行政書士試験は、人気の資格試験の一つで、毎年多くの方が受験しています。特に法律系資格試験の中でも、社会人の方にとっては、勉強と仕事を両立しやすく、比較的目指しやすい試験といえるのではないでしょうか。
この記事では、行政書士試験の難易度について、合格率や他資格と比較しながら解説します。
1 行政書士とは
行政書士は、「行政手続きのプロフェッショナル」「書類作成のプロフェッショナル」といわれているように、煩雑かつ専門知識を必要とする事務手続きを主な業務としています。
日本における手続きの種類は1万種類以上あるといわれている行政書士ですが、行政書士になるための行政書士試験について、以下詳しくみてみましょう。
2 行政書士試験の概要
(1) 受験資格
行政書士試験には、年齢、国籍、学歴に関係なく、誰でも受験することができます。また、受験回数の制限もありません。
誰でも受験できるという点は、行政書士試験の魅力の一つといえるでしょう。
(2) 試験日程
行政書士試験の試験日は例年11月の第2日曜日、午後1時〜午後4時までです。
ちなみに、令和4年度行政書士試験は、令和4年11月13日(日)午後1時〜午後4時、合格発表日は、令和5年1月25日(水)に予定されています(行政書士試験研究センター)
(3) 試験科目
試験科目は以下の通りで、令和3年の試験では全60問が出題されました。
・「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題)
憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題。
※攻略のポイント
憲法は最近の傾向として難化しているといわれていますが、全体的な難易度はさほど変わってはいません。また、これは法令科目全体にいえますが、細かい重箱の隅をつつくような問題に惑わされることなく、重要論点を抑えることで、26問〜28問をとることが可能です。
法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題されます。
・「行政書士の業務に関連する一般知識等」(出題数14題)
政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
※攻略のポイント
一般知識等については、近年、易しい傾向が続いていますが、難化されることを想定しつつ、しっかり対策しておきましょう。8問〜9問はとりたいところです。
(4) 試験形式
以上の科目について筆記試験が行われます。行政書士試験の出題形式は「択一式」と「記述式」の2通りです。
択一式はさらに「5肢択一式」と「多肢選択式」に分かれています。「5肢択一式」は5つの選択肢から適切な解答を1つ選ぶもの、「多肢選択式」は20の選択肢から長文の各空欄にあてはまる語句を各1つ選ぶものです。
記述式は、問いに対して40字程度で解答する問題が出題されます。
「行政書士の業務に関し必要な法令等」は択一式および記述式、「行政書士の業務に関連する一般知識等」は択一式で出題されます。
試験日時 | 例年11月第2日曜日 午後1時〜午後4時 ◆令和4年度〈予定〉 11月13日(日)午後1時〜午後4時 | |||
受験手数料 | 10,400円(令和4年度改定) | |||
出題形式 | 科目 | 問題数 | 配点 | |
法令等
|
5肢択一式
|
基礎法学 |
40問
|
160点
|
憲法 | ||||
行政法 | ||||
民法 | ||||
商法 | ||||
多肢選択式
|
憲法 |
3問
|
24点
|
|
行政法 | ||||
記述式
|
行政法 |
3問
|
60点
|
|
民法 | ||||
一般知識
|
5肢択一式
|
政治・経済・社会 |
14問
|
56点
|
情報通信・個人情報保護 | ||||
文章理解 | ||||
合計 | 60問 | 300点 |
(5) 合格基準
次の要件をいずれも満たすことが、行政書士試験の合格基準となります。
①行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50パーセント以上である者
②行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント以上である者
③試験全体の得点が、満点の60パーセント以上である者
出典:行政書士試験研究センター
参考に、令和3年度行政書士試験の合格基準点は以下のとおりでした。
次の要件のいずれも満たした者を合格とする。
(1) 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
(2) 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上である者
(3) 試験全体の得点が、180点以上である者
3 行政書士試験の難易度は?
(1) 合格率
ここ数年の行政書士試験の受験者数、合格者数、合格率を見てみましょう。 令和元年度は11.48%、令和2年度は10.72%、令和3年度は11.18%と近年は合格率10〜12%で推移しています。
一時は受験者数が減少しましたが、令和3年度行政書士試験では受験者数が一気に増えました。
その影響もあってか、合格者数も5,353人と前年に比べて増えています。
(2) 他資格試験との比較
では、行政書士試験の難易度は相対的に見てどれほどのものなのでしょうか。
他の法律系資格試験の合格率をそれぞれ比較してみました。
▼令和3年度合格率
合格率 | |
行政書士試験 | 11.18% |
宅地建物取引士試験 | 15.6% |
税理士試験 | 18.8% |
司法書士試験 | 5.1% |
司法試験 | 41.5% |
社会保険労務士試験 | 7.9% |
合格率だけをみると、司法試験の合格率が最も高く、41.5%でした。他方、最も合格率が低かったのが司法書士試験で5.1%でした。
行政書士試験の合格率は11.18%と、他の資格試験と比較すると中間くらいに位置しているといえます。
もっとも、それぞれの資格試験の合格基準や試験形式は異なるため、合格率が高い=難易度が低いと一概にいうことはできません。
その中でも行政書士試験は、法律の勉強をあまりしたことのない方でも約1年間ほど(短い人で約3か月)の勉強時間で合格することが可能な試験のため、司法試験や司法書士試験、税理士試験よりも難易度は低いといえます。
反対に宅地建物取引士試験と比べると行政書士試験の難易度は高いといえます。
4 行政書士は社会人でも目指しやすい
行政書士試験は、合格率だけをみると簡単に合格できる試験とはいえませんが、他資格と比較すると、勉強時間を調整しやすく、社会人の方にとって目指しやすい試験といえます。
また、最難関試験である司法試験を受験してみたいが自信がないという方にとっては、行政書士試験は共通科目が多いため、ステップアップする手段として挑戦してみるといった方法もおすすめです。
時間に余裕のある方はもちろん、平日は仕事で可処分時間が十分にとれない社会人にとっては、法律系資格試験の中でも挑戦しやすい試験といえるでしょう。
5 資格スクエアの行政書士講座で合格を目指そう!
完全オンライン予備校である「資格スクエア」では、近日、行政書士講座が開講されます。
この行政書士講座の講師は、「森T」でおなじみの、森広志先生です。
森先生は、講師歴20年を超える、大ベテランの先生でご自身も3カ月で行政書士の合格を遂げた短期合格のプロフェッショナルです。
この行政書士講座は、「4カ月で合格を目指す」特別カリキュラムで、短期集中型の講座です。
森先生の講座は、「明るく、楽しく、わかりやすく」をモットーにし、一切の無駄を省いた学習カリキュラムを提供してくれるので、今年合格したい!という方にとっておすすめの講座です。
行政書士の勉強を始めたものの、なかなか思うように進まない方や、短期で今年合格したいという方には、資格スクエアの行政書士講座をおすすめします。
6 サマリー
行政書士試験の難易度は、他資格に比べると、誰もが目指せる難易度で挑戦しやすい試験です。法律に興味のある方や、行政書士の仕事に興味のある方は、是非挑戦してください。
7 まとめ
- 行政書士は、「行政手続きのプロフェッショナル」「書類作成のプロフェッショナル」。
- 行政書士試験には受験資格がない。
- 行政書士試験は毎年1回、例年11月の第2日曜日、午後1時〜午後4時に行われる。
- 令和3年度行政書士試験の合格率は11.18%。
- 行政書士試験は、司法試験や司法書士試験に比べると難易度は低いものの、宅地建物取引士試験よりも難易度が高い。
- 行政書士試験は、可処分時間が十分にとれない社会人にとって目指しやすい試験。