司法試験合格を目指す人の進路は弁護士だけじゃない!検察官・検察事務官とは

司法試験

司法試験に合格して検察官になりたい!そう思いながら司法試験合格に向けて勉強を頑張っている方もいらっしゃることでしょう。

確かに検察官になるためには司法試験に合格して司法修習を経て検察官として採用されるというルートが王道です。

しかし、検察官になることができるルートはそれだけではありません。検察事務官からも時間はかかりますが検察官になることができます。

そこで、この記事で検察官と検察事務官の職務内容や年収、なり方について解説します。

どうしても検察官になりたい、という方はぜひ参考にしてみてください。

1 司法試験合格を目指す人の進路

司法試験に合格した場合、司法修習を経て弁護士、検察官、裁判官になることができます。

とはいえ、大半の方は弁護士になり、検察官、裁判官になる修習生の割合は多くはありません。

 

特に、裁判官や検察官になるためには、修習中に一定の成績を修めるなどの条件を満たす必要があるため、そのハードルは高いといえます。

このように、検察官になるためには原則として司法試験に合格した上で、司法修習を経て検察官として採用される必要がありますが、実はそれ以外にも検察官になることができる方法があります。

 

それは、検察事務官から検察官になる方法です。検察事務官の採用試験では専門試験が課されますが、ここで法律の知識を活かすことができるので、どうしても検察官になりたいという方は、まず検察事務官として経験を積んでから検察官になるという方法もあります。

2 検察官とは

検察官とは、法律に違反した犯罪や事件を調べ、その被疑者を起訴して裁判にかけることを主な職務内容としている国家公務員です。

 

検察官は、検事総長、次長検事、検事長、検事、副検事の5つに分類されます。

(1) 職務内容

検察官の職務内容としては、法律に違反した犯罪や事件を調べ、その被疑者を起訴するかどうかを決定する、そして起訴した事件については公判で立証活動をしたり、裁判所に適正な裁判を求めたりするというのが主な内容となります。

 

一般的に犯罪が発生した場合は、まず警察が被疑者を逮捕したり、証拠を収集したり、取調べを行います。その後、警察から検察に事件が送致されるので、検察官は警察から送致された事件について被疑者や参考人の取調べを行ったり、必要があれば警察に補充捜査を行ってもらったりして、証拠を検討した上で被疑者を起訴するべきかどうか決定します。

 

日本の刑事裁判の有罪率が高いのは、検察官は有罪の証拠が十分であると判断した事件についてのみ起訴しているからといえるでしょう。

(2) なり方

検察官のうち、一般的に司法試験を受験してなる検察官というのは、検事を指しています。

他方、検察事務官など一定の公務員が特別の試験に合格してなることができるのが副検事です。

検事になるためには、以下のいずれかの資格が必要となっています。

 

①司法試験に合格した後、司法修習を終えた者

②裁判官(判事、判事補)

③弁護士

④3年以上特定の大学において法律学の教授又は助教授の職にあった者

⑤3年以上副検事の職にあって、検察官になるための特別の試験に合格した者

 

大多数の検事は上記のうち①のルート、つまり、予備試験またはロースクールを経て司法試験に合格したあとに司法修習を経て検事として採用されると検事になることができます

 

また、検察事務官であれば特別の試験を受けて副検事になったあと、さらに特別の試験に合格すれば司法試験に合格してなるのと同じ検事になることができるということになります。

(3) 年収情報

検察官の年収は、「検察官の俸給等に関する法律」に従って、等級によって決まります。

等級は1号から20号まで定められており、1号に近いほど給与は高くなります。そして、1号のさらに上としてその他検事長、次長検事、検事総長の順に給与が高くなっています。

 

最も等級の低い検事20号で月給が23万3400円、他方、検事1号になると月給は117万5000円となり、最高位の検事総長になると月給は146万6000円となっています。

 

これにボーナスや各種手当を加えた額が年収となります。

3 検察事務官とは

検察事務官とは、検察官のサポート業務を行う国家公務員です。検察事務官になると特別の試験を受けて副検事になることができ、副検事からさらに特別の試験を受けて検事になることができます

(1) 職務内容

検察事務官の職務内容は、主に検察官をサポートすることです。

検察事務官の職務内容としては、捜査事務と公判事務に分けられます。

 

捜査事務としては、検察官が行う被疑者の取調べや参考人の事情聴取に同席して供述調書の作成をしたり、捜査や公判に必要な書類の作成、関係機関との連絡や調整といった業務があります。

 

公判事務としては、起訴された事件について事件記録や証拠を精査した上で、検察官とともに法律上の問題点や立証方針を検討したり、公判日程を関係者と調整したりするという業務があります。

 

どちらの業務も検察官の業務と密接に関連しており、検察官の業務を間近でみることになるため、検察官の業務にも深い理解が求められます。

 

そのため、検察官になりたい人にとっては経験を積むという観点からはうってつけの環境といえるでしょう。

(2) なり方

検察事務官になるためには、国家公務員一般職試験の大卒程度試験(試験区分「行政」)もしくは高卒者試験(試験区分「事務」)に合格する必要があります。

 

国家公務員一般職試験の大卒程度試験では、一次試験で多肢選択式の専門試験と一般論文試験が課され、二次試験として面接による人物試験が課されます。

 

二次試験に合格すると最終合格となって検察事務官になることができます。

 

この専門試験や一般論文試験では法律科目も出題されるため、司法試験合格を目指して勉強をしている方であれば馴染みやすい試験といえるとでしょう

(3) 年収情報

検察事務官は国家公務員なので、給与については法律で定められており、俸給表にしたがって給与額が決定されることになります。具体的には、検察事務官の給与には、「行政職俸給表(一)」が適用されることになります。

 

この俸給表によると、新卒の検察事務官であれば、大卒程度で月給182,200円、高卒で月給150,600円となっています。

 

そして、高卒であれば5年程度、大卒程度であれば1年程度で、「公安職俸給表(二)」が適用されて給与が上がる仕組みになっています。

4 サマリー

原則として検察官になるためには司法試験に合格する必要があります。

 

しかし、実は司法試験に合格しなくても検察事務官から検察官になるという方法があります。検察事務官の採用試験でも専門試験があり、法律の知識が問われる問題も多いため、司法試験の勉強をしている方であれば検察事務官の採用試験のハードルはそこまで高くないといえるでしょう。

 

検察官は被疑者や参考人の取調べを行ったり、捜査を行ったりして、最終的に被疑者について起訴するかどうかの決定するというのが主な職務内容です。他方、検察事務官はこのような検察事務官の職務を補佐するのが主な役割となっており、検察官の仕事を間近でみることができます。

 

もし今司法試験を目指していてどうしても検察官になりたいという方は、検察事務官から検察官になるという方法も考えてみるといいかもしれません。

5 まとめ

  • 原則として検察官になるためには司法試験に合格する必要がある
  • ただし、一定の年数はかかるものの司法試験に合格しなくても検察事務官から検察官になれる
  • 検察事務官の採用試験の方が司法試験よりもハードルが下がる
  • 検察事務官は検察事務官の職務を補佐するのが主な役割
  • 検察事務官は検察官の仕事を間近でみることができる
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