司法試験商法の勉強のコツについて徹底解説!

司法試験

 

司法試験商法は、論文式試験の試験科目の一つですが、会社の組織に関する知識や、機関については、学生の方にとってはあまり馴染みがなく、苦手な方も多いのではないでしょうか。

この記事では、司法試験で問われる商法について、勉強法を紹介するので、是非参考にしてみてください。

1 司法試験商法について

司法試験商法は、論文式試験で出題されます。

論文式試験では、公法系科目(憲法、行政法)、民事系科目(民法、商法、民事訴訟法)、刑事系科目(刑法、刑事訴訟法)の合計8科目が出題され、商法は民事系科目の一つになります。

商法は、2時間の試験となっており、答案用紙が8枚配られます。

商法といっても、商法という科目だけから出題されるのではありません。

具体的には、商法総則・商行為・会社法・手形法から出題されます。

ただ、これまでの傾向として、会社法から出題されることが最も多く、手形法や商行為から出題されることは少ないです。

会社法は条文数も多く、また判例や論点が多いため、会社法がメインで出題されるのでしょう。

2 司法試験商法の勉強法

(1) 民法を一通り勉強してから

会社法は、民法の特別法になります。

つまり、民法の一般原理のもとでは、外れた事例について会社法が適用されます。会社法と民法で同じことがかいてあったら特別法である会社法が適用されるということです。

そのため、民法を先に勉強した後に会社法を勉強する方が、より会社法の理解が進み、効率的な勉強法になります。

会社法は、株主総会や取締役会など実務的な学問でもあるので、社会人受験生の方にとっては比較的馴染みのある法律ともいえます。そういう方にとっては、会社法を先に勉強しても良いかもしれません。

(2) 条文操作の学習

会社法は、条文数も多く、複雑な構造となっています。

それだけに、司法試験では、条文操作問題も出題されることがあります。

例えばですが、令和元年司法試験商法の設問1はこのような問題でした。

「〔設問1〕 乙社は、平成30年1月、甲社の株主として、株主総会において、株主総会の権限に 属する一定の事項を提案することを検討していた。上記1から4までを前提として,乙社が,そ のために採ることができる会社法上の手段について,甲社の臨時株主総会を自ら招集する場合と 平成30年6月の甲社の定時株主総会の開催に当たり株主提案権を行使する場合のそれぞれの手 続を説明し,比較検討した上で,論じなさい。ただし,社債,株式等の振替に関する法律上の手 続については,説明しなくてよい。」

出典:法務省

この設問について、出題趣旨では、以下のように言及されています。

「設問1においては,乙社が採ることができる会社法上の手段として,少数株主による株主 総会の招集の手続(会社法第297条等)並びに議題提案権(同法第303条)及び議案要 領通知請求権(同法第305条)の行使の手続について説明し,比較検討した上で,論ずる ことが求められる。

少数株主による株主総会の招集の手続並びに議題提案権及び議案要領通知請求権の行使の手 続について比較検討するに当たっては、例えば、下記①から③までのことについて、言及することが期待される。 

① 議事運営の主導権 

少数株主が臨時株主総会を招集する場合には,少数株主は株主総会の招集等の手続を行うこ とにより株主総会の議事運営にその意向を反映し得ること,他方で,取締役が招集する定時株 主総会の開催に当たり少数株主が議題提案権及び議案要領通知請求権を行使する場合には,取 締役が株主総会の招集等の手続を行うため,少数株主が臨時株主総会を招集する場合と比べる と,株主総会の議事運営に少数株主の意向を反映することに支障があり得ること。 

② 費用等の手続面の負担 

少数株主が臨時株主総会を招集する場合には,少数株主が株主総会の招集及び開催の費用 及び労力を負担すること,他方で,議題提案権及び議案要領通知請求権を行使する場合には, 株式会社が株主総会の招集及び開催の費用及び労力を負担すること。 

③ 時期の選択 

少数株主が臨時株主総会を招集する場合には,定時株主総会が開催されるのを待つことを 要せず,それよりも前に,株主総会を開催することができること,他方で,議題提案権及び 議案要領通知請求権を行使する場合には,定時株主総会が開催されるのを待たなければなら ないこと。 」

出典:法務省

この問題は、条文操作問題の中でも比較的易しい問題で、会社法303条や305条は学習の途上で目にすることも多いかと思います。

ただ、この条文を知っていないと、この設問を解くことはできないので、仮に一度も見たことのない条文だと、試験本番で焦ってしまいますよね。

配点割合は低いですが、実際にこのような条文操作問題が出題されることもあるのです。

では、このような問題が出題された場合の対策として、会社法の条文を一つ一つ覚えるといった作業をすれば良いのかというと、そうではなく、実際に条文を覚えることは現実的ではありません。

それよりも、条文全体の体系を理解しておくことが重要になります。

例えば、インプットの勉強をする際に、条文が出てくる度に、六法を参照することもとても重要です。いちいち六法を開いて確認するのが面倒くさいかもしれませんが、会社法の条文のうちどの辺にその条文があるのか、またその周辺の条文についても読んでおくなど、その条文が体系の中でどのように位置付けられているのかを意識しながら読むだけで、学習効率が一気に上がります。

特に条文に苦手意識がある方は是非実践してみてください。

(3) 過去問(アウトプット)を解く

司法試験においては、過去問にいち早く着手することがとても大事です。

司法試験の出題範囲はとても広く、最初はインプットに時間がかかってしまいがちですが、過去問を解くことで、出題範囲のうち、どの分野や論点が頻出傾向にあるのか、論点ごとの重要度が分かるからです。

過去問を早い段階で解き始めることで、その後のインプットで重要な知識の取捨選択ができ、学習の質が上がります。

特に司法試験の論文は、2時間という制限時間の中(選択科目を除く)で8枚の答案を書き上げるので、アウトプットに慣れることが大事です。

最初から過去問で正解筋を探さなければという意識は持たなくて大丈夫なので、どのような問題が出題されるのか、その後の勉強にどう活かそうかといった意識で取り組んでみてください。

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3 サマリー

司法試験商法は、上記の勉強のコツを習得し、過去問に早く慣れることで、苦手意識が大きく変わる科目なので、是非実践して得意科目にしてくださいね。

4 まとめ

  • 司法試験商法は、論文式試験の科目の一つ
  • 司法試験商法の勉強法は、①民法を一通り勉強してからやること、②条文操作の学習、③過去問(アウトプット)を解く
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