民法はパンデクテン方式をとりいれているということは、基本書などには良く書かれていることであり、民法を学習している方も聞いた事があるかと思います。ただ、いまいちそれが民法にどのように反映されているのか、予備試験を勉強する上でどのように理解しておけばよいのかがよく分からないという方も少なくないのではないでしょうか。
実は、パンデクテン方式は、予備試験を解く上で理解しておくべき重要な体系なのです。この記事では、パンデクテン方式について今一度分かりやすく解説します。
1 民法の体系について
民法の体系は、総則編・物権編・債権編・親族編・相続編の5編で成り立っています。
総則編が冒頭に位置付けられていますが、実はそのあとの4編全ての編にも、総則が各編の冒頭に置かれています。
なぜ、このような体系になっているのか、次の項目で解説します。
2 パンデクテン方式とは
基本書によれば、パンデクテン方式とは、以下のように説明されています。
「日本民法典は、私的生活関係に適用される各種の準則について、共通の準則としてまとめることができるものについてはできるだけ1つにまとめあげる作業を法典内部で繰り返すことによって、抽象度の低い準則から抽象度の高い準則へと順次に段階づけ、系統的に積み上げたピラミッドを構築している(ドイツ民法と類似する)。このような体系のことを、ローマ法にちなんでパンデクテン体系という。」(潮見佳男(2020年)民法(全)有斐閣P9より引用)
要するに、各論規定に共通する条文については、総則としてまとめて規定することで、法律全体をよりコンパクトにしているのですね。
この説明を読めば、ある程度パンデクテン方式についてある程度理解ができるのではないかと思います。
ただ、それと予備試験とどのような関わりがあるのか、いまいち分からない方もいるのではないでしょうか。
パンデクテン方式は民法の体系を表しているものなので、予備試験の問題を解く上でも重要な事柄になるのです。
例えば予備試験の過去問や演習問題で民法の問題を解く際に、民法を必ず参照すると思いますが、どの条文から参照すればよいのか分からず混乱してしまう場合があると思います。
ここで大事なのは、最初から総則を探すのではなく、各論部分で適用できる条文がないか探すということです。
例えば、何らかの事情により売買契約を取り消したい時に、最初から総則編に規定されている信義則(民法第1条2項)を適用するのはあまりにも的外れな答案になってしまいます(例外もあります)。
まずは売買契約に関する周辺条文から適用できる条文がないか探していきましょう。
ここは答案の法律構成に関わる重要な部分になります。
パンデクテン方式は、言葉としても難しいですし、意味内容を理解しようと頑張るよりも、実際に答案として書くときにどこから条文を見ていくのかという部分の方が重要なので、そことの関係性を意識して学んでいっていただけたらと思います。
3 サマリー
パンデクテン方式を理解しておくことは、民法の体系を理解することに繋がるので、実は大事な概念になります。
これから問題を解く際に、民法の体系がどのような体系になっているのか、どこから条文を探すのかを常に意識すると良いと思います。
4 まとめ
- 民法はパンデクテン方式(パンデクテン体系ともいう)をとりいれている
- パンデクテン方式を理解しておくことは、民法の体系を理解することなので、予備試験との関係においてとても重要
- 問題を解く際に、民法の体系を意識しながら、条文を参照しましょう