和3年 | 2,619 | 479 | 18.29% |
令和2年 | 2,439 | 464 | 19.02% |
令和元年 | 2,580 | 494 | 19.15% |
平成30年 | 2,551 | 459 | 17.99% |
平成29年 | 2,200 | 469 | 21.32% |
平成28年 | 2,327 | 429 | 18.44% |
平成27年 | 2,209 | 428 | 19.38% |
平成26年 | 1,913 | 392 | 20.49% |
平成25年 | 1,932 | 381 | 19.72% |
平成24年 | 1,635 | 233 | 14.25% |
平成23年 | 1,293 | 123 | 9.51% |
(3) 口述の合格率と難易度
最後に口述試験の合格率の推移を見ていきましょう。以下のデータからもおわかりいただけるとおり、例年90%台を推移しています。直近3年間は95%以上の受験生が最終合格を果たしています。数字を見ると非常に高い合格率といえますが、論文式試験の合格者のみに課される試験のため、レベルは非常に高く、油断は禁物です。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 | |
令和3年 | 476 | 467 | 98.11% |
令和2年 | 462 | 442 | 95.67% |
平成31年 | 494 | 476 | 96.36% |
平成30年 | 456 | 433 | 94.96% |
平成29年 | 469 | 444 | 94.67% |
平成28年 | 429 | 405 | 94.41% |
平成27年 | 427 | 394 | 92.27% |
平成26年 | 391 | 356 | 91.05% |
平成25年 | 379 | 351 | 92.61% |
平成24年 | 233 | 219 | 93.99% |
平成23年 | 122 | 116 | 95.08% |
3 予備試験の難易度が高い理由
(1) 3つの試験全てに合格する必要がある
予備試験は同じ年に短答式試験、論文式試験、口述試験の全てに合格しないと、予備試験合格の資格を手にすることは出来ません。
そのため、『今年は短答式試験に合格して、来年は論文式試験に合格して、再来年に口述試験に合格する』という長期的なスケジュールを組むことが出来ません。
7月から11月までの4ヶ月の間にこの3つの形式の試験を突破する計画を立てる必要があります。
また、それぞれの試験で出題される科目や求められる能力が異なるので、学習計画を立てるのが難しいと言えます。
例えば、
・短答式試験で出題のない『実務基礎科目』や『選択科目』の対策をいつ行うのか?
・短答式試験でしか出題されない一般教養科目はどの程度、時間をかけるか?
といった悩みを抱えながら学習計画を立てる必要があります。
(2) 試験範囲が膨大
予備試験の難易度が高い2つ目の理由として、試験範囲が膨大であることが挙げられます。
以下が予備試験の試験科目です。
短答
|
憲法 |
民法 | |
刑法 | |
商法 | |
民事訴訟法 | |
刑事訴訟法 | |
行政法 | |
一般教養 | |
論文
(A4用紙4枚ほどに記述)
|
憲法 |
民法 | |
刑法 | |
商法 | |
民事訴訟法 | |
刑事訴訟法 | |
行政法 | |
選択科目【倒産法・ 租税法・ 経済法・ 知的財産法・ 労働法・ 環境法・ 国際関係法(公法系)・ 国際関係法(私法系)】
※いずれか1科目を選択 |
|
実務基礎科目(民事実務基礎、刑事実務基礎) | |
口述
|
法律実務基礎科目(民事・刑事) |
法律実務基礎科目(民事・刑事) |
参照:法務省「司法試験予備試験の実施について」
試験科目数は司法試験よりも多いです。
例えば、司法試験の短答式試験は刑法、民法、憲法の3科目だけです。
一方で、予備試験ではこの3科目に加えて商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法、一般教養科目が課されます。
予備試験の合格者は法科大学院修了者と同等とみなされるため(司法試験法第5条)、試験科目が多くなるのは仕方ないと言えます。
しかし、法科大学院生が2〜3年かけて学ぶ内容を一気に試されるので対策のハードルは高いと言えます。
(3) 論文式試験の対策が難しい
予備試験の試験の中で最難関は論文式試験です。
この論文式試験の特徴として、明確な正解がないことが挙げられます。
論文式試験では、受験者が法的な知識を正しく理解し、論理的に自己の見解を述べることが出来れば評価されるのですが、明確な正解がない中で論文を書く力を養うのは困難が伴います。
また、論文式試験の対策の難しい点として自己の実力を正確に判定する方法が少ないことが挙げられます。
予備試験は高校受験や大学受験と比べれば、論文式試験の模試は回数がまだまだ少ないのが現状です。
自分なりに論文式試験の対策をしていても、他の受験生と比べて進んでいるのかどうかがわからないためモチベーションを維持することが難しいと言えます。
(4) 孤独な闘い
予備試験の難しさとして、『孤独な闘い』であることが挙げられます。
法科大学院などでは、授業やゼミなどで志を同じくする仲間や先生と交流することができます。
しかし、予備試験の対策、自主ゼミなどを開かなければ、基本的に一人で学習を進めることになります。
たった、一人で膨大な試験範囲に向き合うことは相当な覚悟が必要です。
(5)法律学習の特殊性
予備試験の難しさとして『法律学習の特殊性』が挙げられます。
中学、高校、大学の勉強をそつなくこなしてきたような受験生でも予備試験の対策では苦戦する場合があります。
なぜなら、高校・大学受験の勉強と法律学習は異なる点が多いので、学習スタイルを切り替えられないと成果が得られない場合があるからです。
例えば、大学受験の一つ一つの知識を積み上げるようにしてインプットしていくのに対して、法律学習はまず全体を俯瞰してから抜け漏れを補っていくという勉強が重要です。
また、大学受験などでは解答の『論述の流れ』についてそこまでシビアではないですが、予備試験では解答の際に適切な論理を組むことが求められます。
このように、法律学習は学生時代の勉強と異なる点も多いため、誤った学習方法に陥りやすいのです。
4 予備試験ルートを選ぶメリットは大きい!
前述のとおり、司法試験を受験するためには以下2つのルートのうちどちらかを取得しなければなりません。
法科大学院ルート(一定要件を満たせば在学中の受験も可能)
予備試験ルート(予備試験合格者)
どちらのルートを選択するか悩まれる方も少なくありませんが、結論からいえば予備試験ルートがおすすめです!
確かに、法科大学院を問題なく修了すれば、自動的に司法試験の受験資格を取得することができます。では、なぜ予備試験ルートがおすすめなのでしょうか?
(1) 予備試験合格者の司法試験合格率は高い
予備試験の合格を目指す方のうち多くの方は最終目標として法曹三者を目指しているでしょう。そうであるのならば、「法科大学院ルートと予備試験のうちどちらの方が司法試験の合格率が高いか?」という情報も押さえておく必要があるでしょう。
法務省が発表しているデータを見ると、予備試験ルートの方が圧倒的に司法試験の合格率が高いことがわかります。93.5%という数字に驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
総計 | 法科大学院 合計 | 予備試験 合計 | |
合格者数(合格率%) | 1,421人(41.50%) | 1,047人(34.62%) | 374人(93.5%) |
出願者数 | 3,754人 | 3,342人 | 412人 |
受験予定者数 | 3,733人 | 3,321人 | 412人 |
受験者数 | 3,424人 | 3,024人 | 400人 |
短答式試験の合格に必要な成績を得た者の数 | 2,672人 | 2,272人 | 400人 |
これは、予備試験と司法試験の科目が重複していることが最も大きな理由だと考えることができます。
つまり、予備試験合格を目指す予備試験受験生は、司法試験と重複している科目を含め予備試験ひいては司法試験に合格することに特化した対策を集中的に行っているからといえるでしょう。
予備試験科目 | 司法試験科目 | |
短答 | 憲法 | 憲法 |
民法 | 民法 | |
刑法 | 刑法 | |
商法 | なし | |
民事訴訟法 | ||
刑事訴訟法 | ||
行政法 | ||
一般教養 | ||
論文 | 憲法 | 憲法 |
民法 | 民法 | |
刑法 | 刑法 | |
商法 | 商法 | |
民事訴訟法 | 民事訴訟法 | |
刑事訴訟法 | 刑事訴訟法 | |
行政法 | 行政法 | |
選択科目【倒産法・ 租税法・ 経済法・ 知的財産法・ 労働法・ 環境法・ 国際関係法(公法系)・ 国際関係法(私法系)】※いずれか1科目を選択 | 選択科目【倒産法・ 租税法・ 経済法・ 知的財産法・ 労働法・ 環境法・ 国際関係法(公法系)・ 国際関係法(私法系)】※いずれか1科目を選択 | |
口述 | 法律実務基礎科目(民事・刑事) | なし |
法律実務基礎科目(民事・刑事) |
参照:法務省「司法試験」
一方で、法科大学院ルートの司法試験合格率は34.62%という結果が出ています。あくまでも推測の域を出ませんが、この数字は、本腰を入れて予備試験の合格を目指す方と、そうではなく“腕試し”的な感覚で受験している受験生が一定数混在しているために表れた結果と考えることができます。
また、法科大学院は必ずしも司法試験に合格することに特化した勉強をするわけではないということを押さえておかなければなりません。
大学院により特徴はさまざまですが、ゼミや仲間同士の士気が高く司法試験に向けて切磋琢磨しあえる環境がある場合もありますが、全ての法科大学院に共通していえることではありません。
そのため、近年は、法科大学院に通いながら予備校を利用し予備試験合格を目指し、法科大学院修了前に司法試験の受験資格を取得し司法試験合格を目指すケースが多く見られます。
(2) 経済的・時間的メリットが大きい
予備試験ルートは、経済的・時間的負担が少なく済むこともメリットの一つです。
法科大学院は、修了するまでに通常2〜3年の時間を要し、プラスアルファとして司法試験対策を行わなければなりません。一般的には、法科大学院では課題や定期試験対策に追われるため司法試験対策の勉強を同時進行で行うことは難しいとされています。
司法試験合格までにかかる時間はどのくらいなのでしょうか?
【司法試験合格までにかかる時間の目安】
法科大学院ルートで司法試験合格を目指すケース
→法科大学院修了までにかかる年数 2〜3年+司法試験対策1年ほど=3〜4年かかる
予備試験ルートで司法試験合格を目指すケース
→予備試験合格にかかる年数 1〜2年+1年(個人差あり。社会人か否かその他の事情など)
+半年(司法試験本番までにかかる時間)=1年半〜3年半ほどかかる
※予備校をうまく活用して短期合格を目指すことも可能
メリット | デメリット | |
法科大学院ルート | 幅広い知識を得ることができる | 時間的・経済的負担が大きい |
学習経験を活かした方向転換がしやすい(公務員など) | 入学には大学卒業程度の資格が必要 | |
勉強仲間ができやすい(モチベーション維持がしやすく競争心が生まれる) | 法科大学院の入学試験に合格する必要がある | |
予備試験ルート | 時間的・経済的負担が少ない | 試験に必要な知識のみを学ぶ |
試験に特化した内容に絞って勉強するため、勉強期間の短縮ができる | 予備試験合格の難易度が高い | |
合格後の就職に有利(社会人経験を活かせるなど) | 勉強仲間ができづらい(モチベーション維持が難しい) |
(3) 就職に有利
予備試験合格者は就職活動に有利なことが多いといわれています。
なぜなら、予備試験合格者の司法試験合格率が圧倒的に高い(≒司法試験合格がほぼ確実と思われる)ということは、法曹界では広く知られているからです。そのため、大手法律事務所などでは、より優秀な人材をいち早く獲得するために司法試験受験・合格する前から、予備試験合格者に内定を出すというケースは珍しいことではありません。また、一定の面接や懇談の機会を設けている事務所もあります。
【予備試験合格者の就職活動のタイミング】
・予備試験最終合格発表後〜数ヶ月ほど
・司法試験受験後〜数ヶ月ほど
・司法試験最終合格発表後〜数ヶ月ほど
・司法修習中
予備試験合格者の多くは、司法修習前に内定を得ることができるため、司法修習中は修習に専念することができるだけではなく、友人との交流などを積極的に行うことが叶います。
競争率の高い有名法律事務所の内定を早期に得られる安心感は非常に大きなものとなります。
また、社会人の方は、合格後の就職について懸念される方もいらっしゃいますが、心配には及びません。社会人としての経験と知識を法曹界で活かせる点は本人にとってもメリットとなりますが、複雑多様化している社会において、広く優秀な人材を求めている法曹界にとっても大きなメリットとなっています。
5 難易度が高い予備試験に合格するためには?
(1) 膨大な試験範囲を網羅する
予備試験に合格するには、膨大な試験範囲を試験本番までに網羅する必要があります。
しかし、試験範囲の知識について全て同じペースで学習すれば良いわけではありません。
試験範囲の中でも試験に出題されるかは、分野ごとに大きく差がありメリハリをつけて学習する必要があります。
理想的な学習の進め方として、まず、学習初期のインプットの段階では100%覚えようとするのではなく、全体を素早く1周するようにします。
そして、問題演習を通して、頻出論点や自分の苦手部分を見つけたうえで再度インプット教材に立ち戻ると、効率的に進めることが可能です。
しかし、この勉強法の難点として勉強の進め方が場当たり的なものになりがちであるという点が挙げられます。
試験日までに膨大な試験範囲を終了するために、数ヶ月単位の長期的な視点と1週間単位の短期的な視点を組み合わせて適切なスケジュールを立てることが重要です。
(2) 論文主体の勉強(つまりアウトプットを重視)
予備試験に合格するには山場である論文式試験を突破する必要があります。
法律学習の初心者が論文式試験で適切に解答できるようになるには、ある程度の数をこなして論文を書くことに慣れる必要があります。
しかし、ただ数を書けば良いというものではありません。
自分一人でアウトプットの演習をしても前提となる知識が間違っていることに気が付きにくいですし、法的三段論法や表現の仕方が不正確ですと試験官に自分の見解を伝えることが困難になります。
理想的な学習方法は、自分のアウトプットした答案を第三者に見てもらうことです。
こうすることで、自分では気がつき辛い点についてアドバイスをもらうことが出来ます。
注意すべき点として、答案を見てもらった相手が司法試験や予備試験の学習経験者でない場合、結論に影響のないような学説の対立に拘ったり、重要な論点の見落としを指摘してもらえないなどの事態が考えられます。
答案を見せる際は、ある程度の学習経験者に依頼するのがベストです。
と、ここまで、論文式試験対策について述べてきましたが、論文式試験の対策だけで予備試験に合格できるわけではありません。
別途、短答式試験、口述試験の対策も必要になります。
こうした学習と並行しながら論文式試験の実力を伸ばす必要があるので、受験生は各試験の対策を同時並行で進める必要があります。
(3) 適切なスケジュールで挫折を防ぐ
予備試験の合格を目指す人の一定数が試験会場に到達することなく、法曹になる夢を諦めてしまいます。
法律の学習は1つ1つが難しいうえに量も膨大です。
なかなか、思うように進まずモチベーションが維持出来ず途中で挫折してしまう人が意外にも多いのです。
こうした事態に陥らないように適切なスケジュールを立てることが重要です。
試験日から逆算して『いつまでに、何をすべきか』を明確にするようにしましょう。
しかし、スケジュールを立てたところでいつも上手くいくとは限りません。
例えば、『今月中に憲法の過去問を終わらせよう!』と思っていても、憲法の知識があやふやで当初の予定通り終わらないこともあります。
そんな時、どうしたらいいでしょう?
憲法の過去問期間を延長するのか、それとも終わらなかった分は後回しにして翌月からは次の科目に進むのか……。
予備試験の学習進行はこうした難しい判断の連続です。
こうした難しい判断をする際は、実際に予備試験や司法試験の学習を経験した先輩のアドバイスを聞くようにして自分一人で抱え込みすぎずに相談者を見つけることも大切です。
(4) 予備試験対策と勉強や仕事との両立
予備試験に合格するには多くの学習時間が必要になります。
しかし、仕事や学業と両立しながら学習時間を確保するのは想像以上に困難が伴います。
長い学習期間中に、仕事や学校の授業が忙しくなって両立が難しくなり、そのまま挫折してしまう受験生もいます。
こうした事態に陥らないように隙間時間に勉強する習慣をつけて、仕事や学校との両立を図ることが求められます。
例えば、覚えたい事項をスマホのアルバムにまとめて満員電車の中で復習できるようにしたり、昼休みにランチが運ばれてくるまでの時間に短答式試験の過去問を解いたり、と言った工夫をする必要があります。
6 資格スクエアの予備試験講座で合格を目指そう
これまで、予備試験に合格するためのポイントについて解説してきました。
資格スクエアの予備試験講座ではこうしたポイントを押さえて勉強を進めることができます。
(1) 膨大な試験範囲を網羅する→『いつ、何を、どのように勉強すればいいのか分かりやすい』
資格スクエアの講座では初めて法律を学習する人が試験本番までに学習を効率的に進めるためのツールを提供しています。
1つ目が『合格ロードマップ』です。
合格ロードマップには試験日までに『どの科目を、どの順番に進めたら良いのか』を明示しているので、来年、再来年の試験を受けるために長期的な勉強計画を立てることができます。
この合格ロードマップは学習経験や勉強スタイルの好みに合わせて4タイプのものから選ぶことができます。
2つ目は、『ステップアップ学習シート』です。
ステップアップ学習シートは合格ロードマップで定めた長期的な計画を達成するためには各科目について具体的にどのように進めるべきかを明示しています。
このシートに沿って学習することで、『今日、何をどれくらい勉強すべきか』を簡単に知ることができます。
(2) 論文主体の勉強→『合格者による205通もの論文添削』
資格スクエアでは、受講生が着実に論文式試験を突破する実力を高められるように豊富な論文添削の機会を提供しています。
添削スタッフは全員が司法試験または予備試験の合格者です。
添削を依頼すると、添削スタッフによって書くべき論点についてどのくらい書けたかを示すチェックリストと、具体的にどのように修正すればより良い答案になるのかを示したコメントが付されて返却されます。
また、論文試験の過去問については同じ問題について2回添削を受けることができるので、1回目の添削の反省を生かした上で改めて添削をしてもらうことができます。
(3) 学習が孤独にならない『合格者に毎月相談できるフォローアップ』
資格スクエアでは、毎月合格者スタッフと学習進捗や試験対策上の悩みについて相談できるフォローアップを提供しています。
フォローアップでは様々なご相談を受け付けています。
・学習が最初に立てた計画通りに進まないのだが、どうしたら良いか?
・勉強のモチベーションをあげるにはどうしたら良いか?
・なかなか論文が書けるようにならないがどうしたら良いか?
かつて受験生として同じ悩みに直面した合格スタッフだからこそ実践的な解決策をお伝えすることができます。
(4) オンライン学習で勉強や仕事との両立をよりスムーズに
資格スクエアは完全オンラインの予備校なので、分厚いテキストを持ち運ぶ必要がありません。
全ての授業をスマホやタブレット端末で視聴できるのはもちろん、授業で指摘された条文をワンクリックで表示することができる機能や、授業でわからない点を24時間司法試験合格者に質問できるワンクリック質問機能などを提供しています。
スキマ時間にスマホ一台で学習を進められる工夫が随所に詰まっています。
また、短答問題を解けるアプリを提供しているので、少しの隙間時間に簡単に短答式試験対策を行うことができます。
7 サマリー
いかがだったでしょうか?
予備試験は確かに難関な試験です。
しかし、『予備試験はなぜ難関なのか?』『合格するにはどんなことを意識して勉強すれば良いのか?』を考えながら対策を進めれば決して恐ろしい試験ではありません。
本記事の内容や合格者の勉強方法を参考にして、夢をかなえるための第一歩を踏み出してはみませんか?
8 まとめ
- 予備試験は、法科大学院修了程度の知識・能力があるかを判定する試験で、合格すると司法試験の受験資格を得ることができる。
- 予備試験は年に一度実施され、「短答式」「論文式」「口述」の3つの試験形式で構成されており、受験回数や年齢に制限はなく誰もが受験できる試験。
- 予備試験の最終合格者の合格率は例年4%ほどを推移している。
- 予備試験ルートを選択するメリットは大きい(経済的・時間的メリット、司法試験合格率が高い、就職に有利など)。
- 予備試験に合格するためのポイントは、論文学習中心の学習方針と適切なスケジュール管理。
- 予備試験合格を目指すなら、論文学習に特化し、合格者による添削やフォローアップが充実した資格スクエアがおすすめ!