法律の勉強法って?【後編】 ~脱・完璧主義で継続して勉強するコツと脳科学からみた勉強法~

予備試験

 

前編では、法律の勉強法について、法律の勉強法が難しいと言われる要因と最適な法律の勉強法のポイントをご紹介しました。

後編では、法律の勉強がなかなか続かない要因として考えられる完璧主義について、敗因分析方法、脳科学から見た勉強法をご紹介します。

この記事を読んでいただければ、前編でご紹介した法律の勉強法との相乗効果でより効率よく、継続的に勉強できるようになります。

4 法律の勉強が続かない人は完璧主義が原因かも?!

これまでは、法律の勉強法についてお話してきましたが、方法を習得しても、なかなか法律の勉強が続かないという方もいると思います。

特に法律系の資格試験は国家資格の中でも難関といえる試験が多いので、毎日勉強していても、目に見える成長を実感することができず、挫折してしまいがちです。

試験本番に向けて計画的に取り組み始めても、「計画通りいかない」「仕事との両立が難しい」などの理由で、途中で何度も勉強を放棄してしまうことはありませんか?

場合によっては、完璧主義が原因かもしれません。以下では、完璧主義に陥っている方、その克服方法をご紹介します。

(1) あなたも完璧主義かもしれません

社会人の方々は、学習計画を立てた後、勉強を実行しようとしても、日々の業務に追われ、時間が確保できず、1日の計画がこなせなかったという経験はありますか?

また、週末はどうしても休みたくて寝てしまい、勉強に取り組めず、1週間の計画が達成できなかった、という経験はありますか?

例えば、朝8時から定義を覚える、12時から論文を書くという計画を立てた場合、その日に起きたのは朝9時で既に1時間を過ぎてしまい、せっかく計画を立てても上手く実行できず、結局その日の計画は破綻し、何もしなかったなど、勉強を継続することがなかなかできない方も多いのではないでしょうか。

このような経験がある方は、「完璧主義」かもしれません。

計画を立てることは容易でも、計画を実行し続けることは、とても難しいことかもしれません。

(2) 脱・完璧主義になるには

では、勉強を継続するためには、どうすればよいか?

それは、完璧主義から脱却することです。

具体的には、①計画の創意工夫 ②意識変革です。

① 計画の創意工夫

皆さんはどのような計画の立て方をしていますか?

時間単位で立てる方、ノルマで立てる方、様々あると思います。

どのような立て方をするかは、人によって合う・合わないありますので、それぞれに見合った立て方をすることが大事でしょう。

ただ、いずれの立て方をするにせよ、設定する勉強量(ノルマ)を現実的に可能なものにすることが大事です。

例えば、1時間で定義20個覚えるという計画を立てたいと思ったとしても、実際には、10個ないし15個に設定します。

すなわち、自分がこなせるであろう量の何割か少な目に設定するということです。こうすれば、現実的に実行することが可能となります。

もし15個以上覚えられた場合には、プラスαで覚えられたという経験ができ、プラス思考になれます。

自分が設定したノルマを達成できず、そこから勉強の意欲を失ってしまうという負のスパイラルから脱却するためには、このような計画の立て方が有効です。

更に極端にいえば、1日1個の定義を覚える、でも良いです。勉強の意欲がなかなか続かない方は、最小限のノルマからスタートすることで、少しでも前進することが大事です。

勉強を続けていくことで、1日の達成量がだいたい分かってくるので、そこから徐々に量を増やしていくという方法も良いかもしれません。

また、集中力に自信がない方は、場所を変えることで、リフレッシュしながら勉強することも有効です。

例えば、論文を書くときは机で書く、論証・定義を覚えたいときは、散歩しながら覚えるなど、環境を変えながらやりましょう。

集中力を持続させることができれば、計画の実効性が高まります。

② 意識変革

計画が破綻してしまうと、何に手をつけていいか分からなくなり、その結果勉強意欲を失ってしまう、という経験をしている方は少なくありません。

「脱・完璧主義」になるためには、計画は実行されなければならないものだという思考から離れる必要があるでしょう。

完璧主義に陥っている方の多くは、計画を立てても、その計画を修正せず、その計画をやりきろうという思考があるかもしれません。

しかし、計画をそもそも達成できなければ、その都度計画を修正すればいいのです。

計画を立てるのは、試験に合格するためです。1日の勉強計画が終わらなくても、不合格にはなるわけではありません。

試験日までに合格できる実力をつければそれで足りるので、計画を実行できなくても、決して悲嘆せず、次の計画を立てましょう。

特に社会人は、可処分時間が少ない中で、合格するために計画を立てることが必須であるといえます。

それと同時に、計画が崩れてしまうことも多いと思います。

資格試験を受験してみよう!と挑戦を始めたときの意欲を維持するためにも、このような意識変革が必要であるといえます。

5 法律系の資格試験に合格するためには

(1) なかなか結果が出ない方は敗因分析をしましょう

いざ、勉強を始めてみたが、法律の勉強はただでさえ難しいし、模試や過去問、問題集をやってみても、なかなか思うような結果が出ないということもありますよね。

みなさんは、過去問や模試をやった後、どのような勉強に進みますか?

例えば、答えを見て、「こういうことだったのか!」と、答えを知って納得し、次の問題を解く、というように、そこで模試の勉強は終わりにしてしまってはいませんか?

このような勉強の仕方では、なぜ自分が正解筋から外してしまったのか、間違ってしまったのか、その原因が分からないまま終わってしまいます。

そうすると、次の問題を解いても、前回間違えた原因が特定できていないので、また間違えてしまう可能性があります。

アウトプットは試験対策の中でも必須といえますが、敗因分析をしなければ、改善すべきポイントが分からないので、アウトプットを一生懸命やっていても、いつまで経っても良い結果が出ないという負のスパイラルが起きてしまいます。

特に法律の勉強法の一つとして、なぜ理解できなかったのか、間違えてしまったのか、その原因を追及することがとても重要です。

(2) 敗因分析ってどうやってやるの?

例えば、択一式の過去問を解いたとしましょう。

答えは、正誤なので、一つの肢を間違えていた場合には、解説を読みますよね。

その肢を間違えてしまった原因が、正解となる条文があったとした場合に、多くの方は、

「こういう条文があったんだ!知らなかった」で終わってしまうかもしれません。

しかし、敗因分析をするためには、その先に、「このような条文があることを知らなかったとしても、どのように思考すれば正解に導けたか」

というように、思考を巡らせる必要があります。

多くの資格試験では本番で分からない問題がたくさん出題されます。

したがって、法律の勉強法として、分からない問題が出たとしても、正解に導く思考方法を身に付けなければなりません。

(3) 敗因分析をした後は、これを克服するための方法を考えましょう!

上記の例から、知らない条文が出ても、正解に導くにはどのように考えたらよいかということを、追及していきます。

そして、追及した後は、このような正解に導けるための勉強法を考えます。

例えば、条文は、立法を経てできていますが、意味もなく作られているわけではありませんので、必ずその条文ができた背景や趣旨があります。

この背景や趣旨を考えていく中で、肢が正解していた、又は誤っていた理由が見えてきます。

そして、今後の法律の勉強法としては、条文を読んでいく際には、必ず趣旨を考えるようにします。

これが、克服するための勉強法になります。

特にアウトプットの勉強をする際には、この過程を毎回繰り返すことで、自分の弱点が把握でき、克服できるようになります。

これはあくまで一例にすぎませんが、この敗因分析は、全ての勉強に応用できます。

勉強に限らず、仕事や生活においても役に立つかもしれません。

この敗因分析は、時間もかかるし、難しい作業かもしれませんが、法律の勉強をする中で最も大事な作業といってもいいくらい重要な過程なので、是非実践していきましょう。

6 脳科学からみた勉強方法を取り入れて法律の勉強法をマスターしよう!

効率的な勉強方法として、科学的に良いとされているものがいくつかあるのでご紹介します。

(1) 想起する

勉強するとき、最初はインプットから入る方が多いと思います。知識を入れるためには、必要な作業といえますが、例えば講義を視聴したり、テキストを読んだあと、皆さんはどのような勉強をしていますか?

まずは一定期間講義を視聴してからアウトプットする、という方法を取られている方もいるかもしれません。

どのような手順で勉強していくかは人それぞれあると思いますが、科学的に効率的よくできる暗記方法として、想起するという方法があります。

想起するとは、思い出すことをいいます。

思い出そうとすることが、記憶の定着に繋がります。

インプットしている時間に記憶を定着させようとするよりも、インプットをした後に、インプットした内容を思い出す作業が一番効率よく覚えられるのです。

例えば、テキストや教科書を1ページ読んだ後、次のページに行く前に、一度テキストを閉じて、今読んだ内容を思い出してみましょう。

覚えたように思えても、案外思い出せる情報量が少ないかもしれません。ただ、覚えられなかったとしても、この思い出す作業を何度も繰り返すことで、記憶の定着に繋がります。

法律系の資格試験を勉強をする上で、論文の勉強は欠かせませんが、例えば、論文や問題集を解く際には、学んだ知識から必要な情報をアウトプットする作業をしますが、条文の趣旨や文言の定義を書こうとする時、まさに思い出す作業をします。

ここで記憶が定着したのかが分かるということです。

アウトプットが苦手という方は、インプットにどうしても時間を割いてしまいがちですが、このようにアウトプットする上で思い出す作業をすることは、記憶の定着にとても有効なのです。

暗記が苦手な方は、是非この想起する作業を取り入れてみてはいかがでしょうか。

(2) 交互練習

交互練習というのは、種類の異なる勉強を交互に行うことをいいます。

この交互練習も、記憶の定着に良いといわれています。また、種類の違う問題を交互にやることで、そこから共通点を見出す作業をすることで、応用力が身につくとも言われています。

法律系の資格試験でいえば、それぞれ科目を織り交ぜて勉強するのも効果的でしょう。

例えば、憲法の演習を1問やった後、刑法の演習をやるといった勉強方法です。法律系の資格試験は複数の科目を受験しなければならないことが多いので、科目順に勉強するのも良いかもしれません。

(3) 分散学習  

分散学習とは、一度勉強した内容を一定期間後に復習するという勉強法です。

一度勉強したことを、忘れかけた頃にもう一度復習することで、記憶定着に繋がります。

一夜漬けといった短期集中型の勉強法とは、真逆の勉強法になります。

一夜漬けの勉強では、例えば、テストの前日に暗記して、テストを受け終わった後はすぐに忘れてしまったという経験をしている方も多くいると思いますが、分散学習は、より記憶の定着に繋がるので、法律の勉強法としては最も最適な勉強法です。

(4) 早起きは三文の徳!黄金の3時間を使いましょう!

朝は、「脳のゴールデンタイム」と言われていることをご存じですか?

脳科学者の茂木健一郎さんによれば、朝目覚めてからの約3時間は、脳が最も活性化し、効率よく働く時間帯だと言われています。

簡単にいえば、脳が最もやる気を出す時間帯だということです。

法律の勉強をする上では、例えば、このゴールデンタイムにアウトプットの勉強をするのがおすすめです。

また、何度も勉強しているがなかなか理解できない部分など、考える作業が多い勉強もこの時間帯に勉強してみても良いかもしれません。

暗記などの勉強は、寝る直前にやるのが記憶定着に効果的だと言われているので、午前中はアウトプットの勉強、午後はインプット中心の勉強をするなど、時間帯によって分けるのも一つの方法ですね。

もちろん、夜中の方が勉強が捗るという方もいると思います。あくまで脳科学の観点から見た勉強法なので、参考にしていただけたら幸いです。

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是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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7 サマリー

資格試験に合格するためには、法律の勉強は必須です。しかし、最もつまづいてしまうのも、法律の勉強だと思います。

意外と勉強法を人に教わる機会も少ないかもしれませんが、資格試験に挑戦している方にとって、今回の記事が試験合格への手助けになれば幸いです。

8 まとめ

・法律の勉強が難しいのは、①情報の膨大性、②抽象性が高い、③勉強対象を絞ることが難しから

・最適な法律の勉強法は、①原則・例外・再例外の関係性をおさえる、②要件効果をおさえる、③重要な最高裁判例をおさえる

・法律の勉強が続かない完璧主義の方は、①計画の創意工夫と②意識変革をしましょう

・結果が出ない方は、敗因分析を怠らずにやりましょう

脳科学からみた勉強法を取り入れてみましょう

朝の「ゴールデンタイム」を活用して、法律の勉強を進めましょう

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